3.午前試験科目・民法
(1)はじめに
民法は民事の法律の基本となる重要なもので,司法書士試験の試験範囲に属する法律のうち,憲法,刑法,司法書士法以外のすべての法律は民法を前提としています。実際,皆さんが司法書士として実務に就いた後,法律家として駆使する頻度が最も高いのが,この民法です。
出題数は21問と司法書士試験の中で最も多く,午前の択一試験での出題の6割を占めることから,民法での高得点が午前科目での基準点をクリアする前提条件となっています。
(2)出題傾向
①総則
4問の出題です。そのなかでも意思表示・代理・時効については,毎年といっていいほど出題される部分です。
②物権法
9問の出題です。司法書士業務と特にかかわりが深いため,民法の中でも,最も多く出題されます。そのなかでも,物権変動・177条・所有権・抵当権は毎年といっていいほど出題される部分です。
③債権法
4問の出題です。学問分野は非常に多岐にわたりますが,4問しか出ないことを考えると,あまり時間をかけていいものではありません。
過去の本試験で出題されたことがある分野をピックアップして,その分野についてテキスト
を読むといった逆算式の学習が効果的でしょう。
④親族・相続法
4問の出題です。親族法から2問・相続法から2問といった割り振りです。
親族に関しては,ほぼ全分野から出題されるといってよく,一方,相続法については多少メリハリをつける必要はありますが,全般的に出題されるといってよいでしょう。
(2)学習法
一言でいえば,制度趣旨(なぜ,こういった制度が必要なのか)から,きちんと押さえながら学習することです。
近年の司法書士試験の傾向は,難しい理論・学説,細かい条文・判例を数多く知っているか否かを聞く問題は影を潜めています。それよりも,ある条文についてのきちんとした制度趣旨を押さえ,そこから導かれる要件および効果を把握しているかどうかについて試すような問題が多く見受けられます。
短期合格のためには,まず根本たる制度趣旨をしっかり押さえることが重要です。実は,これをしっかりやっておけば,本試験の場で思考力を試されるような問題,いわゆる推論型の問題も,意外と簡単に解けたりします。1つ1つの制度について,制度趣旨・要件・効果を押さえながら学習していきましょう。
また,単に条文の知識だけを追いかけるのも禁物です。民法の出題のほとんどは,事例を設定されて,それを解決する能力が問われます。
つまり,条文を知っているだけでは足りず,それを事例に当てはめることができるか,ということまでできなければなりません。そのためには,実際の問題を解くのが一番です。過去問の演習を繰り返して,事例を解決できる能力を培いましょう。
4.午前試験科目・商法
受験案内では科目名が商法となっていますが,実際には会社法という法律が出題の中心です。この法律を公示するのが商業登記法です。そのため,この科目を苦手にすることは,商業登記法も苦手にすることを意味しますので,しっかりとした学習をする必要があります。
(1)出題傾向
会社法は平成18年に施行された,まだ新しい法律です。そのため,会社法での判例が少ないせいか,20年度試験までは条文自体の理解を問う問題が大半を占めています。そして,民法と異なり事例問題が少ないため,条文を知っているかどうかで勝負がつく問題が多いです。
しかし,その条文数は多く,979条に及び,しかも満遍なく出題されます。そのなかでも「設立」「募集株式の発行」「組織再編」「持分会社」「特例有限会社」については,毎年出題されます。
また,制度を比較する問題も多く出されます。募集設立と発起設立を比較させたり,監査役の権限に応じた比較をさせる問題も出題されています。
(2)学習法
条文での出題が中心なので,条文の内容を正確に理解して記憶することが重要となります。しかし,会社法は条文の数が多く,条文自体難解なものも少なくありませんので,やみくもに条文を読み込むのではなく,ポイントを押さえた効率的な学習を心がける必要があります。
また,比較させる問題も多く出題されるので,常日ごろから,「この制度,株主総会だったらどうだったのかな」と比較する観点で学習する必要もあります。
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