住宅新報社・季刊「不動産受験新報」2010年夏号
         (7/1日発売 定価1155円)
50歳以上の方にお勧めの資格

 これが資格についての一般情勢です。そういうことであれば,国家資格の重要性,貴重さはいままで以上かもしれません。

 実際,国家資格の多くは,ある種の業務を資格者だけで独占する「業務独占」の機能があります(社会保険労務士,行政書士,司法書士,税理士,弁護士,弁理士など)。
 また,そこまでいかなくても,資格取得者だけが名乗れるという「名称独占」機能もあります(マンション管理士,中小企業診断士,調理師,介護福祉士など)。

 そして,法律上,企業が会社内に一定人数を雇用しておかなければ事業が行えないので,就職や転職のときに,資格者が有利になる設置義務または必置義務資格があります(宅地建物取引主任者,管理業務主任者など)。

 これだけのメリットがあるわけですから,国家資格が重視されるのも無理のないことです。

 ところで,読売新聞の広告局が「ジーンズフィフティ」という企画記事を随時掲載しています。「50歳を過ぎてもジーンズに象徴される"軽やかさ"と"自由な心"を持ち続けるカッコいい大人のこと」を 「ジーンズフィフティ」というそうです。資格に挑戦する人も,「ジーンズフィフティ」の1人ということで,そういう方にお勧めする「いま注目の資格は何か」という取材を受けました。

  こうしてみると,「これから役立つ資格」となると,やはり国家資格等に絞られざるを得ません。もちろん,民間資格でも有望なものはありますが,それらは今後,時間の経過という検証を経る必要があります。

3 社員総会
 社員は,各1個の議決権を有するが,地域を代表する支部長が社員である場合に,地域会員の人数に比例して議決権個数を付与するなど,定款で別段の定めをすることができる(48条1項)。ただし,社員総会において決議をする事項の全部につき社員が議決権を行使することができない旨の定款の定めは,その効力を有しない(48条2項)。


 社員総会の普通決議は,定款に別段の定めがある場合を除き,総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し,出席した当該社員の議決権の過半数をもって行う(49条1項)。定款で定足数を軽減または排除することができる。


 社員総会の特別決議は,総社員の半数以上であって,総社員の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない(49条2項)。


 特別決議の対象となる事項は,社員の除名(30条1項),監事の解任(70条1項),理事等の責任の一部免除(113条1項),定款の変更(146条),事業の全部譲渡(147条),解散(148条3号),継続(150条),吸収合併契約の承認(247条,251条),新設合併契約の承認(257条)である。

強いのは国家資格
 私が依頼されたテーマは,「これから有望な資格とその勉強法について,読者の皆さまに案内せよ」ということです。そこでまず,これから有望な資格とは何か,を考えてみます。いまは,資格・検定について,いろいろなものがにぎにぎしく新聞や雑誌に報道されていますが,これらは言葉は悪いですが,ウケねらいの一発資格も少なくありません。

 それはともかく,これらの新資格について詳しいのは,ALL ABOUTの資格部門でガイドをされている鈴木秀明さんです。鈴木さんは,毎年その年に立ち上がった新資格の案内を,同サイトで発表していますが,09年のランキング10には次のようなものが入っていました。

 認知症ライフパートナー,パンシェルジュ検定,議員力検定,食品表示検定,戦国文化検定,ディスクロージャー経理実務検定,貸金業務取扱主任者,その他。

 ウーン,たしかに百花繚乱,多士済々。まさに"資格検定花盛り"ですね。しかし,こうした資格検定の中でどれが生き残れるかというと,微妙な節があります。やはり法律の裏付けのある国家資格などが強いのは否めません。

 前記の資格検定のなかでも,鈴木さんがランキング1位としたのは,国家資格の貸金業務取扱主任者です。ほかには国家資格はありません。
 

2 任意機関
 一般社団法人は,定款の定めによって,理事会,監事または会計監査人を置くことができる(60条2項)。
ア 理事会
 理事会を置く一般社団法人を「理事会設置一般社団法人」といい(16条1項),理事会設置一般社団法人である旨を登記しなければならない(301条2項7号)。


 なお,一般社団法人では,理事会の設置が義務付けられる場合はない(株式会社との比較につき会社法327条1項参照)。


 理事会設置一般社団法人の理事の員数は,3人以上でなければならず(65条3項),理事会設置一般社団法人では,理事会において理事の中から代表理事を選定しなければならない(90条2項3号・3項)。


イ 監事
 監事を置く一般社団法人および監事を置かなければならない一般社団法人を「監事設置一般社団法人」という(15条2項1号)。
 理事会設置一般社団法人および会計監査人設置一般社団法人は,監事を置かなければならない(61条)。
 監事設置一般社団法人は,監事設置一般社団法人である旨および監事の氏名を登記しなければならない(301条2項8号)。

⑵ 機関
【表1 一般社団法人の機関設計と登記事項】

機関                            登記事項

●社員総会・・必置           

●理事・・必置               理事の氏名、外部理事である旨、代表理事の氏名及び住所                        

●理事会・・任意             理事会設置一般社団法人である旨

●監事 理事会を置く場合・・必置   監事設置一般社団法人である旨

                       監事の氏名、外部監事である旨

     会計監査法人を置く場合・・必置    監事設置一般社団法人である旨

                             監事の氏名、外部監事である旨

     上記以外・・任意         監事設置一般社団法人である旨

                        監事の氏名、外部監事である旨

●会計監査人 大規模一般社団法人・・必置  

                    会計監査人一般社団法人である旨、会計監査人の氏名又は名称

        上記以外・・任意  会計監査人一般社団法人である旨、会計監査人の氏名又は名称

2 一般社団法人
 (説明の便宜上,法人法の順序によらず説明する。)

⑴ 社員

① 社員の員数
 一般社団法人は,社団としての人の集まりである団体であり,設立の局面では,2人以上の社員の存在が必要となる(10条1項,「共同して」)。
 しかし,社員が1人となったことは解散事由とされておらず,社員が欠けたことが解散事由とされている(148条4号)。

② 退社
 一般社団法人の社員は,出資義務を負わず,法人資産について持分を有しないため,出資の回収手段としての退社を認める必要はないはずである。しかし,社員総会の意思決定は多数決原理によるため,自らの意思に反する決定に拘束されることがあり得る。

そこで,その拘束から離脱する自由を確保するために,退社制度が設けられている。
 
2―法人法の概要

1 一般社団法人・一般財団法人の制度の特徴
 一般社団法人および一般財団法人の制度は,株式会社の制度と比較すると理解しやすい。2以降の記載についても,①株式会社と一般社団法人の相違点,②一般社団法人と一般財団法人の相違点に注意しながら読み進めていただきたい。

⑴ 剰余金の分配を目的としない
 株式会社の株主は,その有する株式につき剰余金の配当を受ける権利を有している(会社法105条1項1号)。
 これに対して,社員(一般社団法人)または設立者(一般財団法人)に,剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは,その効力を有しないとされている(11条2項,153条3項2号)。

⑵ 法人の種類――「一般社団法人」と「一般財団法人」
 会社は,人の集合である社団の形態しか認められていない。
 これに対して,法人法が定める法人には,「一般社団法人」と「一般財団法人」とがある。

「一般社団法人」とは,一定の目的のために結合した人の集合に対して法人格が付与されたものをいい,「一般財団法人」とは,一定の目的のために結合された一団の財産に対して法人格が付与されたものをいう。それぞれ,その名称中に「一般社団法人」「一般財団法人」の文字を用いなければならない(5条1項)。
1―新しい公益法人制度の概要

1 法人の設立と公益性判断の分離
 新しい公益法人制度は,「法人の設立と公益性判断の分離」を基本としている。

 すなわち,新制度では,従来の主務官庁による公益法人の設立許可制度は廃止され,法人が行う事業の公益性の有無にかかわらず登記のみで一般社団法人・一般財団法人を設立できるほか(22条,163条)(注5),一般社団法人・一般財団法人のうち公益目的事業を行うことを主たる目的とする法人については,民間有識者による公益認定等委員会または合議制の機関の意見に基づき,行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)の認定(公益認定)を受けて公益社団法人・公益財団法人となることができる(認定法4条,7条他)。

(注5)一般社団法人・一般財団法人が行うことのできる事業については,特段の制限は設けられていない。

第1章 公益法人改革三法・法人登記関連
 いわゆる「公益法人制度改革(注1)」により,改正前の民法が規定していた旧公益法人(以下「改正前の民法法人」という)制度が抜本的に見直された結果,公益法人制度改革関連三法といわれる「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「法人法」という)(注2)」,「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「認定法」という)(注3)」および「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という)(注4)」が,平成20年12月1日から施行されている。

 また,これに伴い,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて」(平成20年9月1日付民商第2351号通達)が発出されている。

(注1)民間非営利部門の活動の健全な発展を促進し,民による公益の増進に寄与するとともに,主務官庁の裁量権に基づく許可の不明瞭性等,従来の公益法人制度の問題解決を目的とする改革

(注2)剰余金の分配を目的としない社団および財団について,その行う事業の公益性の有無にかかわらず,登記のみによって法人格を取得することができる一般的な法人制度を創設し,その設立,組織,運営および管理について定めた法律

(注3)一般社団法人または一般財団法人のうち,公益認定の申請をした法人に対して,公益認定等委員会または合議制の機関の意見に基づき,行政庁が,当該事業を適正に実施し得る公益法人を認定する制度について定めた法律

(注4)法人法,認定法の施行に伴い,関係法律の整備について定めた法律

1―はじめに

 近年,毎年のように法律の改正が行われており,司法書士試験における試験科目である法律が改正されることも多い。司法書士試験受験生諸氏としては,どのような改正が行われたのか,そしてどの程度まで学習しておくべきなのか,大いに気にかかるところであろう。
 そこで,本稿は平成22年度司法書士試験を受験するに当たり,改正法についてどのような対策を講じるべきなのかを考察するとともに,学習しておく必要があると考えられる改正点について解説を試みることとする。
 なお,文中意見にわたる部分は,筆者の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきたい。

2―司法書士試験における改正法対策
 司法書士試験においては,改正された部分が改正直後に出題されることはないと判断して差し支えないであろう。過去の出題例を見れば,それは明らかである。したがって,試験対策上,改正部分の重要度は高くはなく,その他改正のない部分のほうが,はるかに重要であるといえる。

 しかし,改正部分は,改正法施行後2年から4年後に,相当高い確率で出題されている(平成21年度の試験において,平成19年9月に施行され,施行後2年弱の信託法から出題されたことは記憶に新しいであろう)。よって,試験科目である法律に改正があった場合,その改正が施行された2年から4年目辺りに注意しておく必要がある。
 

風のたより

風のたより
今年のゴールデンウィークは天気に恵まれ,久しぶりに鎌倉へ出かけた。人混みを避けるため長谷駅に絞って午後から出かけたが,たくさんの観光客。外国人も多い。とりあえず時間がないので髙徳院と長谷寺へ。髙徳院の大仏が国宝だと今回初めて知った(過去に二度訪
れたが......)。

大仏の後ろに長い行列が。大仏の中に入れることも初めて知った。境内の裏には与謝野晶子の歌碑がある。以前来たときに何を見たのか。長谷寺は閉門5分前に滑り込んだおかげで,観光客がほとんどいなく閉山までの30分ゆっくりできた。木造十一面観音立像は9.18メートルの巨像で圧巻。いろいろな草花や新緑も美しい。由比ヶ浜を見渡せるので,デートスポットとしておススメ。平日にまたゆっくり来ようと思う。(冨士田)

 

 

私たちは新しく出会うと瞬時にその人を判断しようとする。自分と比較したり,その人に近い立場の人と比べたりする。それは人との出会いで常に起こることである。仮に自分より相当に優れている面を持つ人が現れたとする。そのとき羨ましいと思ってもいいけれど,妬んではならない。

直接出会わない人でも,テレビや新聞でちやほやされたり,表彰されたり,成功しているのをみても同じだ。妬むということは自分にそれがないということの裏返しだ。地位がない,金がない,名誉がない,人の賛辞がない,素敵な異性と仲良くなれない,など数えあげれば切りがない。そんな一切のことで妬まない。それらがない自分でいいのだ,と思い切ることが大切だ。


 

2)1人の後ろにたくさんの人がいる
 上記(1)を読んで「数人か」と思っている人もいると思うが,最初は数人来れば上々である。後は資格を生かした事務処理が生きてくるのだ。

 そして,顧客が満足を得れば,次のときも依頼されるであろうし,その人が他の人を連れてやってくる。
 本でも何でも同じであるが,まずは手にとってもらわないとだめだ。それと同じように,自分がここでこういうことをやっているということを示し,1人でもいいから,顧客を見つけることが非常に重要である。

(3)頼まれたらできる限り断るな
 よく「Aをお願いします」という依頼に対して,「Aは苦手だなぁ」と思うことがある。しかし,よほどのことがない限り,絶対に断ってはならない。これを学習のチャンスととらえる発想の転換が必要である。つまり,「走りながら考える」ことが必要なのである。

 たとえば,「○○ができるようになったらこれをやろう」と考えているとしよう。その「○○」は永久に満足するようにはできず,従って自分のやりたいことはできないのが通常である。○○なんてできなくてもいいんだ。まず,とにかくやってみることが最優先である。
 また,どうしてもだめな場合は,他のそのことを得意としている友人なりに頼むということも考えられる。
2 具体例
 たとえば,士業を始めた頃に皆がよくやるのは,チラシと飛び込みの営業である。

 よく「チラシを配っても誰も読みはしない」という話をする人がいるが,1,000枚配って1人でも来れば儲けものくらいに考えなければならない。たとえば,私の知っている行政書士に最初に来た依頼は,チラシを見たおばあさんが親戚に「礼状」を書きたいが,それを書いてほしい,というものであったという。それに丁寧に応対し,それからもその家族からの依頼があったという話である。

 また,自宅であろうがどこであろうが,ここでこういう仕事をしているということを世の中に知らさなければならない。いちいちどこにどんな事務所があるなんて問題を抱えていない限り,意外と目につかないものである。そのためにもチラシは始めの第1歩である。自分でチラシをビルの郵便受けに入れることによって,「よしやるぞ」という気持ちが芽生えたという話も聞いたことがある。

 また,飛び込みで営業をしても,「うちには顧問がいる」から等と断られることが多いので嫌だ,という話もよく聞く。しかし,すべての会社が顧問を置いているわけではなく,これも私の友人の社会保険労務士がたまたま飛び込みで知り合った顧客と,それ以後も何十年とつき合っているという話も聞くのである。

 

1 本項で述べる独立するための資格
 本項では,以下の資格を扱う。

司法書士
土地家屋調査士
行政書士
社会保険労務士


2 前提としての認識
 まず,資格を取っただけでは食べていくことができないことに留意していただきたい。

 受験生の中には,資格さえ取得すれば,バラ色の未来が待っていると思っている人が多い。たとえば,親が同じ業務を行っていて,すでに地盤があるなら資格さえ取れば何とかなるといえなくもないが,自分の代となってからそれを維持し発展させることができるかは大いに疑問である。

 人は特定の人に付いているのであって,親に付いていた顧客が自分にも付いてくれるとは限らないことを肝に銘じていただきたい。つまり,甘い考え方は捨てたほうがいいということである。

 まして,地盤も何もないところから出発する人にとっては,茨の道かもしれない。しかし,現にこれらの資格で食べていき,そこそこの生活をしている人は有資格者のうちに一定の数はいる。その一定の数に入るためにはどうすればよいのかを,それぞれの業務を考える前に見てみよう。

3 独立して食べていくための要件
(1)士(サムライ)業は営業力が勝負

1 総論
 これは,どんな職業についてもいえるかもしれないが,いちばん力を発揮するのは営業力である。
 何もしないで,ふんぞり返って顧客を待っていても年に数人しか顧客はやってこない。否1人も訪ねてこないかもしれない。
 独立して最初にやるべきことは営業である。

最重要事項 = 営業力

 

執行処分に対する不服申立て
1 執行抗告
(1)執行抗告とは
 執行抗告とは,民事執行の手続に関する裁判に対して,特別の定めがある場合に限り認められる不服申立ての手段をいいます(民事執行法10条1項)。

 特別の定めがある場合に限って執行抗告が認められているのは,執行の引き延ばしのために執行抗告が濫用されることを防ぐためです。

(2)執行抗告のできる裁判
 執行抗告のできる裁判には,次のようなものがあります。

1 執行抗告を却下する原裁判所の裁判
2 民事執行の手続を取り消す旨の決定
3 民事執行の手続を取り消す執行官の処分に対する執行異議の申立てを却下する裁判
4 執行官に民事執行手続の取消しを命ずる決定
5 不動産強制競売の申立て却下の裁判
6 不動産売却の許可・不許可の決定
7 不動産引渡命令の申立てについての裁判
8 不動産強制管理の申立てについての裁判

 

3 執行官
(1)執行官とは
 執行官とは,地方裁判所に置かれ,法律の定めるところにより裁判の執行,裁判所の発する文書の送達その他の事務を行う国家機関をいいます。

(2)執行官の管轄
 執行官が管轄するのは,1 民事訴訟法,民事執行法および民事保全法その他の法令において執行官が取り扱うべきものとされている事務,および2 民事執行法の規定による民事執行,民事保全法の規定による保全執行その他私法上の権利を実現し,または保全するための手続を構成する物の保管・管理・換価その他の行為に係る事務で,裁判において執行官が取り扱うべきものとされたもの,です。

(3)執行官の権限等
1  警察上の援助等
 執行官が行う執行処分は事実行為を中心とするため,職務執行に際し抵抗を受けることがあります。そのような場合は,その抵抗を排除するために威力を用い,または警察上の援助を求めることができます。

 また民事執行のため必要がある場合,執行官は,官庁または公署に対し援助を求めることができます。
執行機関
1 執行機関とは
 執行機関とは,民事執行の実施を担当する国家機関のことです。現行法上,執行機関となり得るのは,裁判所および執行官です(2条)。

 裁判所が執行機関となるのは,権利関係の判断を中心とする観念的処分に適する種類の執行の場合です。たとえば,不動産の強制競売において法定地上権が成立するかどうかといった,財産関係についての法律的な判断が要求される場合であるといってもいいでしょう。

不動産執行,船舶執行,債権執行,代替執行,間接強制およびこれらの金銭執行に準じる担保権の実行としての競売等が該当します。

 これに対し,執行官が執行機関となるのは,実力行使を伴う事実的行為を中心とした処分に適する種類の執行の場合です。特に法律的な判断は必要なく,実力行使的な執行が行われる場合といえます。動産執行,不動産・動産の引渡しの強制執行等が該当します。

 裁判所と執行官はそれぞれ独立の執行機関であり,上下の関係はありませんが,両者の特性の違いに応じて,両者が協力・監督すべき場合もあります。

総則
1 民事執行とは
 民事執行とは,強制執行,担保権の実行としての競売および民法,商法その他の法律の規定による換価のための競売並びに債務者の財産開示手続の総称です(民事執行法1条)。
すなわち,民事執行には,1 強制執行,2 担保権の実行としての競売,3 民法等の規定による換価のための競売,4 財産開示,の4種類があるわけです。

(1)強制執行
 強制執行とは,債務名義という公文書に表示された請求権の実現を図る手続をいいます。

(2)担保権の実行としての競売
 担保権の実行としての競売とは,抵当権などの担保権が有する換価権を行使し,その代金から優先弁済を受ける手続をいいます。

(3)民法等の規定による換価のための競売
 民法等の規定による換価のための競売は,「形式的競売」と呼ばれています。留置権による競売および民法,商法その他の法律の規定による換価のための競売が該当します。

(4)財産開示
 財産開示とは,債務者による財産隠しから債権者の負担を軽くするために,裁判所が債務者に対して財産の開示を命ずる手続をいいます。

2)商法・会社法
 商法・会社法では,学説や判例に関する出題はほとんどありません。条文の知識を直接問う問題が多いので,民法などに比べると暗記の要素が強い科目といえます。

 とはいえ,機械的な暗記に頼った勉強はおすすめできません。なぜ,このような制度が定められているのかということを理解したうえで,個個の知識を押さえるようにしましょう。
 なお,会社法は,法改正が頻繁に行われます。本試験でも,法改正を意識した出題が見られるので,法改正情報に注意してください。

(3)不動産登記法
 この法律では,登記手続に関する技術的な事項が多く出てくるので,最初はなじみにくいでしょう。しかし,民法に次いで出題数の多い科目なので,しっかりとマスターする必要があります。

 不動産登記法をマスターするためには,登記制度の全体像や仕組みを理解することが大切です。なぜ,このような手続が定められているのかということを考えながら,手続構造を理解していくとよいでしょう。
6 科目別攻略法

(1)民法
 民法は出題数が最も多く,受験対策上最も重要な科目です。また,民法の基本的な理解ができていないと,不動産登記法,商法・会社法,供託法などの学習も進みません。

 民法は内容が膨大なので,暗記で対処することは不可能です。暗記していなくても対応できる思考回路を作り出すことが必要です。

 民法の勉強においては,細かいことまでたくさん覚えようとせず,なぜそうなるのかという理由に着目して,納得しながら知識を身につけてください。

 その際は,自分の頭で悩むことが必要です。できるだけ自分が当事者になったつもりで具体的に考えるようにしてください。機械的に丸暗記した知識と,自分の頭で悩んだうえで納得して覚えた知識とでは,記憶の定着度に雲泥の差があります。
 
2)問題集
 テキスト以外の教材として,過去問集はもちろん不可欠です。

 過去問集としては,年度別の問題集(住宅新報社刊『司法書士再現問題集』など)と科目別・項目別に問題の配列を編集したものとがあります。本試験と同じ時間割で問題を解き,本番を疑似体験するためには年度別問題集が必要ですが,日頃の学習においては科目別・項目別問題集のほうが使いやすいでしょう。

 予想問題集は,必要に応じて購入すればよいでしょう。予備校の模擬試験や答練講座を受ける人は,そちらで提供される問題を利用すればよいと思います。

(3)六法
 六法は不可欠です。本試験問題では,判例からの出題も多く見られますから,購入するなら判例付き六法(三省堂刊『模範六法』,有斐閣刊『判例六法』,東京法経学院刊『詳細登記六法』など)がよいでしょう。
5 教材の選び方
(1)テキスト
 テキストとしては,学者が執筆した一般的な基本書と受験指導講師等が執筆した受験用のテキストが存在しますが,受験用のテキストを選ぶことをおすすめします。受験用のテキストは,司法書士試験の受験用に特化して作成されているので,内容が試験問題に直結しているからです。

 私もこれまでさまざまな受験用テキストを執筆してきましたが,執筆の際には,常に過去問を意識して記載内容を考えています。「この部分は過去に数回出題されているから,丁寧に説明しよう」「ここは過去に1回しか出題されていないから,簡単に触れるだけにしよう」などと考えているのです。

 受験用のテキストのうち,どれを選ぶかは,書店で立ち読みをしたうえで,皆さんの好みに従って決定すればよいと思います。テキストとの相性には個人差があるので,「これしかない」と断定することはできないからです。
 

受験NEWS 2

◆申込者数増加へ
 管理業務主任者

 平成21年度管理業務主任者試験の申込者数は前年比4.3%増の2万4,890人(前年2万3,847人)となった。受験者数は4.4%増の2万1,113人(前年2万215人)だった。
合格者数は4,329人(前年4,113人)で,合格率は前年比0.2%増の20.5%だった。

 同資格は2001年に施行された「マンション管理適正化法」により「マンション管理士」とともに国家資格として誕生した。2001年の第1回試験以来,申込者は減り続けていたが,2008年で底をうって増加に転じ,2009年も増加した。今後もマンション管理業界の必須資格として堅調に推移するものと予想される。

◆申込者数2.7%減
 マンション管理士

 平成21年11月29日に実施されたマンション管理士試験の申込者数は前年比2.3%減の2万1,935人(前年2万2,462人)であった。

 受験者数は前年比約1%減の1万9,120人(前年1万9,301人)だった。
 合格者数は前年より222人減って1,444人となった。合格率は前年比1.0%減の7.6%だった。
 合格ラインは50問中34点だった。試験の一部免除者は29点であった。

 4 合格スケジュール

 以上の学習法を前提に,合格スケジュールを考えていきましょう。
 本誌の発売日は3月1日なので,3月中旬から学習を開始することを前提にして,モデル的な学習スケジュールを示しておきます。

3月中旬~7月中旬
 ●民法の攻略
7月中旬~9月中旬
 ●不動産登記法の攻略
9月中旬~11月中旬
 ●商法・会社法の攻略
11月中旬~12月末
 ●商業登記法の攻略
1月上旬~3月上旬
 ●民事訴訟法,民事執行法,民事保全法の攻略
3月上旬~4月中旬
 ●憲法,刑法の攻略

受験NEWS 1

◆7月1日から受付
 10月17日に宅建試験

 平成22年の宅地建物取引主任者資格試験は,インターネットでは7月1日(木)から15日(木)まで,郵送では,同じく7月1日(木)から8月2日(月)まで受付を行う予定。
 試験案内の配布場所などは6月4日(金)から不動産適正取引推進機構のホームページに掲載される。
 試験は10月の第3日曜日である17日の13時から15時まで行われる。ただし,登録講習修了者(5問免除者)は13時10分から15時までとなっている。
 合格発表は12月1日(水)を予定している。

◆今年も減る宅建試験?
 本誌予想

 平成21年の宅建試験の申込者数は前年比7.2%減の24万1,944人だった。受験者数は前年比6.6%減の19万5,515人だった。合格点は33点で,合格率は17.9%であった。

 平成22年の受験者数は不況のあおりをうけて,1割程度減少するものと本誌編集部は予想する。
 宅建試験の受験者数は不動産の景気と連動する傾向にある。具体的には地価が上がるときに受験者は増え,地価が下がるときに受験者が減る。

 今は景気全体が悪化しているが,不動産の取引も停滞気味で,地価は下落を続けている。宅建試験受験者数の減少は必至である。
 代わりに不景気のときは,独立開業ができる司法書士,社会保険労務士,行政書士などの人気が高まる。

 また,公務員試験の人気も高い。逆に景気が上昇局面に入ると宅建試験の人気が高まり,公務員試験の人気は減少することをこれまでも繰り返してきている。

 5  過去問を再度解く
 今回は,テキストを見ずに過去問を解いてください。すでにテキストを2回読んでいるので,テキストを見なくても解ける問題も増えたでしょう。

 しかし,この段階ですんなりと解けた問題は,学習上あまり重要ではありません。結果的に正解はしたけれど,答えに自信がない問題や,間違えた問題をリストアップすることが,この段階での過去問学習の主目的です。

そのような問題については,過去問題集に「×」や「△」などのマークをつけておいてください。
 3 過去問を解く

 テキストを速読したら,直ちに過去問を解きます。この場合,テキストである程度のまとまりのある部分を読んだら,すぐにその部分に関する過去問を解くという方法がよいでしょう。たとえば,テキストで民法の抵当権の部分を読み終わったら,すぐに抵当権に関する過去問を解くのです。

 この段階で過去問を解く際は,どんどんテキストを見てください。問題の答えを導き出すための知識や考え方を,テキストから探し出すのです。

 ただし,答えに直結する結論部分だけでなく,その結論に至る説明の部分もきちんと読むようにしてください。結論をただ丸暗記するだけでは,合格するための実力はつきません。結論に至る理屈や考え方を理解することが大切です。

 過去問を解くためにテキストを精読するという作業によって,自然に問題が求めている部分を中心に勉強することになります。ほとんど出題されない細かい論点に深入りする心配もなく,要領よく重要ポイント押さえることができます。

 なお,過去問の答えを出すために必要な部分には,アンダーラインを引いたり,マーカーで色づけをするなどの作業をしておきましょう。

1 過去問を少し解いてみる
 受験を決意したら,まず本試験の過去問集を入手してください。そして,いきなり問題を解いてみてください。
 もちろん,まったく勉強していないのですから,さっぱり解けないでしょう。それでもいいから,主要な科目について2~3問ずつ解いてみてください。
 最終目標は,これらの問題を解けるようになればよいのです。めざすべき山の頂上のイメージがおぼろげながら見えたはずです。ここではイメージさえつかめれば十分です。

3 合理的な学習法

(1)勉強への取組み方
 次に,勉強への取組み方に関する基本的な考え方を示しておきます。
 考え方の出発点として非常に重要なのですが,これから皆さんが始める勉強は,あくまで試験に合格するために行うのだということを忘れないでください。学者になって学問を究めるための勉強ではありません。あくまで司法書士試験に出題される問題を一定以上の確率で正解できるようにするための勉強なのです。

 したがって,学習をする際には,常に本試験問題を見据える必要があります。具体的には,過去問学習が受験勉強の中心になるということです。過去問学習が勉強の中心だといっても,ひたすら過去問演習ばかりするという意味ではありません。テキストを読む際にも,過去問を意識しなければならないということです。

 その際は,合格時期をいつに設定するかということも大切です。設定時期は,なるべく短期間にすることをおすすめします。本誌の発売予定日は3月1日ですが,3月から勉強を始めたとして,約4カ月後(7月の第一日曜日)に実施される筆記試験に合格することは,さすがに無理でしょう。

しかし,約16カ月の勉強で来年(平成23年)の筆記試験に合格することは可能です。したがって,今,合格時期を設定するのなら,来年の試験での合格を目指すべきです。

 「合格までの学習期間が1年ちょっとというのはかなり短いほうであり,実現は難しい。それならば,現実的な合格時期としては2年後に設定したほうがよいのではないか」などと思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
 確かに,試験には絶対ということはありませんから,来年の合格を目標にしても,そのとおりにならないことはあります。しかし,そうだとしても,まずは来年の合格を目指した勉強をすべきです。

 最初から2年で合格することを目標にしてしまうと,勉強の進行スケジュールがどうしても甘くなります。1年目の勉強が中途半端でも,まだ1年あるのだからかまわないという言い訳をしてしまいます。
  

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