女性が活きる不動産営業入門14 川本久美恵
16新人営業社員は報(ホウ)・連・(レン)相(ソウ)で育てよう
賃貸営業の分野では女性が活躍していますが、最近は若い男性の営業社員も増えています。
この若い男性の社員教育が疎かになっているようで、「借りたい」と希望するお客さまにどう対応して良いかわからず、貸主側業者の女性社員に手取り足取り教えてもらっているなどという例があります。
上司や先輩に聞くより電話の向こうからやさしい声で丁寧に教えてくれる他社の女性のほうが相談しやすいのでしょうか。
不動産営業の仕事は、センスがあれば一応はできます。お客さまをその気にさせたあとは、次の手続きを誰かに教えてもらう、そうやって一人前になった人が多い業界なのかもしれません。
しかし、上司が知らないところで商談を進めて大きなトラブルに発展させてしまうようなことは絶対に避けなければなりません。不動産営業においては、特に、「報告(ホウ)」「連絡(レン)」「相談(ソウ)」は重要なのです。
そして、新人営業社員を育てるには、報告、連絡、相談がしやすい人間関係を作り、それが習慣になるような職場を作ることが大切です。
..新人がお客さまを担当したら、商談の途中で呼び出し、上司、先輩のほうから、「どういうお客さまなの?」と聞いてあげましょう。
そして、ヒアリングできていない点を確認し、次の取り組み方をアドバイスします。お客さまが帰ったら、どういう問題があるのかを報告させます。そうした上で、どういう営業展開が想定できるかを一緒に考え、顧客のバックグラウンドを想像する手助けをすると良いでしょう。
17新人にこそ営業のチャンスを
普通の会社の場合、新入社員は、コピー取りや資料揃えなどをしてベテランのアシスタントをしながら、一つずつ小さな仕事を任せられるようになります。
しかし不動産営業では、商談している先輩を手伝ってコピー取りや資料揃えをすることはあっても、その商談の一部を委せられることはあり得ません。一人のお客さまに対して一人の営業社員が担当するという徹底した担当制が敷かれています。
そこで新入社員は、お客さまを任せられるようになるまで、戸別訪問やチラシ配布の仕事をすることになります。
自分でお客さまを呼び込むことができたら、そのお客さまを担当できるというやり方をしている会社もありますが、新人は集客活動しか経験していないので、いざとなったらしどろもどろ、お客さまとの会話が成り立たず、結局は先輩が担当することになります。こういう経験を乗り切った者だけが残ればいいという考え方もありますが、それで良いのでしょうか。
新人にはなるべく早く営業を経験させ、営業とという仕事の面白さを体験させてほしいと思います。新人には、契約できそうなお客さまを担当させてください。できれば資金計画もしっかりとしていて、人柄も難しそうでないお客さまにします。
そういう人が来場したときは、思い切って新人に担当させ、先輩が調整フォローし、成約させてあげると良いでしょう。本人が自分の力で決めたと思えるように委せながら見守ってあげてください。成功体験は大きな力です。成功体験があれば根性論にも耳を貸せるようになります。
18宅建資格取得は必須、集中力で一発合格を
宅地建物取引主任者の資格を取ることのできない営業社員がたくさんいます。仕事が忙しく勉強する時間がない、仕事で身についた知識と宅建試験の答えが違う……、合格できない言いわけは山ほどあります。試験自体も難しさを増しているようです。
目の前の成約数字が大事なため、宅建資格と営業力は関係ないと、資格取得を厳しく指導しない会社もあるようです。営業部長以下宅建資格なしの営業社員たちがたくさんいたグループが他社に移ったら全員合格したという事例もあります。
また、高卒の20歳の新入社員が1回で合格した事例もあります。宅建試験はやさしくはないものの、集中力次第で取れない資格ではないのです。不動産の仕事が面白いと思ったら、何が何でも宅建資格を取りましょう。
ただし、仕事中の試験勉強は控えるべきです。代わりに、試験を意識して仕事をすることです。そのためには、担当物件の物件概要をしっかり読みます。図面もしっかりと見ます。わからないことは調べたり、設計部門に聞いたりして、自信を持ってお客さまに説明できるようにします。
仕事場以外で毎日勉強できる場所は、通勤電車内です。そこでは、教科書を読むより問題を解くほうが集中できます。問題集が重かったら切り離してバッグに入れます。間違ったところ、迷ったところはその日に教科書で確認します。
あとは、自宅で教科書を読むなり通信教育を受けるなり、また専門の学校に行くなりして自分で選択してください。
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