国試記述式対策 「土地家屋調査士」 山井由典
(土地家屋調査士) 山井由典
第1問
A市K町一丁目2番3号に事務所を有する土地家屋調査士山上好夫が,下記見取図に示すA市K町二丁目17番2の土地(以下「甲地」という。)
及びA市K町二丁目17番3の土地(以下「乙地」という。)のそれぞれの所有権の登記名義人の全員から,物理的現況及び現状の権利関係を登記に正しく反映させるために必要となる表示に関する登記をするよう依頼されたものとして,後記の調査結果に基づき,後記の問いに答えなさい。

(注) 見取図中,A点からH点までの各点は筆界点を示し,I点は分割点を示す。数字は土地の地番を,実線は筆界線を示す。A0からA3の各点はA市基準点を,T1は多角点を示す。
〔土地家屋調査士山上好夫による調査の結果〕
1 資料調査の結果
(1) 登記所における調査の結果,甲地及び乙地の登記記録の記録(登記事項一部省略)は,下記のとおりであった。
甲地(17番2)
(表題部)
A市K町二丁目 17番2 宅地 95.86㎡
平成10年4月21日地目変更
(権利部)
甲区2番 所有権移転
A市M町5番20号 清水政行
乙区
1番に抵当権設定登記がある。
乙地(17番3)
(表題部)
A市K町二丁目 17番3 宅地 224.69㎡
平成10年4月21日地目変更
(権利部)
甲区2番 所有権移転
A市M町5番20号
持分2分の1 清水政行
A市N町7番10号
2分の1 豊田文代
乙区
1番に清水政行持分を目的とする抵当権設定登記,2番に豊田文代持分を目的とする根抵当権設定登記がある。
(2) 北東道路及び北西道路は,いずれもA市が所有している無番地の土地である。
(3) 乙地に隣接する18番の土地の所有権の登記名義人は,A市N町7番10号に住所を有する豊田文代である。
18番の土地は,一昨年,地積更正登記がされており,その際の地積測量図が登記所に備え付けられていた。この地積測量図の成果として,DE間に相当する距離が8.952m,EF間に相当する距離が8.327mと記載されていた。
(4) 清水政行と豊田文代は,乙地について共有物分割の協議を行い,C点とI点を結んだ線で乙地を東西に分け,西側部分を清水政行が,東側部分を豊田文代が取得することで合意した。
I点は,辺長GH上の点で,辺長CIは,辺長BHに平行である。西側部分について乙区2番根抵当権者から,東側部分について乙区1番抵当権者から,それぞれ権利の消滅を承諾する書面が交付されている。
2 現地調査の結果
(1) 土地の利用状況
甲地及び乙地は,昭和61年8月,亡清水佐助の相続により,遺産分割協議を経て,現在の所有者が取得したものである。
相続した当時,甲地及び乙地は,亡清水佐助とA市の賃貸借契約によりA市の地区公園として利用されていたが,A市K町一丁目地内に近隣公園が開設されたことに伴い,当該賃貸借契約は,平成8年10月に合意解除された。
平成10年4月,甲地及び乙地に隣接する13番及び16番の土地上に,スーパー銭湯(公衆浴場)が建築されて以来,甲地及び乙地は,スーパー銭湯の来客用駐車場として利用されている。来客用駐車場とスーパー銭湯の建物の敷地は一体的に利用されており,建物の敷地部分と駐車場部分とを明確に区分する構築物は,特にない。
(2) 筆界点の状況
現地のA点,C点,F点及びG点にはコンクリート杭が,B点,E点及びH点には金属標が埋設されている。D点には,地積更正登記の際に金属標が埋設されたが,昨年6月,電柱の移設工事の際に亡失したことが判明した。
(3) 立会い
ア A市の職員が立ち会った結果,北東道路と民有地との境界は,C点とE点を結んだ直線であることを確認し,D点は,この直線上にあることも確認した。
イ 本件土地に隣接するすべての土地の所有者に立会いを求め,前記見取図中の各筆界点に争いがない旨の確認をした。後日,D点及びI点には,コンクリート杭を設置し,あらためて確認を得た。
3 測量の結果
ア 基本三角点等
A市基準点
点名A1 X=500.00 Y=500.00
A0への方向角 30°20′40″
点名A2 X=250.71 Y=596.39
点名A3 X=247.09 Y=346.12
イ 基準点測量観測結果
器械点 後視点 測点 観測角 距 離
A1 A0 T1 167°43′00″ 100.00m
T1 A1 A2 122°22′30″ 200.00m
T1 A1 A3 99°50′50″ 200.00m
ウ 一筆地測量観測結果(抜粋)
器械点 後視点 測点 観測角 距 離
T1 A2 E 7°22′20″ 24.87m
T1 A2 C 47°52′20″ 6.71m
エ 18番の地積測量図の成果は,今回の測量の成果と一致している。
オ 筆界点の座標値 (単位:m)
点名 X座標 Y座標
A 375.43 447.35
B 391.05 461.49
F 376.00 479.50
G 377.92 471.69
H 376.80 460.72
(注)1 測量は,A市基準点に基づくものである。
2 観測角は,後視方向を0°として右回りの角度を示す。
問1 多角点T1の座標値を求めなさい。ただし,軽重率は,路線長に反比例するものとする。
問2 C点,D点及びI点の座標値を求めなさい。
問3 甲地の実測面積,乙地の東側部分の実測面積をそれぞれ座標法により計算しなさい。ただし,計算値の端数処理は,登記の申請書に記載する場合の表示方法によるものとする。
問4 甲地について申請すべき登記の目的,添付情報のすべて及び申請人に関する申請情報を記載しなさい。
問5 乙地について申請すべき登記の目的,添付情報のすべて及び申請人に関する申請情報を記載しなさい。
問6 問5の登記の申請において提供すべき地積測量図(縮尺は250分の1)を作成しなさい。
(注)1 座標値は,計算結果の小数点以下第3位を四捨五入し,小数点以下第2位までとすること。
2 訂正,加入又は削除をしたときは,押印や字数を記載することを要しない。
3 地積測量図には,座標値から求めた筆界の辺長を,計算結果の小数点以下第3位を四捨五入し,記載すること。基本三角点等の表示は,図中に概略の地点を明示し符号を付した上,用紙の適宜の箇所にその符号,基本三角点等の名称及び座標値を記載すること。
ただし,測地系の表示(測量年月日を含む。),多角点の表示,各筆界点の座標値の表示,求積及びその方法並びに地積の表示の記載は,省略して差し支えない。
4 本件土地を管轄する登記所は,不動産登記法附則第6条第1項の指定がされている登記所(いわゆるオンライン庁)であり,必要な登記の申請は,書面を提出する方法によりするものとする。
5 本件土地の地積測定の公差は,以下のとおりである。ただし,本件土地は市街地地域に属する。
(単位:㎡)
精度区分 甲1 甲2 甲3 乙1 乙2 乙3
甲地 0.34 0.80 1.59 2.20 4.59 9.18
乙地 0.55 1.33 2.66 3.82 7.81 15.62
第1問 解説
〈出題の趣旨〉
本問は,共有物分割の協議が調った場合の共有地の分筆の登記および隣接する土地の地積更正の登記の申請手続に関する問題である。求積は,簡易網平均計算をテーマとしてみた。
問1 T1の座標値
T1は,各基準点から算出した座標値(近似座標値)を平均計算して求める。
(1)方向角の計算
方向角A1T1=30°20′40″+167°43′0″
=198°3′40″
(注) 方向角A1T1とは,A1からT1への方向角を示すものとする(以下同じである)。
方向角 T1A2=198°3′40″+122°22′30″-180°
=140°26′10″
方向角 T1A3=198°3′40″+199°50′50″-180°
=217°54′30″
(2)A1から求めたT1の近似座標
XT1=100.00×cos198°3′40″+500.00
≒404.93
YT1=100.00×sin198°3′40″+500.00
≒469.00
(3)A2から求めたT1の近似座標
XT1=200.00×cos320°26′10″+250.71
≒404.89
YT1=200.00×sin320°26′10″+596.39
≒469.00
(4)A3から求めたT1の近似座標
XT1=200.00×cos37°54′30″+247.09
≒404.89
YT1=200.00×sin37°54′30″+346.12
≒469.00
(5)平均値(最確値)の計算
A1,A2,A3からの軽重率を,PA1,PA2,PA3とおくと,
PA1:PA2:PA3=1/100:1/200:1/200
=2:1:1
XT1=404.93×2+404.89×1+404.89×1
2+1+1
=404.91
YT1=469.00
問2 各筆界点の座標値
T1からA2の平均方向角
=140°26′19.32″
①E点の座標値
方向角 T1E=140°26′19.32″+7°22′20″
=147°48′39.32″
XE =24.87×cos147°48′39.32″+404.91
≒383.86
YE =24.87×sin147°48′39.32″+469.00
≒482.25
②C点の座標値
方向角T1C=140°26′19.32″+47°52′20″
=188°18′39.32″
XC =6.71×cos188°18′39.32″+404.91
≒398.27
YC =6.71×sin188°18′39.32″+469.00
≒468.03
③D点の座標値
方向角EC=315°22′48.83″
XD =8.952×cos315°22′48.83″+383.86
≒390.23
YD =8.952×sin315°22′48.83″+482.25
≒475.96
④I点の座標値
直線CIの傾き(直線BHのそれと同じ)
461.49-460.72
391.05-376.80=0.054035…
直線GHの傾き
471.69-460.72
377.92-376.80=9.794642…
直線CIの方程式
Y=0.054035…(X-398.27)+468.03
直線GHの方程式
Y=9.794642…(X-377.92)+471.69
上記2式の連立方程式を解くと,
XI≒377.43
YI≒466.90
問3 各土地の実測面積
各土地の地目はいずれも宅地であるから,1平方メートルの100分の1未満の端数を切り捨てる(規則100条)。なお,乙地の西側を(イ)部分,東側を(ロ)部分としてある。
甲地
筆界 X Y Xn+1-Xn-1 Y(Xn+1-Xn-1)
A 375.43 447.35 14.25 6374.7375
B 391.05 461.49 1.37 632.2413
H 376.80 460.72 -15.62 -7196.4464
倍 面 積 189.4676
面 積 94.7338
乙地(イ)
筆界 X Y Xn+1-Xn-1 Y(Xn+1-Xn-1)
B 391.05 461.49 21.47 9908.1903
C 398.27 468.03 -13.62 -6374.5686
I 377.43 466.90 -21.47 -10024.3430
H 376.80 460.72 13.62 6275.0064
倍 面 積 215.7149
面 積 107.85745
乙地(ロ)
筆界 X Y Xn+1-Xn-1 Y(Xn+1-Xn-1)
C 398.27 468.03 12.80 5990.7840
D 390.23 475.96 -20.35 -9685.7860
G 377.92 471.69 -12.80 -6037.6320
I 377.43 466.90 20.35 9501.4150
倍 面 積 231.2190
面 積 115.6095
問4 甲地の登記の目的等
(1)登記の目的(令3条5号)
「土地地積更正登記」と記載する。
本件土地の現況は,宅地と一体的に利用されている駐車場であるから,地目は「宅地」である(『地目認定(改訂版)』65~66頁/民事法務協会)。よって,登記記録上の地目は,現況と合致している。しかし,地積に誤りがある(誤差の限度である甲2の0.80㎡を超えている)。
(2)添付情報(規則34条1項6号)
①地積測量図(令別表6項・添付情報欄)
②代理権限証書(令7条1項2号)
(3)申請人(令3条1号)
甲地の所有権の登記名義人である清水政行の氏名および住所を記載する(法38条)。
問5 乙地の登記の目的等
(1)登記の目的(令3条5号)
「土地分筆登記」と記載する。
乙地は共有物分割により,実体上,その西側部分を清水政行が単独所有し,その東側部分を豊田文代が単独所有しているが,登記手続上は各部分に分筆して,その後,持分移転の登記を申請する必要がある。
分筆前と分筆後の地積の差は,224.69-223.46695=1.22305㎡となり,甲2の1.33㎡の限度を超えていないので,地積更正の登記を申請することを要しない(規則77条4項,準則72条1項)。
なお,登記記録上の地目が現況と合致していることは,問4で説明したとおりである。
(2)添付情報(規則34条1項6号)
①地積測量図(令別表8項・添付情報欄イ)
②抵当権消滅承諾書(法40条)
③根抵当権消滅承諾書(法40条)
④代理権限証書(令7条1項2号)
(3)申請人(令3条1号)
乙地の所有権の登記名義人である清水政行および豊田文代の氏名および住所を記載する(法39条1項)。
問6 地積測量図
基準点の位置は,問題文の指示どおり概略の位置で差し支えない。分筆後の(ロ)部分の地番は,17番4とするのが相当である(準則67条1項4号ただし書)。
第1問 解答
問1 T1の座標値
X座標 Y座標
404.91m 469.00m
問2 各筆界点の座標値
筆 界 X座標 Y座標
C点 398.27m 468.03m
D点 390.23m 475.96m
I点 377.43m 466.90m
問3 実測面積
甲 地 94.73㎡
乙地東側 115.60㎡
問4 甲地の登記の目的等
登記の目的 土地地積更正登記
添付情報 地積測量図 代理権限証書
申請人 A市M町5番20号 清 水 政 行
問5 乙地の登記の目的等
登記の目的 土地分筆登記
添付情報 地積測量図 代理権限証書 抵当権消滅承諾書 根抵当権消滅承諾書
申請人 A市M町5番20号 清 水 政 行
A市N町7番10号 豊 田 文 代

第2問
A市D町3番4号に本店を有する右京商事株式会社とA市D町3番5号に住所を有する伏見太郎は,家屋番号56番の建物のうち主たる建物と家屋番号57番との間に増築工事を施して合体させ,下記の見取図のとおり工事を済ませた。
A市F町二丁目1番1号に事務所を有する土地家屋調査士中条広子が,前記2個の各建物について必要となるすべての表示に関する登記の手続を,各建物の所有権の登記名義人から依頼されたものとして,後記の調査結果に基づき,後記の問いに答えなさい。

(注)1 建物の測定値は,壁又は柱の中心からのものである。ただし,敷地境界から建物までの距離は,外壁までのものである。
2 斜線部は,増築した部分である。
3 [ ]内の数字は,土地の地番である。
4 ( )内の数字は,敷地の筆界点間の距離である。
5 距離の単位は,メートルである。
〔調査結果〕
1 増築工事は,工場を拡張する目的で行われ,平成20年5月3日に,その工事が完了した。増築部分の構造は,鉄骨造スレートぶき平家建である。
2 増築後の建物は,すべて工場として利用されている。
3 56番の建物のうち附属建物は,増築後の工場の附属建物として利用されている。その用途は,従来どおり事務所であり,増築,取壊等の工事は一切行われていない。
4 北の方向は,敷地南側道路と直角である。
5 合体後の建物の持分については,固定資産税評価額等を勘案して,当事者間の協議により,右京商事株式会社持分100分の63,伏見太郎持分100分の37と決定している。また,この持分割合について,抵当権者から承諾を得ている。
6 右京商事株式会社の代表取締役は,A市D町3番5号に住所を有する伏見太郎である。また,同会社は,取締役会設置会社である。
7 敷地及び建物の隅部は,すべて直角である。
8 登記所で調査したところ,登記記録の記録は,次のとおりであった。ただし,登記事項の一部を省略している。
(家屋番号56番の建物)
〔表題部〕
所在 A市D町字E56番地
家屋番号 56番
主たる建物
工場 鉄骨造スレートぶき平家建
床面積 113.40㎡
附属建物符号1
事務所 木造亜鉛メッキ鋼板ぶき平家建
床面積 35.51㎡
〔権利部〕
甲区1番 所有権保存
A市D町3番4号 右京商事株式会社
乙区1番 抵当権設定
A市G町5番8号 株式会社東山銀行
(家屋番号57番の建物)
〔表題部〕
所在 A市D町字E57番地
家屋番号 57番
工場 鉄骨造スレートぶき平家建
床面積 76.14㎡
〔権利部〕
甲区1番 所有権保存
A市D町3番5号 伏見太郎
※乙区はない。
問1 本件建物について申請すべき登記の目的及び申請人に関する申請情報を記載しなさい。
問2 問1の申請に必要な添付情報をすべて記載しなさい。ただし,図面以外については,「代位原因証書(売買契約を証する書面)」のように,かっこ書で,当該情報を特定させて記載するものとし,申請情報の内容を援用する旨や添付省略等の記載はしないこと。
問3 本件建物の申請情報のうち,「建物の表示」欄に記載すべき事項を記載しなさい。
問4 右京商事株式会社の利益を保護する点から,本件建物の持分割合を定めるについて必要と考えられる手続及びその手続が必要な理由を簡潔に記載しなさい。
問5 問1の申請に必要な添付情報のうち,建物図面及び各階平面図を作成しなさい。
(注)1 建物図面は500分の1,各階平面図は250分の1の縮尺で作成すること。
2 訂正,加入又は削除をしたときは,押印や字数を記載することを要しない。
3 「建物の表示」欄には,適宜,「主たる建物又は附属建物の別」欄を設けること。
4 本件建物を管轄する登記所は,不動産登記法附則第6条第1項の指定がされている登記所(いわゆるオンライン庁)であり,必要な登記の申請は,書面を提出する方法によりするものとする。
第2問 解説
〈出題の趣旨〉
本問は,会社が所有する甲建物の主たる建物と会社の代表取締役個人が所有する乙建物を合体させたことによる,合体による登記等の申請手続に関する問題である。
問1 登記の目的・申請人
(1)登記の目的(令3条5号)
「合体による建物の表題登記及び合体前の建物の表題部の登記の抹消」と記載する(法49条1項)。甲建物の主たる建物と乙建物が合体した場合,甲建物の附属建物は,甲建物の主たる建物の合体による登記等に従うものとされている(平成5年度首席登記官会同における質疑応答十一・49)。
したがって,甲建物の附属建物と乙建物が合体した場合とは異なり,建物の分割の登記を申請する必要はない。
なお,法49条1項の文言に準じて,「合体後の建物の表題登記及び……」としても差し支えないと考える。
(2)申請人(令3条1号・2号)
合体による登記等の申請人は,実体上の所有者,表題部所有者または所有権の登記名義人である(法49条1項)。
本問では,各建物の所有権の登記名義人から申請するのであるから,右京商事株式会社の本店,商号,代表者の氏名,個人としての伏見太郎の住所,氏名,並びに各人の持分を記載する(令3条9号)。
問2 添付情報
①建物図面(令別表13項・添付情報欄イ)
②各階平面図(令別表13項・添付情報欄ロ)
③所有権証明書(令別表13項・添付情報欄ハ)
増築部分の所有権証明書として建築確認済証,検査済証等(準則87条1項),および合体後の建物の持分割合を証する書面として協議書等を添付する。
④住所証明書(令別表13項・添付情報欄ニ)
右京商事株式会社については会社の登記事項証明書,伏見太郎については住民票の写しを添付する。
⑤登記識別情報(法22条,令8条1項2号)
合体前の各建物の所有権の登記名義人の登記識別情報を提供しなければならない。
⑥印鑑証明書(令18条2項)
合体前の各建物の所有権の登記名義人の印鑑証明書を添付しなければならない。
⑦承諾書(令別表13項・添付情報欄ト)
合体前の56番の建物に登記されている抵当権は,存続登記となるので,株式会社東山銀行が持分割合を承諾した書面を添付する。
⑧資格証明書(令7条1項1号)
右京商事株式会社の登記事項証明書を添付する。
⑨代理権限証書(令7条1項2号)
右京商事株式会社,伏見太郎各人の委任状を添付する。
問3 「建物の表示」欄の記載事項
令3条8号の規定により,合体前および合体後の建物の表示を記載する。合体後の建物の家屋番号は,申請情報の内容とすることを要しない(令3条8号ロかっこ書)。
登記原因及びその日付として,合体前の建物の表題部の登記の抹消においては,「平成20年5月3日56番(57番)と合体」とそれぞれ記載し,合体後の建物の表題登記においては,「平成20年5月3日56番,57番を合体」と記載する(平成5・7・30民三5320号通達第六・三・(1))。
附属建物を表示した欄の登記原因及び日付欄には,何ら記載を要しない(『新版・建物合体登記の実務』356~357頁/日本加除出版)。
問4 持分割合につき必要となる手続・理由
本問の合体後の建物は,右京商事株式会社と伏見太郎の共有となるので,持分割合はこの両名で協議すればよいことになる。
しかし,右京商事株式会社の代表取締役は,伏見太郎であるから,この協議は,会社と取締役間の利益相反行為に該当するものと解される。
典型的な利益相反行為としては,会社と取締役間の売買等があるが,本問の持分割合を決める協議についても,伏見太郎個人の持分を多くすれば,その反射として右京商事株式会社の持分は少なくなる。
したがって,右京商事株式会社の利益を保護する点から,当該協議について,伏見太郎は当然には会社を代表する権限を有するものではなく,取締役会の承認を得て,協議をすることができるものと解される(会社法365条1項,356条1項2号)。
この承認は事後であってもよい(東京高判昭和34・3・30)。
なお,取締役会は,会社の必置機関ではないので(同法326条2項),取締役会を置かない株式会社にあっては,利益相反行為につき,株主総会の承認を得なければならないことになる(同法356条1項2号)。
第2問 解答
問1 登記の目的・申請人
登記の目的 合体による建物の表題登記及び合体前の建物の表題部の登記の抹消
申 請 人 A市D町3番4号 持分100分の63 右京商事株式会社
代表取締役 伏 見 太 郎
A市D町3番5号 100分の37 伏 見 太 郎
問2 添付情報
建物図面 各階平面図
登記識別情報(56番の建物の登記識別情報,57番の建物の登記識別情報)
印鑑証明書(右京商事株式会社の代表者の印鑑証明書,伏見太郎の印鑑証明書)
所有権証明書(増築部分の建築確認済証及び検査済証等,合体後の建物の持分割合の協議書)
住所証明書(右京商事株式会社の登記事項証明書,伏見太郎の住民票の写し)
承諾書(合体後の建物の持分割合に対する株式会社東山銀行の承諾書)
資格証明書(右京商事株式会社の登記事項証明書)
代理権限証書(右京商事株式会社の代表者の委任状,伏見太郎の委任状)

建物の表示 所 在 A市D町字E
地 番@ 家屋@番号@ 主たる建物又は附属建物 ①種 類 ②構 造 ③床面積@㎡ 登記原因及び@その日付
56番地 56番 主 工 場 鉄骨造スレートぶき平家建 113 40 平成20年5月3日57番と合体
符号1 事務所 木造亜鉛メッキ鋼板ぶき平家建 35 51
57番地 57番 工 場 鉄骨造スレートぶき平家建 76 14 平成20年5月3日56番と合体
56番地,@57番地 主 工 場 鉄骨造スレートぶき平家建 236 79 平成20年5月3日56番,57番を合体
符号1 事務所 木造亜鉛メッキ鋼板ぶき平家建 35 51
問4 持分割合を定めるにつき必要な手続及びその手続が必要な理由
合体後の建物の持分割合を定めることにつき,右京商事株式会社の取締役会の承認を要する。
本件において合体後の建物の持分割合を定める場合,伏見太郎個人の持分を多くすることにより,その反射として右京商事株式会社の持分が少なくなるので,会社と取締役間の利益相反行為に該当すると解されるからである。

問5 家屋番号 建物図面
各階平面図
主たる建物@
求積
20.70×10.50=217.3500
5.40× 3.60= 19.4400
計236.7900
床面積236.79㎡
附属建物符号1
求積
5.30×6.70=35.5100
床面積 35.51㎡ 建物の所在 A市D町字E56番地,57番地
(単位:m)
作 成 者 @(略)@(平成何年何月何日作成) 縮尺 1/250 申 請 人 (略) 縮尺 1/500
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