行政書士直前対策 民法記述式 予想問題と解説3 小川多聞

問題3
 「根抵当権」とは,どのようなものか。40字程度で記述しなさい。


 解説
(1)根抵当権とは
 たとえば,家電販売店Aと家電メーカーB社との間で,B社のテレビをAが継続的に購入し,その代金を毎月末に支払うこととしたとします。

 この代金債権を担保するため,普通抵当権をAの店舗およびその敷地に設定したとします。この場合,Aが債務を弁済すると付従性により抵当権は消滅することになります。

さらに,新たにB社がテレビを供給すると,その代金を担保するため,新たな抵当権を設定する必要が生じることになります。これでは,抵当権の設定手続が面倒であるだけでなく,その登記料も膨大なものとなってしまい,とても耐えられません。

 そこで,債務者が債務を弁済しても抵当権は消滅せず,また新たに債務が発生した場合に,その債務も同一の抵当権で担保できるという抵当権が必要となってきました。これが根抵当権ということになります。
 民法は,「抵当権は,設定行為で定めるところにより,一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる」と規定しています(民法398条の2第1項)。

解答例
一定の範囲に属する不特定の債権を,極度額の限度において担保するために設定された抵当権。(43字)


 債権の範囲は,「一定の範囲に属する」不特定の債権でなければなりません。このことは,「B社がAに対して有する一切の債権」を担保するという「包括根抵当権」を認めないことを意味します。このため,民法398条の2第2項・3項で,次のように,「不特定の債権」の範囲を定めています。


 根抵当権の担保すべき不特定の債権の範囲は,債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して,定めなければならない(398条の2第2項)。

 「特定の継続的取引」から生じる債権とは,電気製品供給契約などの特定の契約(基本契約)から生じる債権です。

 「一定の種類の取引」から生じる債権とは,銀行取引,電気製品売買取引など,取引の種類が限定される場合です。この場合は,「基本契約」は不要とされています。

 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は,前項の規定にかかわらず,根抵当権の担保すべき債権とすることができる(398条の2第3項)。
 「特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権」とは,空港の騒音から生じる損害賠償請求権などです。
 不特定の債権については,かなり付従性を緩和しているものの,包括根抵当権は認められていません。

 「極度額」も根抵当権の設定契約において定めなければならない重要な概念です。根抵当権者は,極度額の限度において弁済を受けることができますので,後順位抵当権者は,極度額の限度まで根抵当権者に配当されることを覚悟しなければなりません。

確定した被担保債権が極度額よりも少額にとどまるだろうという後順位抵当権者等の期待は,事実上のものであり,法律上は一切保護されないことになります。この極度額の存在により,債務者の交代や,被担保債権の変更等が根抵当権者と根抵当権設定者の間で,自由に行えることになります。