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「行政書士」 一般知識最新用語と予想問題(上)その7 石川 潔

 
不動産受験新報2008年夏号


問題11

 次の個人情報保護法に関する記述のうち,正しいものはいくつあるか。

難易度★★☆

1 個人情報取扱事業者は,個人情報の取得に際しては,その利用目的を個人情報の取得後速やかに本人へ通知しなければならず,事後の承諾は認められていない。

2 個人情報取扱事業者が個人データの取扱いの一部を外部に委託することは認められているが,全部を委託することは認められていない。

3 個人情報を取り扱う事業者のうち,「取り扱う個人情報が過去6か月以内のいずれの日においても5,000件を超えない場合」には,個人情報取扱事業者から除外される。

4 個人情報取扱事業者が個人データの取扱いを外部に委託する場合,その安全管理も委託したとみなされる。

5 個人情報取扱事業者が義務規定に違反した場合,まず違反行為の中止や是正の「勧告」を受ける。

 解説

1 誤り。個人情報の取得に際し,その利用目的については「個人情報を取得した場合は,あらかじめその利用目的を公表している場合を除き,速やかに,その利用目的を本人に通知し,又は公表しなければならない(個人情報保護法18条1項)」と定められている。

「取得後速やかに」であり,事後の承諾も認められている。

2 誤り。個人データの取扱いの一部または全部を外部に委託することは認められている。


3 正しい。個人情報を取り扱う事業者がすべて個人情報保護法の対象となるのではなく,一定の規模に満たない場合には個人情報取扱事業者から除かれる規定がある。

「個人情報の量,利用方法からみて個人の権利利害を害するおそれが少ないものとして政令で定めるもの(同法2条3項5号)」は,個人情報取扱事業者から除かれる規定である。

具体的には「事業に供する個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数の合計が過去6か月以内のいずれの日においても5,000件を超えないものは個人情報取扱事業者に含まれない(同法施行令2条)」と規定されている。

4 誤り。「個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は,その個人データの安全管理について委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない(同法22条)」と規定されている。

したがって,個人データの取扱いを外部に委託した場合,あくまで「個人データの取扱い」を委託したのであり,安全管理まで委託したわけではなく,委託側には安全管理について監督を行う必要がある。


5 正しい。個人情報取扱事業者が義務規定に違反した場合,まず違反行為の中止や是正の「勧告」(同法34条1項)があり,さらに,個人の権利利益の侵害が切迫している場合には勧告に従うよう「命令」が出される(同法34条2項)。


さらに緊急の場合には違反行為の中止などを「緊急命令」(同法34条3項)する。それでも違反した場合に,罰則が適用される。

 以上のことから,正しいものは3,5の2つである。


【答】 2つ


 問題12

 次の個人情報保護法に関する記述のうち,誤っているものはいくつあるか。

難易度★★★


1 個人情報保護法は「個人情報保護の基本理念」の他に,民間の事業者向けに「個人情報を取り扱うための取決め」を定めている。


2 個人情報取扱事業者が個人データの開示,内容の訂正,追加又は削除,利用の停止,などを行う権限を有しているのは,自分で登録したデータのみである。


3 国の機関や地方公共団体,独立行政法人,地方独立行政法人は個人情報取扱事業者である。


4 国の機関や地方公共団体,独立行政法人,地方独立行政法人の個人情報の取扱いについては「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」などで規定されている。


5 個人情報保護法は,2003年5月に全面施行された。

 解説

1 正しい。個人情報保護法は,大きく分けて次のように2つの部分からできている。
 「個人情報保護の基本理念」
       第1章から第3章
 「個人情報を取り扱うための取決め」
(民間の事業者向け)
      第4章から第6章
「個人情報保護の基本理念」では,個人情報の定義や,国や地方公共団体の責務等について定めた部分である。


「個人情報を取り扱うための取決め」は,個人情報を取り扱う業者である民間の事業者を「個人情報取扱事業者」と定め,個人情報の具体的な取り扱い方法や,罰則などを定めた部分である。


 個人情報保護法について論じられる多くの場合は,個人情報取扱事業者について定められた後半部分である。

ただし,個人情報取扱事業者と見なされるのは民間の事業者であって,国や地方公共団体,行政機関などは含まれない点に注意が必要である。


2 正しい。個人情報取扱事業者が自分で登録したデータを「保有個人データ」と呼ぶが,個人情報取扱事業者が個人データの開示,内容の訂正,追加または削除,利用の停止,消去および第三者への提供の停止などを行う権限を有しているのは,この保有個人データに限られている。

3 誤り。国の機関や地方公共団体,独立行政法人,地方独立行政法人は,第4章以下で定める個人情報取扱事業者には含まれない。

4 正しい。国の機関や地方公共団体,独立行政法人,地方独立行政法人の個人情報の取扱いについては,個人情報保護法とは別に「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」などによって規定されている。

5 誤り。個人情報保護法が全面施行されたのは2005年4月からである。

個人情報保護法は,一度に全面施行されたのではなく,個人情報保護法の基本理念に関する部分(第1章から第3章)が2003年(平成15年)5月30日に公布と同時に施行され,


「個人情報取扱事業者の義務等」を定めた後半部分(第4章から第6章)については,民間の業者への周知を徹底させるため2年後の2005年(平成17年)4月1日に施行され,これをもって同法は全面施行となったのである。


 以上のことから,誤っているものは3,5の2つである。


【答】 2つ


ポイント

 個人情報保護法では,法令科目と同様,概要を把握したうえで条文を読み込んでおく必要があるが,実戦的な問題で,どこが重視されるのかをつかんでおこう。