不動産鑑定評価入門1 植杉伸介

◆不動産鑑定評価基準
 「不動産鑑定評価基準」とは,不動産鑑定士等が不動産の鑑定評価を行うに当たってのよりどころとなる統一的基準を定めたものです。


 最初の「不動産鑑定評価基準」は,昭和39年に旧建設大臣(現在の国土交通大臣)の諮問を受けた宅地制度審議会の答申に基づいて設定され,その後,数度の改正を経て現在に至っています。

 不動産の鑑定評価は,この「不動産鑑定評価基準」に基づいて行われています。したがって,「不動産鑑定評価基準」を読めば,不動産の鑑定評価のことがよく分かるようになります。

 ところが,話はそう簡単ではありません。「不動産鑑定評価基準」に一度目を通していただければ分かりますが,その中身は非常に難解で,理解するの にとても苦労するのです。小難しい専門用語がたくさん出てくるため,ちょっと読んだだけで頭が痛くなり,読む気をなくす人が多いのではないでしょうか。

 そこで,本稿では,「不動産鑑定評価基準」をできるだけかみくだいて,分かりやすく解説してみたいと思います。学術的な文章として書くものではあ りませんから,学問的な厳密さにはこだわりません。それよりも,分かりやすさを最優先して,思い切って大胆に表現していくつもりです。


 ただ,鑑定評価理論を知るためには,正確な専門用語もある程度押さえなければなりません。最終的には,「不動産鑑定評価基準」を自分で読みこなせるようになることを目指すべきです。

 そこで,本稿では,まず「不動産鑑定評価基準」の原文を示したうえで,その内容をかみくだいて説明するというスタイルをとることとします。

◆不動産の鑑定評価に関する基本的考察
 不動産の鑑定評価とはどのようなことであるか,それは何故に必要であるか,われわれの社会においてそれはどのような役割を果たすものであるか,そしてこの役割の具体的な担当者である不動産鑑定士及び不動産鑑定士補(以下「不動産鑑定士」という。)に対して要請されるものは何であるか,不動産鑑定士は,まず,これらについて十分に理解し,体得するところがなければならない。

 「不動産鑑定評価基準」の冒頭に書かれている文章です。

 この部分は,あまり解説する必要はないでしょう。不動産鑑定の専門家である不動産鑑定士に対して,訓辞を与えているだけです。「ご説ごもっとも」と,かしこまって聞いておけば,それで十分です。

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