1.司法書士試験を知る
まず最初に,司法書士試験とはどのような試験なのか,について紹介させていただきます。司法書士試験の概要を知ったうえで,自分に合った無理のない学習計画を立てましょう。
(1)試験の概観
司法書士試験は,1年に1回行われる国家試験です。この試験の受験資格には制限がなく,年齢,性別,学歴等に関係なく,だれでも受験することができます。近年は,出願者数・合格者数ともに増加傾向にあります。
平成20年度の司法書士試験においては,その合格者数931名のうち240名(25.8%)が女性であり,また,平均年齢こそ31.94歳でしたが,その最低年齢は20歳から最高年齢は70歳まで実に幅の広い年齢層での合格者が出ました。
この年齢の公表は平成20年11月4日時点のものですが,最低年齢20歳の合格者の生年が昭和63年でしたから,平成21年度の司法書士試験では,いよいよ平成生まれの合格者が登場しそうです。
他方,司法書士試験の合格率は,過去5年間を見ても,約3%を推移しており,数ある国家試験の中でも依然として難関の部類に属するといえます。とはいうものの,数字ほど難しい試験ではありません。
司法書士試験において本来必要とされる受験期間は,適切な勉強をすれば,1年から2年です。このことは,過去の合格者が実証しています。
(過去5年間の試験データ)
年 度 合格率 (B/A) 出願者数 (A) 合格者数 (B)
16年度 2.9% 29,958名 865名
17年度 2.8% 31,061名 883名
18年度 2.8% 31,878名 914名
19年度 2.8% 32,469名 919名
20年度 2.8% 33,007名 931名
(2)試験の実施日程
司法書士試験の実施方法については,その年の4月上旬の官報において公告され,法務省のホームページなどでも公表されます。
例年7月の第1日曜日に筆記試験が実施され,筆記試験合格者を対象とする口述試験が10月中旬に実施されます。
(例年の実施日程)
4~5月 〔受験案内の配布期間〕 4月上旬~5月中旬
5月 〔受験申請受付期間〕 5月上旬~5月中旬
7月 〔筆記試験の期日〕 7月第1日曜日
9月 〔筆記試験の結果発表〕 9月下旬~10月上旬
10月 〔口述試験の期日〕 10月中旬
10~11月 〔最終合格者の発表〕 10月下旬~11月上旬
(3)試験の内容
司法書士試験は,全11科目あります。具体的な試験の内容は,①憲法,民法,商法(会社法その他の商法分野に関する法令を含む)および刑法に関する知識,②不動産登記および商業(法人)登記に関する知識(登記申請書の作成に関するものを含む),③供託並びに民事訴訟,民事執行および民事保全に関する知識,④その他司法書士法第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行うのに必要な知識および能力となっています。
大別すると,出題数の多い主要4科目(民法,不動産登記法,商法,商業登記法)と,その他のマイナー科目に分けることができます。
マイナー科目は各科目からの出題数が少ないので,そう呼ばれていますが,マイナー科目も合計すると択一式の出題数の25%前後を占めますので,決して軽視することはできません。
筆記試験の時間割は以下のとおりです。択一式は,1問3点で計算されます。記述式は,不動産登記法・商業登記法から1問ずつ出題があり,1問26点満点で計算されます。
(筆記試験の時間割)
時 間 出題形式 出題数 配点
午前の部 9:30~11:30 5肢択一式 35問 105点
午後の部 13:00~16:00 5肢択一式 35問 105点
記述式 2問 52点
合 計 262点
なお,口述試験の内容は,筆記試験の内容と同じ範囲ですが,特別難しいことが問われるわけではなく,具体的な面接の練習は,筆記試験に合格してからで十分です。
(4)合格基準点
司法書士試験は,他の国家試験と比べ,択一式の足切り点(この点数以上取らないと,総合点が合格点を上回っても不合格となる基準点)がとても高いという特徴があります。
そして,記述式は,択一式の足切り点を上回った者だけが採点してもらうことができます。
(合格点と足切り点)
年度 足切り点(基準点) 合格点
択一式 記述式
午前 午後
16年度 足切り点(基準点) 択一式午前 78点択一式午後 72点 記述式31.5点 合格点197.0点
17年度 足切り点(基準点)択一式午前 87点 択一式午後78点 記述式25.5点 合格点203.5点
18年度 足切り点(基準点)択一式午前 81点択一式午後 75点 記述式31.5点 合格点202.5点
19年度 足切り点(基準点)択一式午前 84点択一式午後 84点 記述式30.0点 合格点211.5点
20年度 足切り点(基準点)択一式午前 84点 択一式午後78点 記述式19.5点 合格点189.5点
ここで注意していただきたいのが,司法書士試験は,択一式と記述式の足切り点をクリアしただけでは合格できないということです。
つまり,試験に合格するためには,さらに+αの得点を獲得する必要が出てくるわけですが,択一式の得点不足を記述式で補うことは,たいへん困難です。
司法書士試験は,択一式における得点の獲得が合格の鍵を握っているといっても過言ではありません。まず筆記試験の択一式問題に的を絞って,いかに効率よく勉強するかがポイントになってきます。

