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女性が活きる不動産営業入門7 川本久美恵

7 聞き上手の女性こそが顧客を納得させ得る

 どの会社でも、新入社員の教育にはたいへん力を入れています。

マニュアルを作り、知識の共有を図っています。マンションの販売にあたっては、営業に必要な情報を一冊にまとめた販売マニュアルも用意します。

 新人はこの販売マニュアルを見ながら接客のシミュレーションをするのですが、今まで住宅のことにまったく興味がなく、生活への想像力もないため、マニュアルの情報がお客さまにとってどういう意味を持つのかを理解するのが難しいようです。

マニュアルの順序どおり説明するのが精一杯で、目の前のお客さまが何を求めているかを考える余裕がないのです。

営業マンの長い説明を迷惑だなぁと思いながらも新人の熱心さに苦笑してつき合ってくださっているお客さまもいます。

 その点、

家が好きで暮らしへの想像力が豊かな女性営業社員ならば販売マニュアルで強調しているメリットをすぐに理解し、新人でも自分の言葉として語れるのです。

自分の言葉で語れば、相手の反応にも気づきます。その反応を受け止め、より具体的にお客さまを理解しようと問いかけができます。

聞き上手になれることで、お客さまが知りたいこと、こだわりたいことを察知できるようになるのです。そして、お客さまの家を持ちたいという気持ちに共感し、その共感がやがて信頼を生むようになっていきます。


 いくら良い情報でも、発信者からの一方的なものでは相手の心には届きません。お客さまの気持ちを受け止め、お客さまが求めている情報を選んで提供してこそ初めて納得してもらえるのです。


8 モデルルームは女性の手で管理される

 お客さまは、販売センターの雰囲気やモデルルームの内装、カーテン、家具、その他小物類を通して暮らしのイメージを膨らませて購入を決断します。


お客さまを呼ぶための広告物にはモデルルームの写真が使われるため、その良し悪しは、販売に大きな影響を与えることになります。

 そこで、設計部門と販売部門、インテリアコーディネーターが組んでプロジェクトのコンセプトやターゲットとする顧客層を絞り、打合わせを重ねてモデルルームのプランニングをするのです。

モデルルームが完成してパンフレットやホームページ、チラシなどに使用する写真の撮影が終わると、モデルルームは販売担当の管理下になります。

販売担当は、お客さまを案内する動線を考え、部屋を広く見せるために家具の配置を変えたりもします。

多くの関係者で作ったものを変更する躊躇はありますが、上司と相談して販売を優先します。

 販売期間が長くなれば、日々の清掃管理だけでなく、季節に合わせてモデルルームのしつらえも変える必要が出てきます。

男性もそういう配慮をしているはずですが、見せ場であるリビングは配慮できても各個室にまでは意識が届かないようで、お正月の床の間にお月見のススキが飾られたままでも気づかないようなことがあります。

 しかし、女性営業社員ならばお客さまをわが家に迎える主婦の目でモデルルームを見ることができ、清掃、鉢物の手入れはもちろん、小さな置物一つまで気を配って管理することができます。

だからこそ、置き物の季節感のズレなどにも敏感に反応できるのです。


9 不動産営業はまさに女性にピッタリ

 新築マンションの販売センターでの営業は、お客さまのモデルルーム訪問から売買契約締結まで、いくつかの段階があります。


そこで、モデルルームの案内は女性社員が担当し、詳しい説明や資金計画、価格交渉などクロージングに結びつける営業は男性社員が担当するという役割分担がされてきました。

「働くお父さんと家を守るお母さん」という男女の役割分担が右肩上がりの日本経済を支えたように、ビジネスの現場でも「男性が主役、女性が脇役」という役割分担があったわけです。


 実際に、「営業はできそうにないけどモデルルームの説明の仕事ならやってみたい」と、ハウジングアドバイザーという職種をきっかけに多くの女性がマンションの販売分野に入ってきました。

ところがそんな女性たちも、お客さまの家を持ちたいという気持ちに共感し、一緒に資金計画を立てたり身内の賛同を得られるよう人間関係を調整したりして住宅購入の夢の実現を手伝っているうち、不動産営業に興味を持つようになったのです。

そして、宅建資格を取りアシスタントではなく主役として営業実績を上げるようにもなりました。

不動産営業では、体力勝負、腕力勝負の仕事以外で女性に向かない仕事はないということです。

 だからと言って、何でも女性だけで進めたほうがよいということではありません。

お客さまが最終確認のためにお父さまを連れて来られた場合などは、上司にも協力を求めましょう。

年長者の男性は役職の男性を歓迎します。売主の信用度や建物の構造の話などは年長の男性からしてもらうほうが信頼度が増すようなのです。

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