1.初めに
司法書士試験は,毎年7月の第1週の筆記試験と,その筆記試験をパスした人が行う口述試験の2回に分かれています。ただ,筆記試験合格者のほぼ全員が口述試験に合格しますので,筆記試験が司法書士試験の本体といえます。
そこで,今回はこの筆記試験にスポットを当てて,形式・出題傾向・そして学習法を記していきたいと思っています。
筆記試験では,5肢択一形式で70問(午前と午後に各35問),記述形式で2問が出題されます。そして,出題科目は憲法,民法等すべて合わせて11科目に及び,他の資格試験に比べてかなり広いものとなっています。
そして,午前と午後の択一式問題および記述式問題に,それぞれ基準点と呼ばれる「足切り点」が設定され,1つでも基準に達しないものがあれば,合計得点にかかわらず不合格とされてしまうということも難しさの要因です。
いわゆる捨て科目を作れないのです。ただ,出題される問題の大半は条文および重要論点の理解を問うものです。枝葉末節な細かすぎる問題は近年では影を潜めています。
そして,この試験はいわゆる「暗記型」に属します。大学受験の科目にたとえれば「覚えれば点数になるけれど覚えるのが大変な『歴史』」か,「覚える量はたいしたことはないが,試験の現場でのひらめき・応用力が問われる『数学』」か,といわれれば『歴史』の試験に近いものです。
その意味では,司法書士試験は,日々の学習の成果・暗記作業が直接反映される試験といえるでしょう。
5肢択一問題だけに的を絞ると,こちらは1問3点,問題数は午前試験,午後試験合わせて70問で本試験全体の8割を占める最重要ポイントです。
しかし,このなかには11もの試験科目が含まれ,科目ごとの出題数も異なります。そのうえ1つの科目の中でも出題されやすい分野,そうでない分野があるので,短期合格するには,試験傾向に合わせたメリハリが重要になってきます。
ここではまず,大きく午前試験・午後試験と分け,そのなかで,さらに科目ごとに短期合格のための学習法を伝授します。
2.午前試験科目・憲法
(1)試験傾向
出題数は3問です。そして,人権分野から1問ないし2問,統治分野から1問ないし2問出題されます。
学問分野は膨大ですが,出題される分野・出題されない分野がはっきりしています。たとえば,憲法の歴史・明治憲法・地方自治・憲法保障については一度も出題されていません。
一方,近年は統治分野が2題出題されるようになってきています。1問は条文判例を聞く知識問題,1問は学説の対立を問ういわゆる推論問題となっています。そして,人権分野の問題も近年は1問で推論問題を聞くのが主流です。
(2)学習法
①人権分野
まずは,司法書士試験だけに特化したテキストを手に入れましょう。他の試験のものでは,司法書士試験の傾向とは外れてしまう恐れがあります。そのうえで,判例を中心に覚える・理解する学習をすることをお勧めします。
この理解が重要です。理解する過程で,「なぜだろう」「こうでもいいのでは」と疑問をもつことも多いと思います。学説問題は,まさにそういった部分をついてくるのです。
②統治分野
知識問題が1問出題されるため,条文の読み込みは必須となります。そのうえで,その条文の意味を理解しながら,人権と同じように考えて勉強していきましょう。単純な暗記を続けていても学説問題には手も足も出ません。
③問題演習
司法書士試験では過去問での演習が効果的ですが,こと憲法についてはこれは難しいです。というのは,憲法は平成15年になってからの出題であるため,6年分(18問)しか問題がないからです。
司法書士試験の傾向に近いのは,公務員試験(地方上級)です。過去問を押さえたら,こちらの問題集を手に入れて解くことをお勧めします。

