図解不動産業シリーズ
「相続コーディネート入門」
曽根恵子著
住宅新報社刊
定価1785円(本体1700円)
4 すべては申告で決まる。最後まであきらめない
生前対策は多くの方が必要と認識し、取り組んでいるにも関わらず、いざ、実際に相続になってしまってからは、生前対策のような取組みやこだわりがないように見受けられます。ほとんどの方は、税理士に任せきりではないでしょうか。
その税理士を決める時でも慎重に選択するわけでもなく、なんとなく、今までの顧問だからとか、確定申告を依頼しているからという理由で決めてしまっていることがほとんどのようです。
しかし、現実の相続では、亡くなって相続になってしまってからの申告が非常に大事なのです。
生前対策をしている場合でも、していない場合でも、亡くなったときの財産をどう分割し、どう評価し、どう申告するかによって、相続税は大きく変わる可能性があります。
また、申告を誰に頼むかによっても、相続税は大きく変わってきます。
申告のときに「節税の意識」をもって取り組めば、亡くなってからでも節税は十分に実現し得るのです。このことを知っていれば、亡くなってからの申告を誰に頼むかは、節税をしてくれる人に依頼することにつながります。
こうしたことを知っていると、頼む人を慎重に選ぼうと思うでしょうし、申告期限までに節税できることがあれば、いくらでも協力して取り組みたいと思うでしょう。
亡くなってからでも節税できることを知っていれば、決して任せきりにしたり、投げやりになったりできないのではないでしょうか。
5 税理士が相続のプロとはいえない。失敗もある
税理士には節税意識がない方が多いということもあります。相続税を払うのは当たり前という意識からでしょうか。
相続人の利益を考えた評価や申告の仕方を追求しているとは思えないこともあります。なかには、もう少し他の評価や納税の方法があったのではないかと思えることもあり、失敗ではないかと指摘できることもあります。
こうしたいくつもの実例を検証してみると、税理士のすべてが相続のプロではなく、相続が不得手の人やほとんど相続の実務経験のない人もあるということです。
相続では、実務経験や経験から培われたノウハウによって、はじめて成し得ることが多く、専門知識の結集によって成果を導き出せる分野です。
税理士の人数が多い分、需要も分散されるためか、相続税の申告を一度も経験しない人もいるということ。しかし、法人税や所得税を扱う税理士が依頼されれば、当然、相続も扱うことになります。
そうした税理士には、相続についてのプロ意識がない方もあります。依頼をされたから、計算して申告をすればいいという考えで引き受けてしまうのでしょう。たいした実務経験もノウハウも節税意識もないとなれば、うまくいくわけがありません。
相続の申告は税理士の仕事で、誰が計算しても同じだという世間の認識の陰に隠れてしまっていますが、実は、税理士が相続のプロとはいえない現実は本当に多いのです。
6 相続にはコーディネーターが必要
相続を確定するのに避けて通れないのが遺産分割で、最初の重要課題であり、難題だといえます。遺産分割の仕方によって相続税が変わってきたり、納税方法が変わってきたりするので、このときにプロのアドバイスが必要です。
第三者が相続人間の交通整理をしたほうが、感情的にならずにまとまりやすいのですが、相続人の間に入って遺産分割を整理してくれる税理士は少ないようなのです。
プロのアドバイスがないため、よけいな争いや感情的に対立してしまうこともあるのが現状です。
税額が決まれば納税の手段を考えなくてはなりません。現金がなければ物納や延納、売却などの方法を選択しなければなりませんが、そのときの判断もプロのアドバイスが必要です。
ところが、納税方法や納税資金の捻出についても的確なアドバイスをしてくれる税理士が少ないようです。
こうした相続人の不利益を回避するためには、専門家のまとめ役となる者、すなわち相続コーディネーターが不可欠になってきます。
相続を仕上げるために、専門家が案やノウハウを提供しあい、相続人も含めて一つのチームとなって成果を出すことに全力を尽くすのです。
こうした協力体制を取れたとすれば、いい成果が出せるはずです。なにより、こうして相続人や専門家が知恵を出し合い、協力して作り上げた相続であれば、相続人も納得でき、本望と言えるのではないでしょうか。

