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不動産ビジネストレンド19 「大きな引き違い窓に目隠し設置を義務付け」 殿岡秀秋

大きな引き違い窓に

目隠し設置を義務付け

さいたま地裁判決 殿岡秀秋


所有地に3階建て賃貸マンションを建設した被告に対し,同土地の西北側にそれぞれ宅地建物を有する原告たちが,民法235条に基づき同マンションの各階の西北側の窓すべてに目隠しの設置を請求した事案の判決が、平成20年1月にさいたま地裁で出た。

民法235条1項は境界線から1メートル未満の距離において、他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側を設ける者は、 目隠しを付けなければならないと規定している。

同条の趣旨はプライバシーの保護を目的とするとともに,互譲の精神から相隣接する不動産相互の利用関係を調整しようとするものである。

他人の宅地を見通すことのできる窓とは,他人の宅地を観望しようと思えば物理的にいつでも観望できる位置および構造の窓をいう。

判決内容の要旨は次のとおり。

賃貸マンションは3階建て共同住宅であり 戸数は12戸である。この建物には 境界線に面する西北側壁面に,各戸につき4つずつ合計48個の窓 が設置されている。

各戸の4つの窓は それぞれ居間兼食堂,台所,洗面所脱衣室,浴室に設置されており,いずれも隣接する宅地建物との境界線との距離は1メートル未満である。

賃貸マンションの窓のうち,3階に設置された窓からは,通常の状態においては原告らの建物の屋根が見えるのみである。

3階の窓については宅地建物を観望できる窓に該当しない。

建物の窓のうち,台所用窓は,窓の下部のみが押し出され,全開することはできない構造の滑り出し窓である。換気の目的のために窓を開けることは考えられるものの,その構造からすると,窓を開けたとしても意識的に窓からのぞきこむ等の行為をしない限り、通常の状態では宅地を観望することはできないと推認することができる。

したがって,台所用窓は「他人の宅地を見通すことのできる窓」には該当しない。

洗面所脱衣室,および浴室用の窓は、全開しても隙間が30センチメートル未満であることから視野は著しく限定され、その大きさからしても,居住者が日常的に開放して使用するとは考え難い。 
 
賃貸マンションを建築するに際し,これらの窓に不透明な網入りすりガラスを使用するなど一定の配慮を示している。

窓に目隠しを設置しないことによって宅地建物を有する原告の被る不利益が重大とは認められないので、洗面所脱衣室および浴室の窓は他人の宅地を観望すべき窓に該当しない。

しかしながら,被告建物1階及び2階の居間兼食堂の窓については,いずれも,原告建物に面した窓で,その大きさも大きいこと,特に1階部分の窓は,原告らが日常的に使用している居間に面していることからすると,被告が窓に網入りすりガラスを使用し,一定の配慮をしていることを考慮したとしても,原告の日常生活において被る不都合は,被告建物の居住者に比して大きいと考えられ,原告の目隠設置請求が権利濫用になるということはできない。


1階および2階の居間兼食堂の窓は、不透明な網入りすりガラスが使用されているが,いずれも引き違い窓であり、開ければ容易に宅地を観望できると推認することができるから「他人の宅地を観望すべき窓」に該当する。

被告建物1,2階の居間兼食堂の窓については,被告に目隠設置義務が認められる。


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