不動産ビジネストレンド13 「礼金返還請求を棄却」 殿岡秀秋
殿岡秀秋
礼金返還請求を棄却
賃料の前払いの性質
京都地裁9月30日判決
礼金は一方的に強制された根拠のない金銭であり、消費者契約法に違反するとの借主の礼金返還請求を棄却する判決があった。
これは京都地裁で、今年9月30日、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するとの事情は認められない」という判断が出たものである。
借主は平成2004年3月、賃料6万1千円、礼金18万円、更新料2か月分などを条件に、京都市内の物件について貸主と1年間の賃貸借契約を締結した。
契約書には「借主は礼金の返還を求めることはできない」旨の約定があった。
借主は約7か月後に退去した。礼金の返還を求めて簡易裁判所に提訴したが棄却され、京都地裁に控訴したものである。
京都地裁の判断の要点は以下の通り。
名目にかかわらず、使用収益の対価として受け取る金員は賃料に該当する。賃料支払時期を定める民法614条は任意規定であるから、賃貸借契約成立時に一部を前払いさせることは可能である。
契約書に礼金の額が18万円であること、返還されないことが明記されており、借主は自己の負担すべき金額を容易に認識し得る。
借主は立地、間取り、設備、築年数などの物件の属性や一定期間の使用収益に必要な経済的負担などを考慮し、複数の候補物件の中から、礼金の金額を分かったうえで本件物件を選択しているので、借主が不利とはいえない。
本件礼金は賃料前払いの性質を有するから、契約書に明記して契約締結の際に徴収しても、貸主が不当な利益を得ることにはならない。
借地借家法の制定時、礼金は禁止されなかった。公営住宅法や旧住宅金融公庫法が礼金を禁止していることをもって、本件礼金約定が非難に値するとまでいうことはできない。
約3か月分の礼金は、
証拠として認められた京滋地区の礼金の平均額(2.7か月分)と比べて高額ではない。
借主は礼金が返還されないことを承知しながら、自ら中途解約した。貸主は中途解約の場合でも礼金を返還しない前提で賃料を設定しており、このような期待は尊重されるべきである。
礼金は自然損耗の修繕費用の二重取りであるという借主の主張に対しては、通常、修繕費等の必要経費は賃料に含まれている。それを賃料の名目で回収するか礼金の名目で回収するかは、地域の慣習などを踏まえて貸主の自由に委ねられている。したがって二重取りとはいえない、などと判断している。
この判決の全文は次のサイトで見ることができる。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081015110211.pdf
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