トップページ > >> 民法2章4  物権法定主義他

   

メルマガ登録・解除
読者登録規約
 

民法2章4  物権法定主義他

8 物権法定主義
物権は、法律で定められたもの以外は認められず、当事者が勝手につくりだすことはできません(民法一七五条)。これを物権法定主義といいます。

 この点は、債権と対比して理解しておく必要があります。

物権と違って、債権は原則として当事者が自由にその内容を定めることができます。もちろん、不可能を強いたり、社会正義に反する内容のものなどはさすがに認められませんが、そうでない限り、当事者の合意によってさまざまな内容の債権を設定することができるのです。

たとえば、「一〇〇〇円あげるから庭掃除をしろ」という債権や「モデルとして採用するから、一か月で三キロダイエットしろ」という債権などでもかまいません。

 このような違いは、前述の物権と債権の性質の違いから導かれることです。すなわち、債権については、特定のAさんとBさんの間だけで主張される権利ですから、AさんとBさんさえ納得すればそれでいいのです。ユニークな債権を設定しても、当事者以外の者には迷惑がかからないのです。

 これに対して、

物権はだれに対しても主張できるものなので、法律で定められたもの以外に、好き勝手にいろんな種類の権利をつくりだされたら、他人に迷惑がかかりますし、社会的にも混乱します。

 たとえば、ある土地を譲り受けてみたら、「実は、今回譲渡したのは、私が考えだした物権で、土地を三日に一日だけ使用できるという権利だったのだ」などといわれたら困りますよね。


9 一物一権主義と区分所有法
① 一物一権主義とは
 一物一権主義とは、一つの物の上には、同一内容の物権は、一つしか存在できない、という原則をいいます。そもそも所有権などの物権は、物を直接的に支配して、その物権と矛盾する他人の権利を排除することができる権利であること(物権の排他性)から導かれる当然の帰結です。

 一物一権主義からすると、一個の物権の目的物は、一個の物でなければなりませんが、一個の物か数個の物かは、社会的・経済的観点から取引の実際を見て判断するしかありません。

生きた牛が取引される場合、牛一頭が一個の物ですが、解体されて食肉として取引される場合は、所有者によっていくつにも個数が分けられることになります。


② 区分所有法
 建物は一棟の建物全体が一個の物というべきですから、一物一権主義からすると、一棟の建物には一つの所有権しか成立しないはずです。

 しかし、マンションなどでは、一棟の建物の一部が独立して取引の対象となります。そこで、建物の一部に対する所有権も認めることとし、その法律関係を明確にするため、「建物の区分所有等に関する法律」(略して「区分所有法」)という法律がつくられました。

 区分所有法では、一棟の建物の部分を〓専有せんゆう〓部分〓と共用部  きようよう  〓分に区別します。専有部分とは、マンションの各室のことで、各自が単独で所有して、自分だけで使う部分です。

この専有部分に対する所有権のことを区分所有権といい、所有者のことを区分所有者といいます。

 これに対して共用部分とは、マンションの住民が皆で使う部分です。たとえば、階段室、エレベーター室、廊下などです。共用部分は、原則として、 区分所有者全員が共有 (共同所有) します。

 マンションをめぐる権利関係としては、敷地の問題も押さえておく必要があります。マンションは建物であり土地の上に建っていますから、専有部分を所有するためには、その敷地を利用する権利が必要です。これを敷地利用権といいますが、最も多い形態は敷地の所有権を区分所有者全員で共有するパターンです。

ただ、一部のマンションでは、地主が土地を所有したまま、区分所有者たちにその土地を貸す形態の場合もあります。法律的には、土地に地上権や賃借権を設定することになります。この場合、区分所有者たちは、地上権や賃借権を共有します。

 マンションの専有部分は、各区分所有者が単独で所有する物なので、各自で管理すればよいことですが、共用部分やマンションの敷地などは、皆で共同して管理していく必要があります。

 共用部分等の管理が円滑に行われるようにするため、マンションには、必ず管理組合というものが存在します。特に組合を結成する行為をしなくても、法律上、自動的に管理組合が置かれ、区分所有者がその構成員に組み込まれることになっています。

 この管理組合によって、マンションの管理を行っていくわけですが、必要があれば管理者(一般的なマンションでは理事長と呼ばれることが多い)を置くことができます。

 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する権限を有します。たとえば、エレベーターの保守点検を外部の業者に依頼するとき、管理者が区分所有者を代理して契約することができるわけです。


10 契約――契約の種類
 多くの債権は、契約という行為によって発生します。民法には次の一三種類の契約類型が定められています(民法五四九条~六九六条)。すなわち、贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負(うけおい)、委任、寄託(きたく)、組合、終身定期金、和解の一三種類です。

 一応、それぞれの契約の意味を簡単に説明しておきましょう。贈与とはただで物をあげる契約、売買とは代金を支払って物の所有権を取得する契約、交換とは物々交換をする契約、消費貸借とはお金などを借りる契約、使用貸借とは賃料なしで物を借りる契約、賃貸借とは賃料を支払って物を借りる契約、


請負とは報酬を支払って一定の仕事の完成を依頼する契約、委任とは他人に事務処理を頼む契約、寄託とは物を保管してもらう契約、組合とは人が集まって共同事業を行う契約、終身定期金とは一定の者が死亡するまでお金などをあげ続ける契約、和解とは互いに譲歩して争いをやめる契約です。


 これら一三種類は、あくまで典型的な契約を示しただけです。物権法定主義のところで述べたように、当事者の合意によって自由な債権を設定できるので、一三種類以外の独自の契約を締結することも可能です。

 また、一三種類の契約を締結する場合も、民法の条文に定められているのとは異なる契約内容を定めることも可能です。したがって、同じく売買契約であっても、契約ごとにその内容が異なる場合があることになります。

.......................................................

新たに携帯メルマガがスタートしました!!
『氷見敏明の楽学宅建ワンポイントレッスン』
.........................................................