国家試験記述式・択一式対策 「行政書士」 行政法記述式1 小川多聞

行政法の記述式は,さまざまな法律から出題されていますが,今回は,行政事件訴訟法からです。行政事件訴訟法からは,「原告適格」や「訴訟類型」が問われていますが,今回は「抗告訴訟」に関する問題です。

問題1
 行政事件訴訟法では,「抗告訴訟」としてさまざまな訴訟を掲げている。平成16年に追加された「義務付けの訴え」「差止めの訴え」,それ以前から規定されていた,「不作為の違法確認の訴え」「無効等確認の訴え」「処分の取消しの訴え」「裁決の取消しの訴え」がある。このうち,「処分の取消しの訴え」とは,どのような訴訟をいうか。40字程度で記述しなさい。             
              
  解説
 この問題は,「処分の取消しの訴え」とはどのような訴訟をいうのか,でも事足りたのですが,行政事件訴訟の全体構造をつかんでもらうために,わざわざこのような出題としました。

抗告訴訟のうちでも最も重要な「取消訴訟」ですので,これくらいは暗記できていてもよいでしょう。

1 行政事件訴訟の類型
 行政事件訴訟法は,行政事件訴訟の形を「抗告訴訟」「当事者訴訟」「民衆訴訟」「機関訴訟」の4つに分けています。

 このうち,「当事者訴訟」とは,当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分または裁決に関する訴訟で法令の規定により,その法律関係の当事者の一方を被告とするものおよび公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいいます(行政事件訴訟法4条)。
「民衆訴訟」とは,国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で,選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(5条)。

「機関訴訟」とは,国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟をいいます(6条)。
 しかし,なんといっても最重要なのは「抗告訴訟であり,それが本問の出題です。

2 抗告訴訟
(1) 抗告訴訟とは
「抗告訴訟」とは,行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいいます(3条1項)。この不服には,公権力がなされたことによる不服と,公権力がなされないことに対する不服を含むものと考えられます。

 この「抗告訴訟」の類型として,①「処分の取消しの訴え」,②「裁決の取消しの訴え」,③「無効等確認の訴え」,④「不作為の違法確認の訴え」,⑤「義務付けの訴え」,⑥「差止めの訴え」があります。

(2) 処分の取消しの訴え
「処分の取消しの訴え」とは,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(裁決,決定その他の行為を除く)の取消しを求める訴訟をいいます(3条2項)。
 したがって,解答例としては,以下のようになります。

解答例
 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(裁決,決定等を除く)の取消しを求める訴訟。(43字)
 このようなことが記載されていればよいでしょう。

(3) 裁決の取消しの訴え
「裁決の取消しの訴え」とは,審査請求,異議申立てその他の不服申立てに対する行政庁の裁決,決定その他の行為の取消しを求める訴訟をいいます(3条3項)。これは,行政不服審査法等による,裁決(決定を含む)に関する不服申立てということになります。

(4) 無効等の確認の訴え
「無効等の確認の訴え」とは,処分もしくは裁決の存否またはその効力の有無の確認を求める訴訟をいいます(3条4項)。取消訴訟には,出訴期間の制限等の厳格な要件がありますが,「無効等の確認の訴え」には,このような制限はありません。

(5) 不作為の違法確認の訴え
「不作為の違法確認の訴え」とは,行政庁が法令に基づく申請に対し,相当の期間内に何らかの処分または裁決をすべきであるにもかかわらず,これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいいます(3条5項)。

(6) 義務付けの訴え
「義務付けの訴え」とは,次に掲げる場合において,行政庁がその処分または裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいいます(3条6項)。

① 行政庁が一定の処分をすべきであるにもかかわらず,これがされないとき(②に掲げる場合を除く)。

② 行政庁に対し一定の処分または裁決を求める旨の法令に基づく申請または審査請求がされた場合において,当該行政庁がその処分または裁決をすべきであるにもかかわらず,これがされないとき。

(7) 差止めの訴え
「差止めの訴え」とは,行政庁が一定の処分または裁決をすべきでないにもかかわらず,これがされようとしている場合において,行政庁がその処分または裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいいます(3条7項)。

以上が,行政事件訴訟の類型です。

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