改正法中心 直前予想問題と解説3 匂坂和彦
予想問題
問題5
貸金等根保証契約に関する記述について,正しいものの組合せは後記1から5までのどれか。
ア 貸金等根保証契約は,書面によらなければ,効力を生じない。
イ 貸金等根保証契約の締結の日より5年を超える日を確定期日と定めた場合には,貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過した日が確定期日となる。
ウ 貸金等根保証契約の極度額は,利害関係人の承諾を得れば,変更することができる。
エ 主たる債務者が破産手続開始決定を受けたときには,貸金等根保証契約の元本は確定するが,破産手続開始決定の効力が消滅した場合には,元本確定の効果は消滅する。
オ 貸金等根保証契約の保証人は,個人でなければならない。
1 アエ 2 アオ 3 イウ
4 イオ 5 ウエ
問題6
株式会社の取締役に関する記述について,正しいものの組合せは後記1から5までのどれか。
ア 非公開会社であった会社が株式の譲渡制限に関する規定を変更し,公開会社となったとき(委員会設置会社がするものを除く)は,取締役は任期満了により退任することになる。
イ 公開会社であった株式会社が発行する全部の株式の内容として,譲渡による当該株式の取得について,当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを新たに設定(委員会設置会社がするものを除く)した場合,取締役は任期満了により退任することになる。
ウ 定款で定めておくことにより,取締役を累積投票により選任することができる。
エ 破産手続開始決定を受け,復権していない者を取締役に選任することができる。
オ 委員会設置会社以外の取締役の任期は,原則として就任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までであるが,非公開会社においては,就任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに,伸長することができる。
1 アウ 2 アエ 3 イエ
4 イオ 5 ウオ
解答・解説
問題5 正解 2
ア 正しい。貸金等根保証契約に限らず,保証契約については書面によらなければ,効力を生じない(民法446条2項)。
イ 誤り。貸金等根保証契約の確定期日を定めた場合,締結の日より5年を超える日を確定期日とした場合は,根抵当権と同様に無効である。5年に短縮される規定はない※2。
この場合,確定期日の定めがない場合として貸金等根保証契約を締結した日から3年を経過した日が確定期日となる(465条の3第2項)。
ウ 誤り。根抵当権とは異なり,貸金等根保証契約の極度額は,利害関係人の承諾を得なくても,これを変更することができる。
エ 誤り。主たる債務者が破産手続開始決定を受けたときには,貸金等根保証契約の元本は確定するが(465条の4第2項),根抵当権と異なり,破産手続開始決定の効力が消滅した場合には,元本確定の効果は消滅する規定はない。したがって,元本確定の効果はそのままである。
オ 正しい。貸金等根保証契約の保証人は,個人でなければならない(465条の2第1項)。法人は除かれている。
以上より,正しいものの組合せはアとオであるから,正解は2。
※2 参考【短縮規定の有無】
元本の確定期日 → なし(5年を超えた日とする確定期日は無効である)
共有物不分割特約 → なし(5年を超える不分割特約は無効である)
買戻特約 → ある(10年を超える買戻特約は10年とする)
不動産質権 → ある(10年を超える存続期間を設定したときは10年とする)
問題6 正解 2
ア 正しい。非公開会社は,定款において,選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで任期を伸長することができる。
ところが,非公開会社→公開会社になってしまうと,伸長された任期を維持することができない。
したがって,非公開会社→公開会社となった場合は取締役の任期は満了する(会社法332条4項参照)。
取締役の任期は,当該定款の効力が生じたときに満了する。
逆に公開会社→非公開会社の場合は,このような心配はないので,これにより任期が満了することはない(肢イ)。これは,たとえ非公開会社で定款に任期を伸長する規定を設けていなくても,一律にこのような取扱いになる。
取締役
公開会社→非公開会社 退任しない
非公開会社→公開会社 退任する
委員会設置会社→委員会非設置会社 退任する
委員会非設置会社→委員会設置会社 退任する
イ 誤り。肢ア解説のとおり。
ウ 誤り。会社法では原則として累積投票により取締役を選任することが認められている。定款で定めることにより,累積投票を排除できる(342条1項)。
エ 正しい。会社法では,破産手続開始決定は,取締役の欠格事由に該当しなくなった。
しかし,破産手続開始決定は,民法上の委任の終了事由にあたり,会社と取締役は委任関係なので,委任の終了により,取締役の地位を失うことになる(民法653条2項)。
委任が終了するのは,任期中に取締役が破産手続開始決定を受けた場合である。これに対して,破産手続開始決定を受け,復権していない者を取締役に選任することはできる。
破産手続開始決定を受けたことは,取締役の欠格事由に該当しないからである。
取締役が在任中に破産手続開始決定 → 委任の終了により取締役の地位を失う
破産手続開始決定を受け,復権していない者 → 取締役に選任することができる
オ 誤り。委員会設置会社以外の取締役の任期は,原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までであるが(会社法332条1項),非公開会社においては,選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに,伸長することができる(332条2項)。
旧商法では「就任後」とされていたが,会社法では「選任後」に改められた。
以上より,正しいものの組合せはアとエであるから,正解は2。
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