次に,最重要の訴訟である,「抗告訴訟」に共通する「処分性」に関する問題を1つ出してみましょう。
問題2
最高裁判所は,「行政事件特例法1条にいう行政庁の処分とは,行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,......をいうものである」としている。この「......」の部分に入るべき文章を40字程度で記述せよ。
*行政事件特例法の「処分」に関する判例は,現在の行政事件訴訟法の「処分」にも当てはまる。
解説
「処分性」とは,行政行為が,「行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる」ことをいいます。この処分性を有しない行為は,広い意味での訴えの利益を欠くものとして,訴えが却下されます。
この処分性に関しての,一般的定義を提示したものが上記判例です。判例は,次のように述べています。
「行政事件訴訟特例法1条にいう行政庁の処分とは,行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうものである」とし,
さらに続けて,「そして,かかる行政庁の行為は,公共の福祉の維持,増進のために,法の内容を実現することを目的とし,正当の権限ある行政庁により,法に準拠してなされるもので,社会公共の福祉に極めて関係の深い事柄であるから......
行政庁の右のような行為は仮に違法なものであっても,それが正当な権限を有する機関により取り消されるまでは,一応適法性の推定を受け有効として取り扱われるものであることを認め,これによって権利,利益を侵害された者の救済については,通常の民事訴訟の方法によることなく,特別の規定によるべきこととしたのである」としています(最判昭39・10・19)。
したがって,解答例は以下のようになります。
解答例
直接国民の権利義務を形成し,またはその範囲を確定することが法律上認められているもの。(42字)
上記判例は,著名な判例ですので,ぜひ押さえておきましょう。
なお,「処分性」は,憲法の訴訟要件である「法律上の争訟」に似た概念ですね。
ところが,ここで新たな問題がおきてきました。「直接国民の権利義務を形成し,またはその範囲を確定することが法律上認められているもの」とはいっても,具体的にどのような行為が該当するかが必ずしも明確ではないのです。
そこで,どのような行為が「処分」に該当するのかに関して,多くの判例が出ています。重要な判例もありますので,ここで,いくつかの判例を見てみましょう。

