不動産鑑定評価入門5 植杉伸介

【このような地域には,その規模,構成の内容,機能等に従って各種のものが認められるが,そのいずれもが,不動産の集合という意味において,個別の不動産の場合と同様に,特定の自然的条件及び人文的条件との関係を前提とする利用のあり方の同一性を基準として理解されるものであって,他の地域と区別されるべき特性をそれぞれ有するとともに,他の地域との間に相互関係にたち,この相互関係を通じて,その社会的及び経済的位置を占めるものである(地域の特性)。】


 この項の前半の文章は分かりにくいですが,「地域」には,その規模,構成内容,機能等によって各種のものがあるということを理解すれば,それでOKです。

たとえば,○○平野,××盆地などのように自然的条件の共通性を基盤として構成される地域もあれば,首都圏,都道府県,市町村のように行政区域によって構成される地域,駅前商店街,△△通り商店街等の集客施設を中心として構成される地域などもあります。

 また,これらの地域が「他の地域との間に相互関係にたつ」というのは,たとえば,ある住宅地域に近い場所にある商業地域は,住宅地域の居住者を主な顧客とする点で,住宅地域と商業地域は相互に影響しあう関係にあるということです。


 なお,ある不動産が属している地域は,必ずしも1つのものに限定されるものではないことに注意してください。たとえば,ある不動産は,○○平野にあると同時に,×県×市に属し,かつ,△通り商店街に属するという関係になります。

 

 【このような不動産の特徴により,不動産の価格についても,他の一般の諸財の価格と異なって,およそ次のような特徴を指摘することができる。】

 不動産の経済価値は,一般に,交換の対価である価格として表示されるとともに,その用益の対価である賃料として表示される。そして,この価格と賃料との間には,いわゆる元本と果実との間に認められる相関関係を認めることができる。

 不動産の価格の特徴を示しています。不動産鑑定評価基準では,4つの特徴を拳げていますが,まずその1つめです。

 不動産の経済価値は,交換の対価である「価格」と用益の対価である「賃料」として表示されます。つまり,その不動産を売却した場合の代金と賃貸した場合の賃料に相当する価格で示されるのです。

 このうち交換の対価である「価格」は,不動産が物理的,機能的または経済的に消滅するまでの全期間にわたって,不動産を使用し,収益することができる経済価値を貨幣額によって表したものです。

 これに対し,用益の対価である「賃料」は,不動産が消滅するまでの一部の期間について,賃貸借契約等によって不動産を使用し,収益することができる経済価値を貨幣額によって表したものです。

 「賃料」は,不動産が存続する全期間に対する経済価値から,一部の期間を分割して生み出されているともいえます。したがって,この両者の関係は,「価格」が元本で,「賃料」がその果実であると考えることができます。