2010年1月アーカイブ

問題17 行政事件訴訟法に定められた仮の救済制度に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については,行政事件訴訟法の定める執行停止,仮の義務付けおよび仮の差止めのほか,民事保全法に規定する仮処分を行うことができる。

2 仮の義務付けおよび仮の差止めは,それぞれ義務付け訴訟ないし差止め訴訟を提起しなければ申し立てることができないが,執行停止については,取消訴訟または無効等確認訴訟を提起しなくても,単独でこれを申し立てることができる。

3 申請に対する拒否処分に対して執行停止を申し立て,それが認められた場合,当該申請が認められたのと同じ状態をもたらすことになるので,その限りにおいて当該処分について仮の義務付けが認められたのと変わりがない。

4 執行停止は,本案について理由がないとみえるときはすることができないのに対して,仮の義務付けおよび仮の差止めは,本案について理由があるとみえるときでなければすることができない。

5 処分の執行停止は,当該処分の相手方のほか,一定の第三者も申し立てることができるが,処分の仮の義務付けおよび仮の差止めは,当該処分の相手方に限り申し立てることができる。

 

問題16 行政事件訴訟法に関する次のア~オの記述のうち,正しいものはいくつあるか。


ア 国の行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は,国である。


イ 国の行政庁が行うべき処分に関する不作為の違法確認訴訟の被告は,当該行政庁である。

ウ 国の行政庁が行うべき処分に関する義務付け訴訟の被告は,当該行政庁である。

エ 国の行政庁が行おうとしている処分に関する差止め訴訟の被告は,当該行政庁である。

オ 国又は地方公共団体に所属しない行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は,当該行政庁である。

1 一つ  2 二つ  3 三つ     4 四つ  5 五つ


 

問題15 次の記述のうち,行政不服審査法に関する問題点として,次の解説文中の空欄Aに挿入すべきでないものはどれか。

 1962(昭和37)年制定の現行行政不服審査法は,それ以前の訴願法と比べれば,権利救済制度として大きく改善されたが,現在では,Aという問題点も指摘されている。また,1993(平成5)年の行政手続法の制定や2004(平成16)年の行政事件訴訟法改正などとの関係で,見直しが必要だと考えられるようになった。このため,行政不服審査法の抜本的な改正が検討されることとなったのである。

1 行政不服審査法によらない不服申立ての仕組みが多数あるため,一般国民にとってわかりづらく,利用しづらい制度になっている

2 取消訴訟を提起するためには不服申立てに対する裁決または決定を経ることが原則とされているため,権利救済の途が狭められている

3 審理にかなり時間を要しているのが実態であるため,簡易迅速という特色が生かされていない

4 行政権の自己審査であるため,審理手続の運用において公平さに欠けるところが多い

5 不服申立て期間が短いため,権利救済の機会が狭められている

 

問題14 処分についての審査請求に対する裁決に関する次の記述のうち,妥当なものはどれか。


1 裁決には理由を附すこととされているが,これが附されていなくとも,裁決が違法となることはない。

2 裁決においては,違法を理由として処分を取消すことはできるが,不当を理由として取消すことはできない。

3 裁決は,書面ですることが原則であるが,緊急を要する場合は,口頭ですることも許される。

4 裁決に対して不服がある場合でも,これに対して行政事件訴訟法による取消訴訟を提起することはできない。

5 裁決においては,処分を変更することが許される場合でも,これを審査請求人の不利益に変更することはできない。

問題13 次の手続のうち,私人間紛争の裁定的性格を有する行政審判に該当するものの組合せはどれか。

ア 海技士等に対する懲戒処分を行うための海難審判所における審判・裁決の手続

イ 不当労働行為に係る救済命令のための労働委員会における審問・命令の手続

ウ 免許取消しのために実施される電波監理審議会における意見聴取手続

エ 特許無効審判が請求された場合に行われる特許庁における審判・審決の手続

オ 暴力主義的破壊活動を行う団体に対する規制処分のための公安審査委員会における審査手続

1 ア・イ  2 イ・ウ  3 イ・エ    4 ウ・エ  5 エ・オ

 

問題12 行政手続法1条が定める同法の目的に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1 行政手続法は,政府の諸活動について国民に説明する責務が全うされるようにすることを主な目的とする。

2 行政手続法は,行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り,もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。

3 行政手続法は,簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに,行政の適正な運営を確保することを目的とする。

4 行政手続法は,国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。

5 行政手続法は,国の行政事務の能率的な遂行のために必要な組織を整えることによって,公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的とする。

 

問題11 行政手続法が定める不利益処分に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1 弁明の機会の付与における弁明は,行政庁が書面ですることを認めたときを除き,指定された日時及び場所において,口頭で行うものとされている。

2 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは,聴聞を行わなければならないとされているが,ここにいう許認可等を取り消す不利益処分には,行政法学上の取消しと撤回の双方が含まれる。

3 行政指導に従わない場合に行われる当該事実の公表は,行政手続法上,不利益処分とされ,それを行う場合は,弁明の機会の付与を行わなければならないと規定されている。

4 聴聞において,当事者が利害関係者の参加を求めたにもかかわらず,行政庁がこれを不許可とした場合には,行政不服審査法に基づく不服申立てをすることができる。

5 申請に対して拒否処分を行う場合は,行政手続法上,不利益処分に該当するので,弁明の機会の付与を行わなければならない。

 

問題10 行政強制に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1 法律の委任による条例に基づき行政庁により命ぜられた行為については,行政代執行法は適用されない。

2 義務の不履行があった場合,直接に義務者の身体や財産に実力を加えることを即時強制という。

3 執行罰は,制裁的な要素を有するため,同一の義務違反に対して複数回にわたり処することはできない。

4 強制徴収手続は,租税債務の不履行のみならず,法律の定めがある場合には,その他の金銭債権の徴収についても実施される。

5 行政上の即時強制については,行政代執行法にその手続等に関する通則的な規定が置かれている。

 

問題9 行政機関に関する次の記述のうち,正しいものはいくつあるか。

ア 行政庁とは,行政主体の意思を決定し,これを外部に表示する権限を有する行政機関をいう。

イ 国家行政組織法には行政庁は独任制でなければならないとの規定があり,わが国には合議制の行政庁は存在しない。

ウ 上級行政庁は下級行政庁に対して監視権や取消権などの指揮監督権を有するが,訓令権については認められていない。

エ 行政庁がその権限の一部を他の行政機関に委任した場合であっても,権限の所在自体は,委任した行政庁から受任機関には移らない。

オ 法定の事実の発生に基づいて,法律上当然に行政機関の間に代理関係の生ずる場合を,授権代理という。

1 一つ  2 二つ  3 三つ
4 四つ  5 五つ

 

問題8 行政計画に関する次の記述のうち,妥当なものはどれか。
1 土地利用を制限する用途地域などの都市計画の決定についても,侵害留保説によれば法律の根拠が必要である。

2 広範な計画裁量については裁判所による十分な統制を期待することができないため,計画の策定は,行政手続法に基づく意見公募手続の対象となっている。

3 計画策定権者に広範な裁量が認められるのが行政計画の特徴であるので,裁判所による計画裁量の統制は,重大な事実誤認の有無の審査に限られる。

4 都市計画法上の土地利用制限は,当然に受忍すべきとはいえない特別の犠牲であるから,損失補償が一般的に認められている。

5 多数の利害関係者に不利益をもたらしうる拘束的な計画については,行政事件訴訟法において,それを争うための特別の訴訟類型が法定されている。

 

問題7 衆議院と参議院の議決に一致がみられない状況において,クローズアップされてくるのが両院協議会の存在である。日本国憲法の定めによると,両院協議会を必ずしも開かなくてもよいとされている場合は,次のうちどれか。

1 衆議院が先議した予算について参議院が異なった議決を行った場合
2 内閣総理大臣の指名について衆参両院が異なった議決を行った場合
3 衆議院で可決された法律案を参議院が否決した場合
4 衆議院が承認した条約を参議院が承認しない場合
5 参議院が承認した条約を衆議院が承認しない場合

問題6 次の文章は,ある最高裁判所判決の一節である。この文章の趣旨と適合しないものはどれか。

〔憲法23〕条の学問の自由は,学問的研究の自由とその研究結果の発表の自由とを含むものであって,同条が学問の自由はこれを保障すると規定したのは,一面において,広くすべての国民に対してそれらの自由を保障するとともに,他面において,大学が学術の中心として深く真理を探究することを本質とすることにかんがみて,特に大学におけるそれらの自由を保障することを趣旨としたものである。

教育ないし教授の自由は,学問の自由と密接な関係を有するけれども,必ずしもこれに含まれるものではない。

しかし,大学については,憲法の右の趣旨と,これに沿って学校教育法52条*が「大学は,学術の中心として,広く知識を授けるとともに,深く専門の学芸を教授研究」することを目的とするとしていることとに基づいて,大学において教授その他の研究者がその専門の研究の結果を教授する自由は,これを保障されると解するのを相当とする。

すなわち,教授その他の研究者は,その研究の結果を大学の講義または演習において教授する自由を保障されるのである。そして,以上の自由は,すべて公共の福祉による制限を免れるものではないが,大学における自由は,右のような大学の本質に基づいて,一般の場合よりもある程度で広く認められると解される。
(最大判昭和38年5月22日刑集17巻4号370頁以下)

1 大学における学生の集会は,大学の公認した学内団体であるとか,大学の許可した学内集会であるとかいうことのみによって,特別な自由と自治を享有するものではない。

2 大学の自治は,とくに大学の教授その他の研究者の人事に関して認められ,大学の自主的判断に基づいて教授その他の研究者が選任される。

3 遺伝子技術や医療技術など最新の科学技術に関わる研究の法的規制は,それが大学で行われる研究に関わるものであっても,一定の要件の下で許されうる。

4 学問の自由は,広くすべての国民に対して保障されるものであるため,研究費の配分に当たって大学の研究者を優遇することは許されない。

5 大学の自治は,その施設と学生の管理についてもある程度で保障され,大学に自主的な秩序維持の権能が認められている。

(注)*当時。現在の同法83条。

問題5 精神的自由権に関する次の記述のうち,判例の趣旨に照らし,正しいものはどれか。

1 憲法19条の「思想及び良心の自由」は,「信教の自由」(20条1項)の保障対象を宗教以外の世俗的な世界観・人生観等にまで拡大したものであるため,信教の自由の場合と同様に,固有の組織と教義体系を持つ思想・世界観のみが保護される。

2 憲法19条の「思想及び良心の自由」は,国民がいかなる思想を抱いているかについて国家権力が開示を強制することを禁止するものであるため,謝罪広告の強制は,それが事態の真相を告白し陳謝の意を表するに止まる程度であっても許されない。

3 憲法20条1項の「信教の自由」は,公認された宗教に属さない宗教的少数派であった人たちにも,多数派と同等の法的保護を与えるために導入されたものであるため,すべての宗教に平等に適用される法律は違憲となることはない。

4 憲法20条3項は,国が宗教教育のように自ら特定宗教を宣伝する活動を行うことを禁止する趣旨であるため,宗教団体の行う宗教上の祭祀に際して国が公金を支出することが同項に違反することはない。

5 憲法20条3項は,国と宗教とのかかわり合いが,その目的と効果に照らして相当な限度を超えた場合にこれを禁止する趣旨であるため,国公立学校で真摯な宗教的理由から体育実技を履修できない学生に対して代替措置を認めることを一切禁じるものではない。

問題4 次の手紙の文中に示された疑問をうけて,これまで類似の規制について最高裁判所が示した判断を説明するア~オの記述のうち,妥当なものの組合せはどれか。

 前略 大変ご無沙汰しております。
お取り込み中申し訳ありませんが,私の進路選択について,折り入って貴兄にご相談したいことができました。演劇三昧だった学生生活を切り上げて,行政書士をめざして勉強を始めたのですが,最近,自らの職業選択が抱える不条理に,少々悩んでおります。

行政書士になりたい私が,試験に合格しなければ行政書士になれない,というのは,職業選択の自由という,私のかけがえのない人権の侵害にはあたらないのでしょうか。他方で,もし行政書士になれたとしても,行政書士法1条の2で行政書士の独占業務とされている書類の作成に関する限り,他社の営業の自由を排除しているわけですから,私は,かけがえのない人権であるはずの,他人の職業選択の自由を侵害して生きることになるのでしょうか......。

拝復 お悩みのご様子ですね。行政書士業を一定の資格要件を具備する者に限定する以上,それ以外の者の開業は禁止されるのですから,あなたのご疑問にはあたっているところもあります。問題はそうした制限を正当化できるかどうかで,この点は意見が分かれます。ご参考までに,最高裁判所がこれまでに示した判断についてだけ申しますと,

ア 医薬品の供給を資格制にすることについては,重要な公共の福祉のために必要かつ合理的な措置ではないとして,違憲判決が出ていますよ。

イ 小売市場の開設経営を都道府県知事の許可にかからしめる法律については,中小企業保護を理由として,合憲判決が出ていましたよね。

ウ 司法書士の業務独占については,登記制度が社会生活上の利益に重大な影響を及ぼすものであることなどを指摘して,合憲判決が出ています。

エ 公衆浴場を開業する場合の適正配置規制については,健全で安定した浴場経営による国民の保健福祉の維持を理由として,合憲とされていますね。

オ 酒販免許制については,職業活動の内容や態様を規制する点で,許可制よりも厳しい規制であるため,適用違憲の判決が下された例があります。

1 ア・イ・ウ  2 ア・イ・エ  3 イ・ウ・エ  4 イ・ウ・オ  5 ウ・エ・オ