3.本試験に対する対策および攻略法
(1)不動産に関する行政法規
本試験における20年度の短答式試験の出題形式は,「択一問題」が8問,「個数問題」が26問,「組合せ問題」が6問でした。
短答式試験の学習法
短答式試験は,「択一式を含む短答式」ですから,「択一式」の問題だけが出題されるのではありません。したがって,新試験制度のもとで行われた3回の短答式試験の出題形式を,あらかじめ調べて,参考にするとよいでしょう。
短答式試験は,1回2段階方式ですので,論文式試験を受ける人を選抜する意味があります。すなわち,「落とす試験」になるので,単なる知識のみならず,解答のスピードや短答式試験特有の「勘」も要求されます。
したがって,各選択肢を独立の設問として,その肢の記述が正しい記述か誤った記述かスピーディーに判定できるように,知識の精度を上げるための訓練をすることが大切です。このことが「個数問題」の対策に,極めて有効です。
(2)不動産に関する行政法規の学習方法
この科目の学習方法は,過去問を完璧に解けるように,繰り返し過去5年分くらいの問題を解きながら,短時間の学習で高得点が取れるよう自分なりに工夫することです。出題者は,過去に出題した問題を多少アレンジして,出題する傾向にあるからです。
では,ここで過去問による,この科目の要領のよい克服法を紹介してみましょう。
①基本テキストに過去問で出題された内容をコメントしたり,出題年度を記入しておき,あとで見直すときに分かりやすいようにしておくこと:本試験直前期の学習をする場合,このコメントなどを重点的にチェックすることができ,短期間で反復学習することができます。
②過去問は,消去法で正解するのではなく,1肢,1肢の「正・誤」が明確に分かるように注意しながら学習すること:5つの選択肢を総合的に勘案して正解肢を選択するという方法(本試験のときは,この解き方が効果的なこともある)ではなく,おのおのの1肢を独立の設問として,その肢の記述が正しい記述か,あるいは誤った記述か明確に峻別できるように訓練する解き方をします。この学習法は,多少時間はかかりますが,実力アップにつながる学習法であるといえます。
③法令などの改正された個所を重点的に学習すること:過去問を要領よく訓練したとしてもカバーできないのが新しく改正された改正点です。重要な改正点は出題される可能性が高い項目なので,確実に対策することが大切です。
(3)不動産の鑑定評価に関する理論
この科目も過去問の重要性は,行政法規の場合と同様です。
短答式試験の学習法
短答式試験には,18年度より「不動産の鑑定評価に関する理論」が加わりました。短答式試験の学習法は,「不動産の行政法規」のところで記述したことを参考にしてください。
20年度の出題形式は「択一問題」が40問中2問,「個数問題」が33問,「計算問題」が5問でした。
「個数問題」に対処するには,通常の学習方法として,5肢の中から正解肢を選択するのではなく,各選択肢の1肢を独立の設問として,その1肢,1肢について正・誤を判定する解き方をします。
特に,鑑定理論では,「個数問題」の出題数が極めて多く(40問中33問出題,出題率約82%強),1肢,1肢についての正・誤が明確に判定できることが必要とされます。
また,計算問題が新制度になって以来,3回連続して出題されましたので,それに対する対策も必要とされます。日頃から計算問題に慣れるよう学習することが求められます。
論文式試験の学習法
後記(4)民法のところで記述した「各科目に共通する論文式試験の学習法」を参考にするとともに,この科目は専門用語が多く,最低限の用語は暗記するくらい「基準」および「留意事項」などを何度も繰り返し読み返すことが不可欠です。
なぜならば,答案を作成するときに,ある程度の特有の用語が記憶されていないと文章を記述することができないからです。たとえば,地域分析を述べるときに,特有の用語である「近隣地域」とか「同一需給圏」とか「類似地域」とかの用語が使えないと記述さえできません。こうしたことから,過去問を数多く解くことは,極めて重要なことです。
演習問題の学習法
従来の不動産鑑定士試験の3次試験の過去問および新試験制度になって3回分の過去問を実際に解きながら,演習問題に慣れることから始めます。
ついで,各類型の基本的な模範解答の骨子を自分なりに作成し,それを反復訓練をします。そうすることにより,各類型の基本的な解答パターンが身についてきます。
あとは本試験直前まで,できるだけ多くの演習問題の過去問を本番の試験時間内で実際に解答してみます。それを反復練習して合格できると確信が持てるまで徹底的に訓練することが大切です。
(4)民法
民法の答案には,ある程度パターン化された書き方(たとえば,1.論点の提起,2.論点の定義,趣旨,要件,効果等を論述,3.結論)があるので,それを早くマスターすることです。
過去に出題された問題は,事例問題(何人かの登場人物によって,さまざまな法律関係が構成された問題に対して,それぞれの論点を中心に論文式で解答する)が多いといえます。新試験制度になってからも出題傾向は,特に変更はありません。したがって,事例問題の中で,どこが論点なのかを把握できるような学習法を自分なりに工夫するとよいでしょう。
学習法は,ごく簡単な入門書を一通りハイペースで読むことにより,まず,民法の全体像と流れを理解します。ついで,判例集などで出題頻度の高い項目に絞って判例・通説等をしっかり押さえるようにしましょう。そして,過去問の重要性は行政法規の場合と同様です。
各科目に共通する論文式試験の学習法
論文式問題の場合,受験者の頭の中に入っている事項(論点)を,いかに上手に答案に表現できるか(答案構成)という能力を訓練することが必要です。
受験者1,300名強の答案を限られた時間(試験日と合格発表日を考えると約1か月半強から2か月程度)で,何人かの試験委員が採点をすることおよび公平に採点をすることなどを考えると,減点主義による採点法をとらざるを得なくなります。
したがって,その設問に必要なキーワードや論点をできるだけ答案に書き込むことが重要です。それには,各科目とも出題頻度の高い項目を20程度のテーマに絞り込んで,自分なりの模範答案を作成しておき,それにより答案作成の訓練を日ごろから学習しておくと採点者に読みやすく,好印象の答案を本試験場でも作成することができます。
本試験での出題が,事前に用意しておいたテーマ以外からの出題だった場合には,それらのうちのいくつかのテーマを組み合わせて答案を作成するようにすると効果的です。事前に用意しておいたテーマからの出題の場合は,ズバリ的中ということでビックリして慌てずに,高得点が取れるような答案を作成できるようにすることに専念します。
(5)経済学
過去問の傾向としては,ミクロの分野から1問,マクロの分野から1問の出題形式が定型化されていましたが,新試験制度となってからもこの出題形式が踏襲されていますので,今後もこの傾向を維持するものと予想されます。
経済学の出題には,「時事問題」のようなものもありますが,受験生に求められるのは新聞に書かれているような「評論」や「論評」ではなく,あくまでも「どのようにして経済学の原理・原則の中でその出題に対して説明をし,論述するのか」ということを十分理解する必要があります。
したがって,解答は,「グラフ」と「算式」と「説明」の3点をセットにして書けるように常に学習し,訓練することが大切です。そのためには,できるだけグラフなどの作図による説明の多い基本書を選ぶことが必要です。そして,過去問の重要性は行政法規の場合と同様です。
なお,論文式試験の学習法については,前記(4)民法における「各科目に共通する論文式試験の学習法」の記述を参考にしましょう。
(6)会計学
「急がば回れ」という諺があります。会計学の勉強方法は,まさにこの諺を実践することです。この諺の意味は「危険な近道よりも,安全な本道を回ったほうが結局,早く目的地に着く」という意味です。すなわち,成果を急ぐなら,一見迂遠(道が曲がりくねって遠いこと)でも着実な方法をとったほうがよいということです。
まず,「簿記3級」の学習から始めます。簿記と会計学は非常に密接な関係にあり,車の両輪のようなものです。簿記を理解することで,会計学がぐっと分かりやすくなり,スムーズに会計学に取り組むことができるでしょう。
会計学の解答は,自分の言葉で書いてもその内容が正しければ,ある程度の得点はできるといわれています。ただし,答案は,出題者が採点するので好印象をもってもらうためにも,最低限の会計に関する専門用語や定義など正確に書けるようにしておく必要があります。そして,過去問の重要性は行政法規の場合と同様です。
なお,論文式試験の学習法については,前記(4)民法における「各科目に共通する論文式試験の学習法」の記述を参考にするとよいでしょう。



