平成21年度国家試験を展望する「司法書士試験」2鈴木宏美
2.21年度試験の予想される傾向と対策
司法書士試験が数ある国家試験の中で依然として難関の部類に属するとされるのは,その広すぎる試験範囲だと言っても過言ではありません。
司法書士試験には,試験科目が11もありますので,すべての科目で一定以上の得点ができるよう,科目間にばらつきがないように学習することが大切です。
合格者がとっている学習方法は,他の資格試験と同様にオーソドックスなものです。大切なのは,条文や基本的な判例の知識をしっかり押さえ,過去問を繰り返すことです。
そして,例外的な難問にとらわれることなく,どの分野のどの科目でも基本的な問題を確実に正解することが重要であるということを今後の勉強の1つの指針にしていただきたいと思います。
(1)出願者数と合格率の傾向
司法書士試験の出願者数は,毎年増加傾向にありますが,その合格率は,近年の出願者数の増加によってもさほど変わることなく推移しており,この傾向は来年度以降も続くものと予想されます。
(2)科目ごとの対策
①多肢択一式試験について
●憲法 来年度以降も引き続き,推論の出題が予想されますので,有名な判例や学説の対立点をしっかり押さえて知識をつけるようにしましょう。
また,統治の分野については,条文の正確な記憶に努めるようにしましょう。
●民法 近年は各分野から基本的な論点の問題がバランスよく出題されており,この傾向は今後も続くものと思われます。多くの合格者が実践していることですが,条文の正確な理解に努め,過去問を繰り返し行う学習方法こそが王道です。
●刑法 過去問を繰り返し解きながら,短時間の学習で高得点が取れるよう自分なりに工夫することが大事ですが,それに加えて多くの問題に当たって感覚を養うようにするとよいでしょう。
●商法・会社法 20年度程度の難易度は想定しておくべきでしょう。来年度以降も条文の知識をベースにした問題が出題される傾向が続くものと思われますので,条文の理解を深めておくようにしましょう。
●民事訴訟法・民事執行法・民事保全法 いずれにおいても,条文の正確な理解と過去問の繰り返しが重要であることに変わりはありません。例年7問の出題がありますので,その中には難解な問題が必ずあります。
しかし,難解な問題はすべての受験生にとってそうなのですから,やはり基本的な問題を確実に正解するのが合格への近道であるように思います。
●司法書士法・供託法 取り組みにくい分野ではありますが,短い時間であっても,きちんと対策さえしておけば十分得点源となるところです。まずは,過去問をじっくりと解いてみましょう。
●不動産登記法 司法書士試験は,科目によって出題数がまったく違います。このうち,午後の部のウエートを大きく占めるのが不動産登記法です。
出題傾向としては,いかに条文を正確に理解しているかを問う傾向にあります。基本的な条文の知識を応用する力があれば,本試験の出題の難易度が上がっても十分対応することが可能であると思われますので,まずは,条文にきちんと当たり,基本的な論点を繰り返し学習することにより確実な知識を身につけていただきたいと思います。
●商業登記法 近年,解答スピードを上げ,かつ正確に解答する能力が求められるようになってきました。ケアレスミスは致命傷となりますから,普段から基本的な論点を繰り返し勉強し確実な知識を身につけるようにしましょう。
また,過去に出題されたことのある論点を繰り返し出題するのも相変わらずの傾向ですから,そのような問題を確実に得点することが重要だと思われます。
②記述式試験について
不動産登記法,商業登記法ともに,来年度以降も問題文・解答の分量が多いであろうこと,そして,これまで以上に実務を意識した論点が出題されるであろうことが予想されます。
記述式の問題は,実際に書くことがとても大切です。午後の部の択一式試験とのバランスも考え,本誌のような受験情報誌や受験予備校などを上手に活用して,日頃から良問を解き,ペース配分を訓練していただきたいと思います。
③口述試験について
口述試験は,試験官が受験生に口頭で解答を求める形で行われます。1人当たりの受験時間は15分程度です。
試験範囲は,筆記試験と同じ範囲ですが,特別難しいことが問われるわけではなく,今まで勉強してきた知識で十分に対応することができるはずです。
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