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不動産ビジネストレンド8 「 日本国籍なしで契約拒絶 」 殿岡秀秋


不動産ビジネストレンド 殿岡秀秋

日本国籍なしで契約拒絶

慰謝料ほか110万円

京都地裁判決

借主が日本国籍を有していないことを理由に賃貸借契約の締結を拒絶した家主に対して、京都地裁は2007年10月2日、慰謝料100万円、弁護士費用10万円、合わせて110万円の支払いを命じる判決を下した。

事件の経緯は次のとおり。
2005年1月末、京都市の賃貸マンションについて婦人服製造販売会社である借主が入居を申し込んだ。入居希望日は4月9日。入居予定者は韓国人女性であった

元付けの不動産業者所定の入居申込書においては、入居者欄に、国籍は記入事項とされていなかった。

借主はその後、敷金、礼金、仲介手数料等を支払い、記名押印した賃貸借契約書を客付けの不動産業者に提出した。

4月8日、元付け業者は賃貸借契約書と併せて住民票の代わりとなる外国人登録原票記載事項証明書等を受け取り、入居予定者が外国人であることを知り、家主の指示に従って契約の締結を拒絶した。
同日午後、客付け業者の担当者とその上司が元付け業者を訪れ、再考を求めた。

しかし元付け業者は「住民票を提出できないなら事前に連絡があってしかるべきだ。入居予定日の直前に外国人登録証を提出するような者とは契約できない」とのことで、翻意しなかった。
後日、家主は敷金や礼金を、客付け業者は仲介手数料等を借主に返還した。

翌月、同物件が第三者に賃貸されたことから、借主側はこれを二重契約による貸主側の債務不履行であるとして、家主と客付け業者に損害賠償の支払いを求めた。

京都地裁は、家主の名の下の押印がなかったため契約書が完成していないのであるから、賃貸借契約が成立していないことは明らかであるとした。

判決では本件賃貸借は成立していないから、家主は債務不履行責任を負わない、としている。

しかしながら、契約の成立が合理的に期待される段階まで両者の準備が進んでいたにもかかわらず、しかも合理的な理由がないにもかかわらず、家主は一方的に本件賃貸借契約の締結を拒んだのであって、信義則上家主は、借主の被った損害を賠償する責任を負う、としている。

また、日本国籍ではないことを理由に賃貸しないこととしたのであるから、家主は入居予定者に対し、不法行為責任に基づき、損害を賠償する責任を負う。

家主は、入居予定者が日本国籍でないことを理由に本件物件を賃貸しなかったと認められる。なお借主側が主張するように、ことさら韓国籍を理由にしたと認めるに足りる証拠はない。

入居予定者は家主の不法行為により、慰謝料100万円に相当する精神的苦痛を受けた者と認められる。この不法行為と因果関係のある弁護士費用相当額の損害は10万円と認めるのが相当である。

このように国籍、人種、民族などを理由に賃貸住宅への入居の機会が不当に制限されてはならないというのが、裁判所の見解である。

この判決の全文は次のサイトで見ることができる。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071030151608.pdf

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