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行政書士必勝対策 一般知識 最終回 石川 潔

一 般 知 識(最終回)

資格コンサルタント
      石川 潔

■個人情報保護と情報通信

 今回は,2つの分野に共通する部分も含めた問題です。

 「個人情報保護」と「情報通信」の2つの分野は,相互に関連している分野です。
 平成19年度の本試験でも「行政手続オンライン化法」「公的個人認証法」について出題されています。

 難易度は★から★★★の3段階。制限時間の目安は★1つが1分です。


問題1


「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」に関する次の記述のうち,誤っているものはいくつあるか。難易度★★★

1 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律は,内閣に置かれる機関等を対象としているが,会計検査院は除外されている。

2 保有個人情報の内容が事実でない場合,行政機関の担当者に対し,訂正(追加又は削除を含む)の請求をすることができる。

3 開示請求者の生命,健康,生活又は財産を害するおそれがある情報は,不開示とすることができる。

4 本人から個人情報を取得する際には,直接書面で取得する場合でも,利用目的を書面等で明示する必要がある。

5 開示請求者以外の個人情報は,不開示とすることができる。

解答・解説

 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律は,基本的には個人情報保護法を踏襲しています。しかし,情報の取得の際の利用目的の明示や,不開示事由,訂正請求などいくつかの点に違いがありますので,要注意,要確認が必要です。


1 誤り。
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律では,その対象となる行政機関について,内閣に置かれる機関や会計検査院を含む国のすべての行政機関を対象としています。会計検査院を除外する規定はありません(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律2条)。


2 誤り。
 訂正(追加または削除を含む)の請求をすることができるのは,内容が事実でない場合に行うことができます。ただし,訂正の請求は行政機関の長に対してするのであって,担当者ではありません(27条)。


3 正しい。
 行政機関の長は,開示請求者があったときは当該保有個人情報を開示しなければならないとされていますが,生命,健康,生活または財産を害するおそれがある情報は,不開示とすることができます(14条)。


4 誤り。
 本人から直接書面で個人情報を取得する際,取得の状況からみて利用目的が明らかな場合は,利用目的を明示しなくてもよいとされています(4条4号)。


5 正しい。
 開示請求者以外の個人情報は不開示とすることができます。ただし,法令の規定や慣行として開示請求者が知ることができる情報や知ることが予定されている情報,人の生命等を保護するため開示を要する情報,公務員の職務の遂行に関する情報は除かれます(14条)。


 以上のことから,誤っているのは1,2,4の3つ。

問題2

 電子署名等に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。難易度★☆☆


1 電子証明書とは,電子認証局が発行した電子証明書を使うことで,正しい送信者から送られたことを証明し,「なりすまし」などを防止するものである。


2 電子署名は署名・押印と同等の法的効力を持つとされている。


3 公開鍵暗号方式とは,本人しか知らない「秘密鍵」を使って文書を暗号化し,受けとる側が「公開鍵」を使って,送られてきた電子データを解読する方式である。


4 電子署名とは,電子データが本人によって作成されたことのみの証明となるものである。


5 電子署名は,公開鍵暗号方式の秘密鍵を利用したものである。


解答・解説


1 正しい。
 電子署名だけでは秘密鍵の持ち主が本人かどうかの証明はできません。いわゆる「なりすまし」などを防止することができません。
 そのため,秘密鍵の持ち主が間違いなく本人であることを,何らかの方法によって証明する必要があります。
 そこで,間違いなく本人であることを証明するために,第三者が「電子証明書」を用いて証明します。これにより「なりすまし」などを防止することができます。

 なお,電子証明書を発行する電子認証局は,登記所だけでなく,政府の認定を受けた民間の認証機関もあります。


2 正しい。
 電子署名法では,電子署名は手書きの署名や押印と同等の法的効力を持つと定めています。


3 正しい。
 公開鍵暗号方式では「秘密鍵」と「公開鍵」がワンセットになっています。


4 誤りで正解。
 電子署名とは,その電子データが「本人によって作成されたこと」と「改ざんされていないこと」の2点を証明することができます。


5 正しい。
 公開鍵暗号方式の秘密鍵を利用しています。

問題3

 住民基本台帳ネットワーク(以下,住基ネット)等に関する次の記述のうち,正しいものはいくつあるか。難易度★☆☆


1 住民基本台帳とは,住民の居住関係の公証,選挙人名簿の登録などのほか,住民に関する事務の処理の基礎となる制度である。

2 住基ネットは,「住所」「氏名」「生年月日」「本籍地」の4つの情報をコンピューターネットワークで管理するシステムである。

3 住基カードの住民票コードは,無作為の番号であるが,そのコードを変更することはできない。

4 住基カードは,国が住民の申請に対して交付するものである。

5 住基カードの有効期限は10年間であるが,他の市区町村に転出した場合には無効になる。


解答・解説

1 正しい。
 このほか,国民健康保険や国民年金の被保険者としての資格の管理,学齢簿の作成なども含まれます。


2 誤り。
 住基ネットで管理されるのは「住所」「氏名」「性別」「生年月日」の4つの基本的な情報に限られています。


3 誤り。
 住基カードの住民票コードは,無作為の番号によって付けられますが,住民の申請によりいつでも変更することができます。


4 誤り。
 住基カードは,国が交付するのではなく,市町村長が住民の申請に対して交付するものです。


5 正しい。
 転出した場合には無効になりますから,住基カードは交付を受けた市区町村に返納しなければなりません。


 以上のことから,正しいものは1,5の2つ。

問題4

 住基ネット等に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。難易度★☆☆

1 住基カードの携帯は,義務付けられていない。

2 住基カードで電子署名を行う際には,申請書のデータをカードに取り込んで電子署名を行うが,その際に使用するパソコン本体に秘密鍵のデータが移ることはない。

3 住基ネットでは,都道府県や指定情報処理機関が保有する情報のうち,変更情報と呼ばれるものは,その内容の変更年月日,理由などの関連情報のことである。

4 住基カードを使えば,全国どこの市町村でも,本籍地の表示のある自分の住民票の写しの交付が受けられる。

5 申請や届出をインターネットで行う場合,住民票の写しは住基ネットを使用することで,インターネット上で行うことができるため,住民票の写しを提出する必要はない。


解答・解説

1 正しい。
 住基カードの携帯の義務付けはありません。


2 正しい。
 使用の際に秘密鍵のデータが移行することはありません。また,住基カードは,物理的・論理的攻撃が加えられた場合,内部のデータを自ら破壊し,データを保護する仕組みになっています。


3 正しい。
 変更情報とは,氏名・住所・性別・生年月日・住民票コードに関する変更年月日,理由などの必要最小限の関連情報です。


4 誤りで正解。
 自分の住民票の写しの交付は受けられますが,交付されるのは本籍地の表示のない「広域住民票」と呼ばれるものです。


5 正しい。
 従来,窓口や郵送で行っていた申請や届出は,住基ネット上で相手先の行政機関に提供できるため,住民票の写しを提出する必要はありません。


問題5

 住基ネット等に関する次の記述のうち,正しいものはいくつあるか。難易度★★☆

1 住基カードは,ICチップを使用したICカード形式のものと,磁気カード形式のものとがあり,任意で選択できるようになっている。

2 住基カードには,氏名のみが印字されたタイプと,写真入りのタイプとがあり,写真入りのタイプの住民基本台帳カードは,公的な身分証明書として使用することができる。

3 住基カードは,市町村長が住民の申請に対して交付するものである。

4 住基カードは,電子署名の秘密鍵を保存することはできない。

5 住基ネットでの住民票コードは,16桁である。

解答・解説

1 誤り。
 住基カードは,すべてICカード形式のものであり,磁気カード形式のものは存在しません。

2 正しい。
 住基カードには,氏名のみが印字されたタイプと,写真入りのタイプの2種類があり,どちらのタイプの交付を希望するかは選択することができます。ただし,運転免許証と同様な公的な身分証明書として使用することができるのは,写真入りの住基カードのタイプに限られます。

3 正しい。
 住基カードは,市町村長が住民の申請に対して交付するものであって,すべての国民に対し郵送等で交付しているわけではありません。

4 誤り。
 公的個人認証サービスの電子署名の秘密鍵を保存することができます。そのため,本人確認のための電子署名を,全国どこに住んでいる人に対しても安い費用で提供する公的個人認証サービスを受けることができます。平成16年1月より開始されたサービスです。

5 誤り。
 住民票コードは,無作為に作成された10桁の番号と末尾の1桁(検査数字)の11桁で構成されています。


 以上のことから,正しいものは2,3の2つ。

問題6

 住基ネット等に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。難易度★★☆

1 住基カードの発行枚数は約187万枚(2007年末現在)である。

2 住基ネットがプライバシー権を侵害し違憲だとして住民票コード削除を求めた裁判に対し,最高裁は2008年3月「自分の情報が第三者にみだりに開示される具体的な危険はない」として,住基ネットは合憲との初の判断を示した。

3 最高裁判決では,住基ネットが扱う「氏名」「生年月日」「性別」「住所」の基本情報は,「人が社会生活を営む上で,一定の範囲の他者には当然,公開が予定された個人識別情報で,秘匿性は高くない」と指摘している。

4 自治体が,住基カードを利用した独自の行政サービスを行うことはできない。

5 住基カードでは,交付の際に4桁の暗証番号を設定している。


解答・解説

 住基ネットからの離脱などを求めた裁判は,大阪高裁の判決では違憲性を認めた判決が出ていました。しかし,2008年3月6日に最高裁は住基ネットに関して「合憲」とする初の憲法判断を示しました。
 時事的な要素もありますので,要確認の内容です。


1 正しい。
 住基カードの発行枚数は意外に少なく,伸び悩んでいます。当初,初年度の発行枚数は25万枚程度しかなく,総務省が予想した300万枚程度とは程遠い結果になっています。2007年末時点までの合計の発行枚数も約187万枚にすぎません。


2 正しい。
 2008年3月6日,最高裁は住基ネットに関して合憲との初の判断を示しました。大阪高裁判決(2006年11月)では違憲性を認めた判決が出ていましたが,最高裁はこの二審を破棄し,住民側の請求を棄却しました。

 また,石川県,愛知県,千葉県の住民が国や県などを訴えていた他の3件の訴訟に関しても,同日の判決で住民側の上告を棄却する判決を言い渡し,最高裁で争われていた4件すべてで住民側の敗訴が確定しています。これによって,住基ネットは「合憲」との初の判断が下ったことになります。


3 正しい。
 「氏名」「生年月日」「性別」「住所」の基本情報は「秘匿性は高くない」と指摘した背景には,個人情報保護法への過剰な反応があるからと見ることもできます。

 2005年に個人情報保護法が全面施行されたことに伴って,個人の同意がなければ氏名や住所といった基本情報の利用が必要以上に制限されてしまっていることに対する配慮があると考えることもできるからです。

 たとえば,個人情報保護法への過剰な反応によって,個人の同意がないと,学校の緊急連絡網などの作成も難しいような現状が一方であるからです。


4 誤りで正解。
 自治体が,独自の判断で住基カードを利用した独自の行政サービスを行うことは可能です。
 ただし,自治体が許可したサービス以外のサービスは提供できないシステムとなっています。
 また,どのような市町村独自のサービスを受けるかは,住民が選択できるようになっています。

 たとえば,東京都の荒川区では住基カードに電子マネー機能を盛り込み,区立の遊園地で使えるようなサービスを行っていますし,岩手県の奥州市では,市立病院の予約を住基カードで行えるサービスを行っています。
 また,新潟県の三条市でも,子育て支援の一環として住基カードを使用すれば,公共施設の使用料の割引などのサービスが受けられるなど,自治体独自のサービスを盛り込むことは可能です。


5 正しい。
 4桁です。

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