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「相続コーディネート入門」 1 曽根恵子

図解不動産業シリーズ
「相続コーディネート入門」
曽根恵子著
住宅新報社刊
定価1785円(本体1700円)


第1章 相続コーディネートに取り組むためのポイント

1 相続に取り組んだきっかけはこうだった
 私が相続に関わるようになったのは、平成4年のこと。管理を委託されたアパートの大家さんが亡くなったときです。相続を知るためのいい機会だと思い、最初からお手伝いをしてみました。

 大家さんの財産は、1000坪の土地に自宅やアパート、貸家があり、不動産がほとんどです。

 相続税の申告を依頼した税理士は不動産のことはまったく知識がなく、遺産分割や相続税の納税資金の捻出はこちらが提案しました。また、現金がほとんどないので少しでも相続税を安くできないか、税理士に何度も掛け合いました。

 結果、相続税は最初に税理士の試算した3000万円が1900万円になったのです。宅地を各相続人に分けて分筆、私道も分筆するなどで土地の評価を下げたことが成果となりました。

 それでも土地を売却しなければ納税できません。空き地もないため、古い貸家2軒に明渡し交渉をしました。幸い理解を得ることができ、納税の期限前に土地の売却が完了し、売買代金で相続税を納税することができたのです。

 このときに気づいたことは、

不動産がある場合の相続は、不動産の知識が不可欠だということ。そして、「相続を最初から最後までサポートすること」が必要だということも感じたのです。

 この経験が仕事として相続に関わった最初です。大家さんのお役に立ちたいと相続税を安くしようとしたことが実現して成果を出せたことが、現在取り組んでいる「相続コーディネート」のきっかけやヒントとなりました。

2 相続の最初から最後まで
 一番最初の相続で「相続を最初から最後までサポートすること」が必要だということも感じましたが、まだおぼろげながらのイメージでした。

 それがもっと明確になったのは3番目の相続のお手伝いをしたとき。平成7年のことです。

 酪農業のHさんのお父様が亡くなったときに相続のお手伝いをしました。顧問税理士の相続税の試算は12億5000万円とのこと。

 そこで、こちらは別の税理士とプロジェクトを組み、取り組んだ結果、相続税は8億600万円にできたのです。大きな土地を測量、鑑定し、評価減したこと等いくつもの案を重ねて節税の成果を出しました。

課題の納税は、土地の一部を売却。相続税の30%は銀行借入れをして納税を済ませることができました。

 その返済原資として、以前の顧問税理士に一番に売却するようにと言われていた400坪の土地に事業ビル(テナント5区画、賃貸マンション32世帯)を建てました。家賃収入で返済する賃貸事業を始めることで、価値のある土地を残しました。

 さらに、家業の酪農は後継者がいないこと、Hさん自身の相続対策が必要なことなどから、自宅と牛舎があった土地1900坪を有効利用することを提案。*特定優良賃貸住宅の認可を取得し、3LDK73世帯の賃貸マンションを建設、収益を上げながらの相続対策が実現しました。

 この経験で、「相続を最初から最後までサポートすること」が必要だと再認識し、不動産の知識が活かせることも確信しました。

*国や県より建築資金の一部を補助金として受けることができ、入居者は一定割合の家賃補助が受けられる制度。

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