☆全体講評
問題の形式や科目ごとの出題数について大きな変化はなかった。ただし,現行の試験形式になった平成18年度以降,地方自治法の択一式問題の出題数はずっと5問であったが,今年度は4問に減少するという変化は見られた。
問題の難易度については,全体的に見ると昨年度とあまり変わらないように思われる。筆者の主観的な判断ではあるが,昨年と比べてBランク(やや難しいレベル)の問題数が増えているが,その代わりDランク(最もやさしいレベル)の問題数も増えており,全体的な難易度のバランスはとれているからである。
☆基礎法学
問題1は,各種の法規の概念や相互の関係等に関する問題であるが,記述内容自体難しくなかったし,正誤の判断がついた記述を手がかりに選択肢を絞り込んでいけば,容易に解答できたはずである。
問題2は,いわゆる「法テラス」の業務について,かなり細かい点まで知っていなければ解答できない問題であり,相当な難問である。本問は,落としてもよい問題であろう。
問題3は,行政書士受験用に執筆されたテキストには書かれていないが,学術的な基本書には書かれている内容に関する問題である。このような問題に対応するためには,主要科目である憲法,行政法,民法については,図書館などで基本書の最初のほうに書かれている総論部分に一通り目を通しておくとよいだろう。
問題4は,一見すると変わった問題に思えるが,実は単純に判例の知識を問う問題にすぎない。問題形式に惑わされないことが大切である。
問題5は,精神的な自由に関する判例の知識を問う問題であり,難易度は平均的である。
問題6は,設問に示されている判決文をしっかりと読み込んで,国語力を働かせれば正解できたはずである。このような問題は,知識で解こうとせず,問題の文章だけから素直に考えて解答を導くほうがよい。
問題7は,単純な条文の知識に関する問題であり,落としてはいけない問題である。
☆行政法関連
問題8から問題10まではいわゆる行政法の一般理論からの出題である。
問題8は都市計画を例にとった行政計画に関する出題であるが,行政事件訴訟法や判例の知識なども必要であり,少々解答に骨が折れたのではないか。
問題9は行政機関に関する問題だが,どれもテキストで触れられている内容のもの。
問題10の行政強制に関する問題も1を除きいずれも基本的な論点に関するものである。
行政手続法からは,択一問題が問題11~問題12の2問であった。「行政審判」を問う問題13も含めて,いずれも難問の部類に入るであろう。ただし,奇をてらった問題ではなく,日ごろの学習の成果を問うものである。
行政不服審査法からは,問題14と問題15の2問であった。
問題14は,やさしい問題であり,「不利益変更の禁止」という立法の基本を考えさせる問題である。
問題15は,問い方は新規なものであるが,内容的にはやさしい問題である。行政不服審査法の問題は,落とすことのできない問題というべきであろう。
行政事件訴訟法は,択一式が問題16~問題18の3問,そして,記述式が問題44で,合わせて4問である。
問題16が,「被告適格」に関する問題,問題17は,「仮の救済制度」であり,問題18は,「訴訟形態」に関する問題であった。特に訴訟形態を問う問題は,毎年のように出題されている。行政事件訴訟法の入り口であり,かつ,理解が困難な分野なので,腰をすえた学習が要求される。
問題19と問題20は,いずれも国家賠償法からの出題である。問題19については基本的な出題であるが,問題20は最新の最高裁判例の知識も必要であり難しい問題といえる。『行政法判例百選』に掲載されるような判例は知っておく必要があるといわれればそれまでだが,科目数の多い行政書士試験受験生には少し無理な注文であろう。

