「行政書士試験と公務員試験」 公務員試験攻略法4 小川多聞

2)どのようなテキスト問題集を選ぶべきか
 実は,これが一番重要なところかもしれません。テキストは,受験生にとって一番重要であるにもかかわらず,それほど種類があるわけではありません。

 考えられる第一は,市販された大学教授の書いたテキストはどうかということです。たとえば,憲法は芦部信善,民法は内田貴,行政法は塩野宏といったところです。これらのテキストは,「絶対に選ぶな」という公務員講座の先生もいます。

なぜなら,「これらの定評あるテキストのほとんどは,大学の講義用(しかも東大生など)に書かれたものであり,難解なうえに公務員試験用としては無駄な記述が多い」というのです。まったく,大賛成です。こういったテキストは,東大生にしか分からないようにできているのです。したがって,東大生以外の人には勧められません。

 そうすると,次にあるテキストは,資格予備校等によって書かれたテキストです。TAC,LEC,Wセミナー,実務教育出版といったところのテキストです(これらのテキストは市販されています)。これらのテキストは,おおむね試験のレベルをとらえています。記述にも無駄がありません。 

したがって,このような予備校テキストを使用するのがよいでしょう。ただし,予備校テキストは,制度の根本趣旨といった,いわゆる一番重要な基本原理については記述が薄くなっています。予備校の先生は,その道の専門家ではありませんので,どうしても基本原理については自信を持って書けないところがあるのです。したがって,そのへんのところは妥協して読む必要があります。

 テキストとともに重要なのが問題集です。この問題集に関しても,あふれるほど市販されていますので,テキストに合わせて同じ予備校の問題集を使用すればよいでしょう。テキストも分野別のテキストがありますし,問題集も分野別のものを使用すべきでしょう。

分野別の問題集は,分野ごとに数年分がまとめられていますので,知識を整理することに役立つからです。問題集を選ぶ場合は,予想問題集よりも過去問題集がいいでしょう。実際の試験に出題された問題を解くことによって,本試験の傾向とレベルが把握できるからです。国家〓種も地方上級試験も分野別の過去問題集が出版されています。

 代表的なテキストと問題集を挙げておきましょう(ただし,これ以外にもよいテキストはあります)。
○テキスト
 『公務員Vテキスト』(TAC)
 『出る順公務員基本テキスト』(LEC)
 『20日で学ぶシリーズ』(実務教育出版)
○問題集
 『過去問DASH』(TAC)
 『ウォーク問』(LEC)
 『スーパー過去問ゼミ』(実務教育出版)


(3)学習のやり方
 基本的には,どの科目も同じようなやり方でよいでしょう。
 まず,テキストを通読しましょう。それで,全体像をつかんでください。その後は,テキストの1つの章,たとえば,憲法でしたら「憲法総論」的な記述があるでしょうから,その部分を読みます。ページ数にすれば,10ページから20ページ程度の区切りのよいところで区切るのがよいでしょう。

次に,該当部分の問題集を解いてみます。覚えたら直ちに確認することです(鉄は熱いうちに鍛えよ)。こうしないと,メリハリがつかず,ダラダラとしてしまいます。

 この問題を解く際には,なぜその肢は間違いなのか(妥当でないのか)を必ず理由を付けるようにしましょう。初心者の間違いは,答えが合ったかどうかだけを見て,自分の理由付けが合っていたかどうかを検討しないことです。これをやらないと,次に形を変えて出題された場合に,また間違えてしまいます。いつまでたっても,合格点に2~3点足りない人は,この理由付けを十分やっていない人です。

 問題が終わったら,直ちに答えを合わせましょう。そして,自分の付けた理由と解説の理由が違っていたり,よく分からないが勘で正解に達したところについて,テキストで確認しましょう。この作業によって,知識が体に染み込みます。この作業は実に大変な作業ですが,この程度の苦労をしないと,なかなか知識が身に付きません。

ただし,これをやりすぎると途方もない時間がかかってしまいますので,自分のテキストの該当箇所を5分かかっても見つけられないときはあきらめて,テキストの余白に問題集の解説を書き写しておきます。あとで該当箇所が見つかったら,書き込みを消しておけばよいでしょう。

このようにしておけば,テキストに愛着もわき,「どうしても合格しなければ!」という意気込みもわいてきます。

 これを教養科目,専門科目と来る日も来る日もやり続けなければなりません。これくらいは,たいした苦労ともいえないでしょう。

 くれぐれも,公務員試験に合格するための魔法のウラワザがあるとは思わないでください。受験技術は,十分な基礎知識があってこその技術です。上記学習法は,その基礎知識を身に付けるための最低限の学習法です。この基礎知識を身に付けた人が,受験技術を追求することはいいでしょう。

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