2009年6月アーカイブ

2)出題分野

 行政書士試験での行政法の主な出題項目を示すと,表2-1,2のようになります。
 行政書士の場合には,そもそも出題数が多いので,これらの項目が満遍なく出題されるという傾向があります。

( 行政書士試験での行政法の出題項目:法令)

○行政法の一般理論: 

 出題事項;   :権限の委任・代理,通達,行政行為の効力,瑕疵ある行政行為,行政行為の種類,   行政行為の附款,行政立法,公物,行政強制,行政罰;

○行政作用法:  行政手続法:

 出題事項;   :目的,適用除外,審査基準,標準処理期間,聴聞手続,行政指導の方式,意見公募手続;

○行政事件訴訟法:行政事件訴訟法

 出題事項;   :行政事件訴訟の種類,取消訴訟,原告適格,当事者訴訟,機関訴訟,出訴期間,執行停止,内閣総理大臣の異議,事情判決

○行政救済法:行政不服審査法:

 出題事項;   :不服申立ての種類,一般概括主義,審査請求と異議申立て,不服申立て期間,審理の方法,執行停止,教示;

○行政救済法 国家賠償法

 出題事項; 1条関係,2条関係,民法の適用

;○行政組織法:;内閣府設置法:

 出題事項; 外局(庁・委員会);

○地方自治法: : 

 出題事項;  地方公共団体の事務の種類,条例と規則,直接請求権,議会と議員,執行機関,財務,公の施設,地縁による団体;

○その他: :出題事項;  損失補償


 

行政書士と公務員,同時攻略のすすめ
 「公務員試験を受けるなら,行政書士試験も受けてごらんよ」。十数年前までこんな言葉をよく聞きました。当時,行政書士試験は今ほど難しくなく,行政職の公務員を目指す人なら行政書士試験に十分に合格するだけの力があったからです。

 その後,行政書士試験は難易度が上がり「難関法律資格試験」の1つとなりました。そのため,逆に「行政書士試験を受けるなら,公務員試験を受けてごらんよ」といった声さえ聞こえるようになりました。

 どちらにしても,こうした声が聞こえてくるのは,行政書士試験も行政職の公務員試験も試験科目がたいへん似ているからです。せっかく勉強したのなら,同時に受けてみることを考えてみてはいかがでしょうか? たとえ,公務員になるにしても行政書士の資格を先に取って損はないでしょう。

 また,行政書士より先に行われる公務員試験です。「力試しのつもりで受験する」というのもいいかもしれません。公務員に合格すれば,将来の安定が保障されます。合格して悪いはずがありません。 

そこで,どのような行為が「処分」に該当するのかに関して,多くの判例が出ています。重要な判例もありますので,ここで,いくつかの判例を見てみましょう。

1 「処分性」
(1) 対外的行為
 処分といえるためには「直接国民の権利義務を形成し,またはその範囲を確定」することでなければいけないので,行政内部の行為は処分性がないことになります。

 判例は,知事に対する建築許可の申請に関して,消防法7条に基づいて消防長が知事に対して行う同意,不同意は処分に該当しないとして,次のように述べています。

「行政処分の取消し変更を求める訴を規定しているのは,公権力の主体たる国又は公共団体がその行為によって,国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められている場合に,行政庁によってなされる具体的行為によって,権利を侵害された者のために,その違法を主張せしめ,その効力を失わしめるためである。

従って,かかる抗告訴訟の対象となるべき行政庁の行為は,対国民との直接の関係において,その権利義務に関係あるものたることを必要とし,行政機関相互間における行為は,その行為が,国民に対する直接の関係において,その権利義務を形成し,又はその範囲を確定する効果を伴うものでない限りは,抗告訴訟の対象とならない」(最判昭34・1・29)。

 なお,この判例も,「知事のなした建築出願不許可処分に対し,その違法を理由として行政訴訟を適法に提起し,その訴訟において,右不許可処分の前提となった消防長の同意拒絶乃至同意取消しの違法を主張しうることは格別......」として,建築確認自体は処分性があることを認めています。

次に,最重要の訴訟である,「抗告訴訟」に共通する「処分性」に関する問題を1つ出してみましょう。

問題2
 最高裁判所は,「行政事件特例法1条にいう行政庁の処分とは,行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,......をいうものである」としている。この「......」の部分に入るべき文章を40字程度で記述せよ。
 *行政事件特例法の「処分」に関する判例は,現在の行政事件訴訟法の「処分」にも当てはまる。


解説
「処分性」とは,行政行為が,「行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる」ことをいいます。この処分性を有しない行為は,広い意味での訴えの利益を欠くものとして,訴えが却下されます。

 この処分性に関しての,一般的定義を提示したものが上記判例です。判例は,次のように述べています。

「行政事件訴訟特例法1条にいう行政庁の処分とは,行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうものである」とし,

行政法の記述式は,さまざまな法律から出題されていますが,今回は,行政事件訴訟法からです。行政事件訴訟法からは,「原告適格」や「訴訟類型」が問われていますが,今回は「抗告訴訟」に関する問題です。

問題1
 行政事件訴訟法では,「抗告訴訟」としてさまざまな訴訟を掲げている。平成16年に追加された「義務付けの訴え」「差止めの訴え」,それ以前から規定されていた,「不作為の違法確認の訴え」「無効等確認の訴え」「処分の取消しの訴え」「裁決の取消しの訴え」がある。このうち,「処分の取消しの訴え」とは,どのような訴訟をいうか。40字程度で記述しなさい。             
              
  解説
 この問題は,「処分の取消しの訴え」とはどのような訴訟をいうのか,でも事足りたのですが,行政事件訴訟の全体構造をつかんでもらうために,わざわざこのような出題としました。

抗告訴訟のうちでも最も重要な「取消訴訟」ですので,これくらいは暗記できていてもよいでしょう。

1 行政事件訴訟の類型
 行政事件訴訟法は,行政事件訴訟の形を「抗告訴訟」「当事者訴訟」「民衆訴訟」「機関訴訟」の4つに分けています。

 このうち,「当事者訴訟」とは,当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分または裁決に関する訴訟で法令の規定により,その法律関係の当事者の一方を被告とするものおよび公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいいます(行政事件訴訟法4条)。
「民衆訴訟」とは,国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で,選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(5条)。

「機関訴訟」とは,国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟をいいます(6条)。
 しかし,なんといっても最重要なのは「抗告訴訟であり,それが本問の出題です。

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