「相続コーディネート入門」 12 曽根恵子

図解不動産業シリーズ
「相続コーディネート入門」 
曽根恵子著
住宅新報社刊
定価1785円(本体1700円)

 

6 贈与とは?--1

 民法では、「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償にて相手方に与える意思表示をし、相手方が受諾を為すによってその効力を生ずる契約である」としています。

 人と人があることがらに合意し、お互いに権利義務を発生させる法律的な意味での約束を「契約」といいますが、贈与も契約の一つになるわけです。


●贈与税はどんな財産にかかるか

〈贈与税の課税財産〉

 贈与された財産にかかるのが贈与税です。

 贈与税の課税財産には次の2つがあります。

・本来の贈与財産----民法上の「贈与」による取得財産(現金、不動産、有価証券等)

・みなしの贈与財産----税法が贈与により取得したとみなす財産(債務免除益、親族間の金銭貸借、生命保険、低額譲渡、名義変更など)

 

●親の土地の無償貸借の扱い

 「賃貸借」は賃料をやりとりして貸し借りすることであり、一般的な形です。しかし、賃料なしの貸し借りの場合は「使用貸借」となります。

 

  たとえば、親の土地を借りて子供が家を建てるというケースには、こうした使用貸借にしていることがよくあります。この場合に地代を払うと賃貸借になります が、借地権利金を払わないまま賃貸借にすると、親から子に借地が贈与されたとみなされ、贈与税が課税されます。使用貸借であれば、使用借権という弱い権利 だけなので、課税されることはありません。

 

 よって、たいていの場合は使用貸借として贈与ではなく、相続税の対象とします。


7 贈与とは?--2



●相続時精算課税制度

 相続時精算課税制度は、20歳以上の子供が、65歳以上の親から贈与により財産を取得した場合に、財産の価額の合計額が2500万円以下は無税で、2500万円を超える場合には、その超える部分の金額の20%を贈与税として納付する制度です。

 

 この2500万円の非課税枠は、複数年にわたって分割利用ができます。後に、親に相続が発生したときに、この贈与により取得した財産の合計額を相続財産に加算して、相続税額を算出します。

 相続時精算課税制度により財産を取得した子供は、算出された相続税額からすでに支払った贈与税額を控除した金額を、相続税として納付します。

 

 支払った贈与税額が相続税額よりも多い場合には、還付を受けます。

 

●相続時精算課税制度の使い方

 相続時精算課税制度を利用したほうがいい場合は、複数の相続人がいるが生前に不動産や現金を特定の相続人に与えたいときで、贈与を受けた相続人は、その財産を自由に利用できるメリットがあります。

 

 ただし、不動産の場合は贈与をした年の評価額で確定してしまうため、将来上昇する場合はメリットがありますが、下落した場合でも贈与時の評価で申告をしなければいけないことになり、相続税が増えることもあります。

 

 よって、この制度は節税につながるかどうかは判断できませんが、生前に財産分与を確定しておくことができます。相続税がかからない範囲の財産の場合は有益でしょう。