「はじめて行政書士 民法」
植杉伸介著
住宅新報社刊
定価1995円(本体1900円)
24 「第三者」の範囲
「二重譲渡が行われた場合、先に対抗要件を得たほうが勝つ」という結論は、第三者が悪意の場合にも当てはまるのでしょうか。たとえば、AさんがBさんに土地を売却した後に、その売買の事実を知っているCさんが二重譲渡を受けた場合などです。
この問題については、次のような話を想像してみるとよいでしょう。
あなたは村の長老です。ある日、村内のもめ事について相談を持ちかけられました。Aさんが持っていた一枚の田んぼをめぐって、村人BとCが互いに「俺のものだ」と争っているのです。
そこで、事情を調べてみると、Bはきちんとお金を払ってその田んぼを譲り受けたが、Cは自分の田んぼの隣りにあるのをよいことに勝手に占拠していることがわかりました。あなたならどうしますか。当然、Bの勝ちとしますよね。
ところが、BとCどちらもきちんとお金を払って譲り受けていた場合は、どうでしょうか。どちらを勝たせたらよいか、困ると思います。でも、どちらかを勝たせないと、いつまでももめ事が収まりません。そこで、前述のように登記で決着を図ることにしたのです。
以上の話で、「第三者」の範囲が見えてきたのではないでしょうか。法律の世界もその根本をさかのぼれば、村の長老がもめ事を解決する場合と同じです。

