直前学習法と本番対策3 植杉伸介
教材の選び方
(1) テキスト
すでにテキストを購入して,ある程度読み進んでいる人は,原則として,今さら別のテキストに変えないほうがよいでしょう。
新たにテキストを購入する場合に気をつけてほしいことは,ある程度分量のあるきちんとした基本書を選ぶということです。
書店に行けば,要点だけをまとめたコンパクトな受験参考書も並んでいます。
コンパクトな書籍で勉強したほうが時間短縮につながるような気がするかもしれませんが,このような書籍では合格するだけの実力をつけることはできません。
このような書籍は,きちんとした基本書で勉強した人が,本試験直前期に知識をまとめる際に利用すべきものです。
手前味噌になりますが,テキストとしては『平成20年版 わかる行政書士』(住宅新報社刊)をおすすめします。
本書は
,知識を羅列するのではなく,内容を理解してもらうことを重視して執筆してあります。
一昨年から大きく変わった本試験の傾向に対応し,記述式問題を解答できる力を養うためには,知識を暗記するだけではダメで,内容を自分の頭で理解することが大切だからです。
(2) 問題集
テキスト以外の教材として,過去問集は不可欠です。過去問と100%同じ問題が出題されることはありませんが,類似の問題が繰り返し出題されます。
過去問のマスターなくして,合格はないといってよいでしょう。
また,本試験がどの程度のレベルを要求しているかを知ることは,合理的で効率的な勉強のための大前提です。
本試験で求めていないレベルまで勉強するのは無駄ですし,逆に求められたレベルに達しなければ合格できません。
過不足なく必要かつ十分な勉強をするのが,最も合理的なのです。
予想問題集は,必要に応じて購入すればよいと思います。予備校の模擬試験や答練講座を受ける人は,そちらで提供される問題を利用すればよいからです。
答練講座等を受けない人は,新傾向問題や法改正への対策として,予想問題集も入手しておいたほうが無難です。
(3) その他
法令集(六法)は持っていなくても試験には合格できると思いますが,やはり1冊は持っていたほうがよいでしょう。
六法は大きく分けると,汎用六法と専用六法の2種類に分類できます。
汎用六法とは,特定の資格とは関係なく,すべての法令の中から重要なものを選んで掲載している六法をいいます。
これに対し,専用六法とは,特定の分野に関連する法令のみを集めた六法や,特定の資格試験受験のために編集された六法をいいます。
受験勉強という目的からすれば,優先的に購入すべきは,当然,専用六法のほうです。
行政書士受験用の専用六法は,各社から出版されていますので,どれか自分が気に入ったものを購入すればよいでしょう。
参考書は,受験のために不可欠なものではありません。自分の弱点に応じて,適宜気に入ったものを購入すればよいでしょう。
ただ,次から次へといろいろなものに手を出すことは,おすすめできません。情報過多になり,かえって知識が拡散してしまいます。
参考書等で得た知識や気づいた点などは,テキストに書き込むとよいでしょう。最終的には,テキストに知識を集約して,たとえば,本試験の前日は,テキストを見直すだけで総復習できる状態にしておくことが望ましいからです。
多肢選択式・記述式試験問題対策
多肢選択式問題とは,文章の途中に5つ程度の空欄があり,その空欄に入る言葉を多数の選択肢(平成18・19年度試験では20個の選択肢)から選ぶという形式の問題です。
平成18年度試験から新たに導入された新傾向の出題形式ですが,従来からある穴埋め式の問題が少し姿を変えただけだともいえます。
したがって,この出題形式に対して,あまり神経質になる必要はありません。テキストを読む際に,日頃から,重要なキーワードを正確に押さえるように心がけておけば大丈夫です。
これに対し,記述式問題とは,一定の設問に対し40字程度の文章で解答するという形式の問題をいいます。
知識レベルとしては,択一式問題を解答できる程度で足りますが,解答内容を自分の言葉で要領よくまとめて表現しなければならない点に難しさがあります。
知識がありながら試験に合格できない人の多くは,記述式試験で失敗しています。行政書士試験に合格するためには,記述式試験対策が非常に重要です。記述式試験対策としては,次のような点に気をつけてください。
(1) キーワードを正確に押さえる
択一式問題では,問題文に出てくる用語の意味さえ分かれば解答できます。
しかし,記述式問題では,キーワードになる用語を正確に押さえ,これを漢字で書けるようにしておかなければなりません。
キーワードになる用語を正確に押さえるためには,日頃テキストを読むときなどに,重要な用語をマーカーで塗って目立つようにしておくとともに,特に重要な用語や覚えにくい用語については,単語帳などに書き出しておくとよいでしょう。
(2) 解釈論に注意
記述式問題では,条文だけでは解答が完結せず,判例・学説による条文の解釈論等についてプラスアルファの記述が必要な問題が出題されることがあります。
受験対策としては,重要な論点について,解釈論にも気をつけて要件等を正確に押さえておくことが必要です。特に判例が要注意です。有名な判例は必ずチェックしておいてください。
(3) 論理の流れに着目する
択一式問題は,ある論点の結論部分だけを覚えておけば解答できますが,記述式問題では,結論に至る論理的な筋道を文章で示すことを求められることが多くあります。
したがって,テキストを読む際は,論点について自分の頭で理解しつつ,結論を導き出す理由づけの部分にも着目する必要があります。
(4) 文章を書く練習をする
記述式問題では,解答を文章で示さなければなりません。頭の中では分かっていても,文章で表現できなければ合格できないのです。
文章表現力をつけるためには,やはり実際に書く訓練が必要です。
現時点では,記述式問題の過去問は2年分しか存在しないので,予想問題を解くことによって書く練習をすることになります。
本誌に掲載されている予想問題や市販の予想問題集などで,解答を作成する訓練をしてください。
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