マンション調査入門23(分かる欠陥) 津村重行
(3)役所でわかる欠陥
1)新耐震基準以前のマンション!
建築確認証明でもわかる新耐震マンション!
マンションの耐震性能については、はじめに述べたとおりですが、ここでは既存マンションの視点から述べます。
先ず、建築確認申請の受付担当課に行きます。
そこでは、"建築確認の台帳写し証明"というものを申請します。
市区町村によっては、"建築確認証明書"と言ったほうが通じやすい場合もあります。
よほど年代が古くない限り、コンピューターなどで直ぐに係りの人が探索してくれる場合が多い。
問題は、この確認証明書に記載されている"建築確認年月日"です。
この日付が、昭和56年5月31日以前のものか昭和56年6月1日以降のものかで大きく分かれます。
6月1日は新耐震基準の施行日です。
この日以降に建築確認を取得して建設されたもので、尚且つ、検査済み証が交付されていれば、基本的に、この建物は"耐震性能を有すると考えられる建築物"という判断が可能です。
反対に、この日以前に建築確認を取得した建物である場合は、たとえ、検査済み証の交付を受けた建物であっても、「耐震性能を有する建築物と判断するには疑わしい」ことになります。
このような場合は、「耐震診断の実施をしているマンションかどうか」を管理組合や管理会社で聞くことが大切です。
2)法令変更による不適格建築物!
時代が変わり法律も変わり気がついたら、売主が住んでいるマンションは法令に適合しない"不適格建築物"という場合があります。
どういうことかといいますと、新築当初は法令に基づいて建てられたマンションが、都市計画法などが変更されたために、今の大きさのマンションが建てられなくなった場合、「現在の建物は法令に適合していないマンションである」ということです。
これは、"不適格建築物"といわれます。
もっと、わかりやすく言いますと、たとえば、新築当時は延べ床面積が1000㎡の建築物の建築が出来る敷地であったのに、現在の法令では、500㎡までの建築物しか建てられない物件になった、という場合です。
これは、決して"違反建築物"ではありません。
このようなマンションでは、将来、建替え時に現在と同じ規模の建物を建てられないために、居住者が困ってしまいます。
したがって、新築当初の床面積の半分しか建築できないというときは、不動産価値は半減する可能性があると考えておく必要があります。
このように、不動産価格に直接影響をするのが、"不適格建築物"です。
売買重要事項説明書では、「本物件は平成○年○月○日に建築確認を取得していますが、その後、都市計画が変更となったため、再建築の際、現在と同規模の建築が出来ない場合があります」と説明をすることが大切です。
3)1階駐車場を店舗にした不適合建築物!
1階の駐車場をやめてしまって、そこに店舗を違法増築したマンションがあります!
小規模のマンションの場合で、管理組合のリーダーが個性豊かな性格の人である場合に、管理組合を間違った方向に導いてしまうことがあります。
たとえば、駐車場をやめてしまって、そこに店舗を建築確認もないままに増築をした管理組合があります。
本来、そのマンションが法律上、ぎりぎりの延べ床面積で建築されている場合は、そのような増築は直ちに法令上の限度を超えてしまいます。
この場合は、"不適合マンション"という建築物ということになります。
"不適格マンション"と違うところは、"不適合マンション"は適合するように是正さえすれば復元できることです。
万一、行政機関が発見した場合は、「現状を元に回復せよ」という「是正命令」が発せられる可能性のある建物、ということになります。
このような法令違反をした建築物は、購入後に大きなトラブルが発生することが予測されます。
なぜなら、このような増築工事自体、管理費や修繕積立金などを当てなければ建設できないのですから、これを元に復元しなければならない事態になれば、誰が責任を取るのか、といったことも問題になります。
このような建物の場合、「1階店舗部分は建築確認がないため行政から是正指導を受ける場合があります」と説明をしておくことが大切です。
4)無許可の店舗のある不適合建築物!
用途規制で認められていない職種の店舗が入っているマンションがあります。
全国の市区町村では都市計画というものを定めて、この地域には住宅を主に建てる区域、他の地域には工場などを建てる区域、その他の区域には商業を中心に発展させる区域などというようにそれぞれ
建築できる建物の用途を定めています。
ところが、この用途規制に違反をして認められていないマージャン店などを営む事業主もいます。
そのような店舗が1階にあれば、入居者の間で紛争の原因となります。
「立ち退きをせよ」といった具合に、マンション内での紛争は簡単には処理は出来ません。
マンションの生活環境は悪くなるということにもなります。
毎日のようにその問題で入居者が議論をしているようでは、平穏な生活ができているとはいえません。
したがって、このような用途違反の店舗事業主がいる場合は、行政から既に是正指導が管理組合に出されている場合もあります。
時には、違反用途ではなくても、ペットショップが入ったばかりに、入居者の間で「立ち退き紛争」が起きることもあります。
「1階店舗においてペットショップ立ち退きに関する組合総会決議があります」というような説明が必要な場合があります。
管理組合や管理会社から十分に聞いて買主に説明をすることが大切です。
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