◆第4節 不動産鑑定士の責務
土地は,土地基本法に定める土地についての基本理念に即して利用及び取引が行われるべきであり,特に投機的取引の対象とされてはならないものである。不動産鑑定士は,このような土地についての基本的な認識に立って不動産の鑑定評価を行わなければならない。
土地基本法に定める土地についての基本理念の主な内容をここで紹介しておきましょう。土地基本法においては,土地についての基本理念として,1
土地については,公共の福祉が優先されること,2 土地は,適正に利用され,計画に従って利用されるべきこと,3土地は,投機的取引の対象とされてはなら
ないこと,4 土地の権利者は,土地の価値の増加に応じて適切な負担をすべきこと,が掲げられています。
この基本理念を暗記する必要はありませんが,鑑定評価を行う際によって立つべき基本理念として見ておいてください。
不動産鑑定士は,不動産の鑑定評価を担当する者として,十分に能力のある専門家としての地位を不動産の鑑定評価に関する法律によって認められ,付与されるものである。
したがって,不動産鑑定士は,不動産の鑑定評価の社会的公共的意義を理解し,その責務を自覚し,的確かつ誠実な鑑定評価活動の実践をもって,社会一般の信頼と期待に報いなければならない。
この部分については,特に説明の必要はないでしょう。
そのためには,まず,不動産鑑定士は,同法に規定されているとおり,良心に従い,誠実に不動産の鑑定評価を行い,専門職業家としての社会的信用を傷つけるような行為をしてはならないとともに,正当な理由がなくて,その職務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないことはいうまでもなく,さらに次に述べる事項を遵守して資質の向上に努めなければならない。
(1)高度の知識と豊富な経験と的確な判断力とが有機的に統一されて,初めて的確な鑑定評価が可能となるのであるから,不断の勉強と研鑽とによってこれを体得し,鑑定評価の進歩改善に努力すること。
(2)依頼者に対して鑑定評価の結果を分かり易く誠実に説明を行い得るようにするとともに社会一般に対して,実践活動をもって,不動産の鑑定評価及びその制度に関する理解を深めることにより,不動産の鑑定評価に対する信頼を高めるよう努めること。
(3)不動産の鑑定評価に当たっては,自己又は関係人の利害の有無その他いかなる理由にかかわらず,公平妥当な態度を保持すること。
(4)不動産の鑑定評価に当たっては,専門職業家としての注意を払わなければならないこと。
(5)自己の能力の限度を超えていると思われる不動産の鑑定評価を引き受け,又は縁故若しくは特別の利害関係を有する場合等,公平な鑑定評価を害する恐れのあるときは,原則として不動産の鑑定評価を引き受けてはならないこと。
不動産鑑定士は,専門職業家としての社会的信用を傷つけるような行為をしてはならず,また,職務上知り得た秘密を他に漏らしてはなりません。これは,不動産鑑定士法に定められた義務をそのまま示したものです。
次に,不動産鑑定士が遵守すべきこととして,5つの事項が列挙されていますが,特に難しい記述はなく,読めば理解できると思います。



