問題30 催告に関する次のア~オの各事例のうち,民法の規定および判例に照らし,正しいものの組合せはどれか。
ア Aは成年被保佐人であるBとの間で,Bの所有する不動産を購入する契約を締結したが,後日Bが制限行為能力者であることを知った。Aは,1ヶ月以上の期間を定めて,Bに対して保佐人の追認を得るべき旨を催告したが,所定の期間を過ぎても追認を得た旨の通知がない。この場合,その行為は追認されたものとみなされる。
イ CはDとの間で,C所有の自動車を,代金後払い,代金額150万円の約定でDに売却する契約を締結した。Cは自動車の引き渡しを完了したが,代金支払期日を経過してもDからの代金の支払いがない。そこでCはDに対して相当の期間を定めて代金を支払うよう催告したが,期日までに代金の支払いがない。この場合,C・D間の売買契約は法律上当然に効力を失う。
ウ Eは知人FがGより100万円の融資を受けるにあたり,保証(単純保証)する旨を約した。弁済期後,GはいきなりEに対して保証債務の履行を求めてきたので,Eはまずは主たる債務者に催告するよう請求した。ところがGがFに催告したときにはFの資産状況が悪化しており,GはFから全額の弁済を受けることができなかった。この場合,EはGが直ちにFに催告していれば弁済を受けられた限度で保証債務の履行を免れることができる。
エ Hは甲建物を抵当権の実行による競売により買い受けたが,甲建物には,抵当権設定後に従前の所有者より賃借したIが居住している。HはIに対し,相当の期間を定めて甲建物の賃料1ヶ月分以上の支払いを催告したが,期間経過後もIが賃料を支払わない場合には,Hは買受け後6ヶ月を経過した後,Iに対して建物の明け渡しを求めることができる。
オ Jは,自己の所有する乙土地を,その死後,世話になった友人Kに無償で与える旨の内容を含む遺言書を作成した。Jの死後,遺言の内容が明らかになり,Jの相続人らはKに対して相当の期間を定めてこの遺贈を承認するか放棄するかを知らせて欲しいと催告したが,Kからは期間内に返答がない。この場合,Kは遺贈を承認したものとみなされる。
1 ア・イ 2 ア・ウ 3 イ・エ 4 ウ・オ 5 エ・オ
ア Aは成年被保佐人であるBとの間で,Bの所有する不動産を購入する契約を締結したが,後日Bが制限行為能力者であることを知った。Aは,1ヶ月以上の期間を定めて,Bに対して保佐人の追認を得るべき旨を催告したが,所定の期間を過ぎても追認を得た旨の通知がない。この場合,その行為は追認されたものとみなされる。
イ CはDとの間で,C所有の自動車を,代金後払い,代金額150万円の約定でDに売却する契約を締結した。Cは自動車の引き渡しを完了したが,代金支払期日を経過してもDからの代金の支払いがない。そこでCはDに対して相当の期間を定めて代金を支払うよう催告したが,期日までに代金の支払いがない。この場合,C・D間の売買契約は法律上当然に効力を失う。
ウ Eは知人FがGより100万円の融資を受けるにあたり,保証(単純保証)する旨を約した。弁済期後,GはいきなりEに対して保証債務の履行を求めてきたので,Eはまずは主たる債務者に催告するよう請求した。ところがGがFに催告したときにはFの資産状況が悪化しており,GはFから全額の弁済を受けることができなかった。この場合,EはGが直ちにFに催告していれば弁済を受けられた限度で保証債務の履行を免れることができる。
エ Hは甲建物を抵当権の実行による競売により買い受けたが,甲建物には,抵当権設定後に従前の所有者より賃借したIが居住している。HはIに対し,相当の期間を定めて甲建物の賃料1ヶ月分以上の支払いを催告したが,期間経過後もIが賃料を支払わない場合には,Hは買受け後6ヶ月を経過した後,Iに対して建物の明け渡しを求めることができる。
オ Jは,自己の所有する乙土地を,その死後,世話になった友人Kに無償で与える旨の内容を含む遺言書を作成した。Jの死後,遺言の内容が明らかになり,Jの相続人らはKに対して相当の期間を定めてこの遺贈を承認するか放棄するかを知らせて欲しいと催告したが,Kからは期間内に返答がない。この場合,Kは遺贈を承認したものとみなされる。
1 ア・イ 2 ア・ウ 3 イ・エ 4 ウ・オ 5 エ・オ
問題30 正解 4
ア 誤り。相手方が,1ヶ月以上の期間を定めて,被保佐人に対し保佐人の追認を得るべき旨の催告をした場合に,被保佐人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは,その行為を取り消したものとみなされる(民法20条4項)。
イ 誤り。当事者の一方がその債務を履行しない場合において,相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし,その期間内に履行がないときは,相手方は,契約を解除することができる(541条)。したがって,解除により当該売買契約の効力が失われるのであり,催告期間の経過により当該売買契約が法律上当然に効力を失うのではない(545条1項)。
ウ 正しい。保証人が債権者に対して催告の抗弁権を主張した場合に,債権者が催告をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは,保証人は,債権者が直ちに催告をすれば弁済を得ることができた限度において,その義務を免れる(455条)。
エ 誤り。抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用または収益をする者であって,競売手続の開始前から使用または収益をする者は,その建物の競売における買受人の買受けの時から6ヶ月を経過するまでは,その建物を買受人に引き渡す必要がない(395条1項1号)。しかし,この規定は,買受人の買受けの時より後に当該建物の使用をしたことの対価について,買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその1ヶ月分以上の支払の催告をし,その相当の期間内に履行がない場合には,適用されない(395条2項)。
オ 正しい。遺贈義務者が,受遺者に対し,相当の期間を定めて,その期間内に遺贈の承認または放棄をすべき旨の催告をした場合に,受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは,遺贈を承認したものとみなされる(987条)。
以上により,正しいものはウとオであり,4が正解。
ア 誤り。相手方が,1ヶ月以上の期間を定めて,被保佐人に対し保佐人の追認を得るべき旨の催告をした場合に,被保佐人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは,その行為を取り消したものとみなされる(民法20条4項)。
イ 誤り。当事者の一方がその債務を履行しない場合において,相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし,その期間内に履行がないときは,相手方は,契約を解除することができる(541条)。したがって,解除により当該売買契約の効力が失われるのであり,催告期間の経過により当該売買契約が法律上当然に効力を失うのではない(545条1項)。
ウ 正しい。保証人が債権者に対して催告の抗弁権を主張した場合に,債権者が催告をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは,保証人は,債権者が直ちに催告をすれば弁済を得ることができた限度において,その義務を免れる(455条)。
エ 誤り。抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用または収益をする者であって,競売手続の開始前から使用または収益をする者は,その建物の競売における買受人の買受けの時から6ヶ月を経過するまでは,その建物を買受人に引き渡す必要がない(395条1項1号)。しかし,この規定は,買受人の買受けの時より後に当該建物の使用をしたことの対価について,買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその1ヶ月分以上の支払の催告をし,その相当の期間内に履行がない場合には,適用されない(395条2項)。
オ 正しい。遺贈義務者が,受遺者に対し,相当の期間を定めて,その期間内に遺贈の承認または放棄をすべき旨の催告をした場合に,受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは,遺贈を承認したものとみなされる(987条)。
以上により,正しいものはウとオであり,4が正解。

