2009年12月アーカイブ

一般知識等

 本年度の一般知識は,昨年度に比べおのおのの問題の難易度はやさしかったといえる。ただし,社会系が従来の6問から7問と1問増え,逆に個人情報保護・情報通信が5問から4問と1問減ったのが,大きな特徴であった。

 もっとも,この出題数の変化が今年だけなのか,今後も続くのかは慎重に見極める必要があるが,社会系に重点が置かれたと考えるよりも,従来の「政治・経済・社会」という枠組みではなく,一般知識が「行政書士業務との関連」であるという基本的な視点で捉え直すことのほうが,より重要と考えられる。

 一般知識の14問の出題の内訳を整理すると,「政治・3問」「経済・1問」「社会・3問」の計7問。「個人情報保護・情報通信」は「個人情報保護・1問」「情報通信・3問」の計4問。「文章理解」は例年どおり3問の出題であった。社会系の7問,個人情報保護・情報通信が4問といった出題数の変化は,おのおのの問題が昨年よりもやさしかった反面,より幅広い知識が問われたといえる。

 したがって,本年度の一般知識では,例年のような難問はなく,問題48(行政改革),問題49(教育制度),問題59(要旨把握)以外の11問は十分正解できた問題であったといえる。一般知識の足切り点に,どれだけ上乗せできたかが法令との合計での最終的な合否に関係してくるといえるのではないだろうか。

 本年度の傾向としては,出題科目の増減よりも,教育制度や生活保護,インターネット利用時の青少年との関連など,現在の社会全体の流れや問題点といった時事的な要素と,行政書士業務との関連を意識していれば十分対応できる内容であった。そうした意味では,文章理解の「アスペルガー」や「土木」についての内容も,示唆に富んだ文章であったと考えることもできるのではないだろうか。

地方自治法等

 「行政組織法」の分野からの出題は,地方自治法から4問,国家公務員法から1問,国家行政組織法および内閣府設置法から1問の計6問であった。

 地方自治法については,地方自治の諸原則等に係る地方自治法の条文内容,監査制度,一部事務組合および住民監査請求に関する問題が出題されたが,いずれも,条文知識さえあれば容易に正解を導くことのできる問題であったと思われる。

 また,国家公務員法や内閣府設置法など,従来の出題範囲とは異なる法律からの出題もあったが,いずれも,細部にわたる条文知識や応用力が問われるものではなく,行政組織法に関する基礎的な知識と社会常識の範囲内で十分に正答が可能なものであったと思われる。

 いずれにせよ,今年度の「行政組織法」の分野からの出題は,難易度が低く設定されており,とりこぼすことのないようにしておきたい分野であるといえる。


民 法

 民法の択一問題の出題数は9問であり(問題27から問題35まで),そのうちの7問(問題28から問題33までと,問題35)は,選択肢の組合せ問題である。また,判例からの出題が非常に多く,読むのが嫌になるような長文の問題(問題28)や,最高裁判所の判決文の一節をテーマにした問題(問題33)もあった。

 そして,比較的短い文章の問題であっても,内容的に細かい点を出題しているために,難解な問題となっているものもあった。たとえば,根抵当権に関する出題(問題29)や,連帯債務の免除に関する出題(問題31)である。

 また,民法全体の体系的理解が必要な複合問題が多いのも,特徴の1つである。たとえば,問題27では,代理に関する出題の中で,親権者と子の利益相反行為についても出題している。
 問題30は,催告をテーマにして,さまざまな分野から出題しており,問題32も,費用の償還をテーマにして,さまざまな分野から出題している。

 不法行為に関する出題(問題34)においても,さまざまな種類の不法行為について出題している。
 全体的には,事例分析力や体系的理解力を必要とする難問が多いといえるであろう。

☆全体講評

 問題の形式や科目ごとの出題数について大きな変化はなかった。ただし,現行の試験形式になった平成18年度以降,地方自治法の択一式問題の出題数はずっと5問であったが,今年度は4問に減少するという変化は見られた。

 問題の難易度については,全体的に見ると昨年度とあまり変わらないように思われる。筆者の主観的な判断ではあるが,昨年と比べてBランク(やや難しいレベル)の問題数が増えているが,その代わりDランク(最もやさしいレベル)の問題数も増えており,全体的な難易度のバランスはとれているからである。

 

☆基礎法学

 問題1は,各種の法規の概念や相互の関係等に関する問題であるが,記述内容自体難しくなかったし,正誤の判断がついた記述を手がかりに選択肢を絞り込んでいけば,容易に解答できたはずである。
 問題2は,いわゆる「法テラス」の業務について,かなり細かい点まで知っていなければ解答できない問題であり,相当な難問である。本問は,落としてもよい問題であろう。

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