問題8 行政計画に関する次の記述のうち,妥当なものはどれか。
1 土地利用を制限する用途地域などの都市計画の決定についても,侵害留保説によれば法律の根拠が必要である。
2 広範な計画裁量については裁判所による十分な統制を期待することができないため,計画の策定は,行政手続法に基づく意見公募手続の対象となっている。
3 計画策定権者に広範な裁量が認められるのが行政計画の特徴であるので,裁判所による計画裁量の統制は,重大な事実誤認の有無の審査に限られる。
4 都市計画法上の土地利用制限は,当然に受忍すべきとはいえない特別の犠牲であるから,損失補償が一般的に認められている。
5 多数の利害関係者に不利益をもたらしうる拘束的な計画については,行政事件訴訟法において,それを争うための特別の訴訟類型が法定されている。
問題8 正解 1
1 妥当であり正解。侵害留保説とは,国民の権利や自由が侵害される場合にのみ法律の根拠が必要となるとする考え方である。用途地域などの都市計画が決定されると計画地域内の土地について権利を有している者は権利制限を受けることとなることから,侵害留保説によれば当然,法律の根拠が必要ということになる。
2 妥当でない。行政手続法2条8号では,同法39条1項に定める意見公募手続の対象とする「命令等」を定義しているが,計画の策定は挙げられていない。
3 妥当でない。行政の裁量に属するとされる行為であっても,裁量権の逸脱や濫用がある場合には取消訴訟の対象となる(行政事件訴訟法30条)。この裁量権の逸脱や濫用に当たる場合は,重大な事実誤認に当たる場合に限らない。たとえば,法の目的や趣旨に反する裁量権の行使が行われた場合や,不正な動機に基づく裁量権の行使が行われた場合なども司法審査の対象となる。
4 妥当でない。長年,都市計画により建築制限を課されてきたことに関する損失について「一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲を超えて特別の犠牲を課せられたものということがいまだ困難であるから,~直接憲法29条3項を根拠として上記の損失につき補償請求をすることはできないものというべきである」と述べた判例(最判平17・11・1)がある。
5 妥当でない。行政事件訴訟法には拘束的な行政計画を争うための訴訟類型は,特段,法定化されていない。



