2:22年度試験の傾向
近年と同じ,択一式問題20問,内訳として民法3問,不動産登記法16問,土地家屋調査士法1問。記述式問題2問は内訳として土地1問,建物(非区分建物か区分建物どちらか)1問が出題されるでしょう。
附属書類の保存期間が大きく変わっているので,このあたりは要注意でしょう。また,21年度は電子申請の問題が出題されませんでしたので,ここも要注意でしょう。
(1)択一式問題
1 民法
21年度も同じ傾向でしたが,近年出題される分野は,総則,物権(担保物権を含む),相続から出題されています。債権の分野からは,出題がなされておりません。民法は,すべて勉強することが難しいところです。しかし,この分野を捨てるわけにはいかないので,前記に記載した出題の可能性の高い分野を特に重点的に勉強するとよいかと思われます。
勉強方法ですが,土地家屋調査士の受験のための問題集がまだ市販されていないので(参考書はあります),宅建や行政書士,司法書士の問題集を参考にするとか,受験予備校の答案練習会等の問題を参考にすればよいのではないでしょうか。
3問中,2問は正解したいものです。
1:21年度試験の総括
筆記試験が平成21年8月23日に行われました。21年度は受験者数の減少もなく,昨年とほぼ同人数の受験の出願がありました。
21年度より,今まで行っていた午前の試験(民法,登記の申請手続,土地家屋調査士法)が午後の試験となり,今まで行っていた午後の試験(測量に関する知識及び技能)が午前の試験に変更されました。これは,試験会場の縮小により,試験会場まで行くのに時間がかかる受験生に配慮したのではないかと思われます。
試験内容は,択一式は昨年より同レベルか少し簡単であったと思われます。
記述式問題で,第21問の土地の問題では,内容的には近年よく出題される分筆登記の問題でしたが,座標値を求めるために,平成の初期に出題された「ひらめき」を必要とする問題でした。これを解答できた人は,ほとんどいないように思われます。
第22問の建物の問題は,普通建物(区分建物ではない建物)の新築による表題登記が出題されました。
執筆の時点では,まだ,筆記試験の合格発表がなされておりませんが,合格するためには,20年度の得点(100点満点中73点)より少し下がるくらいの点数が必要になると思われます。
記述式問題は,土地の問題が難しく,建物の問題がやさしかったため,記述式問題のほうでは,上級者であっても初級者であっても,点数に大きな差は出ないように思われます。
結果,択一式問題で,いかに点数を稼ぐかで合否が決まるのではないかと思います。
9 登録免許税
教授「登録免許税は,不動産の価額や債権額等に一定の税率を乗じて算出する『定率課税』と不動産の個数に一定の金額を乗じて算出する『定額課税』の2通りがあるんだ。課税標準は,1 不動産の価額,2 債権金額,3 抵当権の件数によるもの,4 不動産の個数によるものがある(登録免許税法別表参照)。
そこで解答例を見てみよう。『所有権登記名義人住所変更』『抵当権抹消』は不動産の個数が課税標準の金額となる(登免税法別表第一・一・(十四),(十五))。『所有権保存』『所有権移転』は不動産の価額,『抵当権設定』は債権金額が課税標準となるね(登免税法別表第一・一・(一),(二)ハ,(五))」
司法「このうち,所有権保存,所有権移転および抵当権設定は,不動産の価額や債権金額が課税標準とされていることから,その金額を申請情報に記載しなければなりませんね(不登規則189条1項)」
4 登記原因証明情報とは
教授「次に,登記原因証明情報について説明しよう」
司法「権利に関する登記を申請する場合には,申請人は,法令に別段の定めがある場合を除き,その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならないと規定されていますね(不登法61条)」
教授「登記原因証明情報とは,登記すべき物権変動の原因である法律行為または法律事実の成立を証する情報のことなんだ。
たとえば,売買を原因とする所有権移転の登記申請の場合は売買契約書や売買代金の領収書等が,抵当権設定の登記申請の場合には抵当権設定契約書がこれに該当する。
これらの登記原因証明情報を申請情報と併せて提供させる理由は,登記官をして申請に係る登記について,その原因が成立していることを形式的に審査させ,真実に反する登記申請がされることを防止することにある,とされているからなんだ」
4 共同申請とは
司法「そうすると,建物の登記記録の甲区2番所有権移転登記は甲野太郎と乙野次郎,乙野三郎が共同して申請したということですね」