不動産鑑定評価入門3 植杉伸介

◆第2節 不動産とその価格の特徴

 【不動産が国民の生活と活動に組み込まれどのように貢献しているかは具体的な価格として現れるものであるが,土地は他の一般の諸財と異なって次のような特性を持っている。


1 自然的特性として,地理的位置の固定性,不動性(非移動性),永続性(不変性),不増性,個別性(非同質性,非代替性)等を有し,固定的であって硬直的である。

2 人文的特性として,用途の多様性(用途の競合,転換及び併存の可能性),併合及び分割の可能性,社会的及び経済的位置の可変性等を有し,可変的であって伸縮的である。

 不動産は,この土地の持つ諸特性に照応する特定の自然的条件及び人文的条件を与件として利用され,その社会的及び経済的な有用性を発揮するものである。そして,これらの諸条件の変化に伴って,その利用形態並びにその社会的及び経済的な有用性は変化する。】

 不動産の特性を述べています。不動産の特性は,「土地」の特性を見ることによって明らかになります。すべての不動産は「土地」を離れては機能することができないので,「建物」の特性も「土地」の特性に影響づけられるからです。土地の特性の内容は,次のとおりです。

 

〈自然的特性〉

非移動性: 土地の地理的な位置は定まっており,他の位置へ移動することは不可能だという性質;

永続性: 土地はいくら使用しても消耗することがないという性質;

不増性:土地の面積が増えることはないという性質(埋立地,干拓地などは例外);

個別性:土地には個性があり,他とまったく同一の土地は存在しないという性質

 

 不動産の「個別性」という点は,鑑定評価の必要性を裏づける重要な特性です。
 たとえば,北海道の小売店で砂糖1キロが200円で売られていた場合,東京の小売店でも大体同じ値段で売られているだろうと推測することができます(数量限定の特売品などは除く)。

 ところが,北海道で100平方mの土地が1,000万円で売られていたからといって,東京でも100平方mの土地は大体1,000万円くらいだということにはなりません。

同じく100平方mの土地であっても,その形状(たとえば,いびつな形の土地と正方形の土地とでは,使い勝手に大きな違いがあります)や場所(たとえば,北海道の原野と東京の中心街の土地とでは,土地の値段には極端な差異があります)などによって利用価値が大きく異なるからです。