不動産鑑定評価入門4 植杉伸介

◆第1節 不動産の種別

1 地域の種別
 地域の種別は,宅地地域,農地地域,林地地域等に分けられる。


 前項で見たとおり,「不動産の種別」とは,不動産の用途に関して区分される不動産の分類をいいますが,具体的には,まず地域の種別によって分類されます。

 不動産は,立地条件などが類似することによって,他の不動産とともに用途的にまとまりのある地域(用途的地域)を構成します。たとえば,駅前では商業的な施設が集中する地域を構成しますね。

 そこで,不動産鑑定評価基準においては,用途的地域の分類,すなわち地域の種別として,宅地地域,農地地域,林地地域等を示しています。

 宅地地域とは,居住,商業活動,工業生産活動等の用に供される建物,構築物等の敷地の用に供されることが,自然的,社会的,経済的及び行政的観点 からみて合理的と判断される地域をいい,住宅地域,商業地域,工業地域等に細分される。さらに住宅地域,商業地域,工業地域等については,その規模,構成 の内容,機能等に応じた細分化が考えられる。

 ここでいう「宅地」とは,住宅地のみを指すのではありません。店舗や工場なども含めた建物等の敷地として使われる土地を指します。 



 宅地地域は,住宅地域,商業地域,工業地域等に分けられますが,この分類では少し大ざっぱなので,住宅地域,商業地域,工業地域等はさらに細分化されます。

 その細分化された内容は,不動産鑑定評価基準に別添された「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項」(以下「留意事項」と略す)に詳しく示されています。

 不動産鑑定評価基準を理解するためには,この「留意事項」を押さえることが不可欠なので,これを引用しておきます。

 不動産の種別及び類型について
 不動産の種別の分類は,不動産の鑑定評価における地域分析,個別分析,鑑定評価手法の適用等の各手順を通じて重要な事項となっ
ており,これらを的確に分類,整理することは鑑定評価の精密さを一段と高めることとなるものである。鑑定評価において代表的な宅地地域である住宅地域及び商業地域について,さらに細分化すると次のような分類が考えられる。

(1)住宅地域
1 敷地が広く,街区及び画地が整然とし,植生と眺望,景観等が優れ,建築の施工の質の高い建物が連たんし,良好な近隣環境を形成する等居住環境の極めて良好な地域であり,従来から名声の高い住宅地域

2 敷地の規模及び建築の施工の質が標準的な住宅を中心として形成される居住環境の良好な住宅地域

3 比較的狭小な戸建住宅及び共同住宅が密集する住宅地域又は住宅を主として店舗,事務所,小工場等が混在する住宅地域

4 都市の通勤圈の内外にかかわらず,在来の農家住宅等を主とする集落地域及び市街地的形態を形成するに至らない住宅地域

 細かい内容を覚える必要はありません。それぞれの地域について,想像力を働かせて,具体的なイメージを持つといいでしょう。
1 は高級住宅街,2 は標準的な住宅街,3 は商店街のすぐそばにあり,ちょっとごちゃごちゃした感じの地域,4 は農業中心の場所だけど,ポツポツと一般の住宅も建っている場所,というイメージですね。

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