国家試験合格スケジュール「司法書士」5 安部一郎

10.午後試験科目・商業登記法
(1)試験傾向
 8問の出題です。先述のように会社法と商業登記法は非常に密接なので,会社法の知識がしっかりしていると,こちらの学習は比較的楽にすすめられます。
 出題傾向としては「設立」「役員変更」「募集株式の発行」については,ほぼ毎年といっていいほど出題されます。
 そして,この科目の特徴的なことは「ひっかけ問題が多い」ということです。午後の択一試験の最後ということで受験生があせっていることを察知してか,かなりきわどいひっかけ問題が出されます。ただ,ひっかけのパターンはそう多くはないので,パターンを押さえておけば問題はありません。


(2)学習法
 まず,使用する教材にはご注意ください。この科目は会社法の制定に大きな影響を受け,現在でも最新の実務見解が出されています。少し古めの教材を使用するときは改正に伴い,すでに存在しない手続まで学習してしまいかねません。できるだけ最新の教材で学習するようにしましょう。

 そして,この科目を勉強するときは,常に会社法を意識しながら学習してください。簡単にいえば,会社法のテキストを横に置き,参照しながら学習することです。

会社法の手続を書面化していくのが商業登記法なので,会社法の知識は必須です。また,このような学習をしておけば,会社法と商業登記法の学習をセットで行えますので,学習効率としてもよいでしょう。

次に必ず過去問を参照することです。先述のとおり,この科目の択一問題はひっかけが多いので,どういったパターンがあるのかを問題を解きながら実感していってください。

 そして,最終的には,この科目もこつこつと時間をかけて正確な知識を積み上げていくことが中心になります。逆に時間をかけた分だけ得点が伸びますので頑張り甲斐があります。


11.午後試験科目・記述式問題
 不動産登記法と商業登記法には,記述式問題がついてきます。具体的には1問目から35問目までが択一問題で,36問目に不動産登記法の記述式問題,37問目には商業登記法の記述式問題が出されます。

 記述式問題とは,与えられた事実関係や書類の記載から登記すべき事項を判断し,指定された登記申請書の記載事項を解答欄に記入するという形式の問題です。


(1)出題傾向
①不動産登記法
 相続が絡む事件,根抵当権全般について繰り返し出題がされています。そして,単に1件の申請ではなく,2件以上の申請になるような事件が主流です。
 また,登記ができるのかどうか,という可否の判断を論述式で解答を要求してきたり,訴状の記載内容の解答を要求してくることもあり,さまざまな対応を求められます。また,記載する分量が多いのも近年の特徴です。

②商業登記法
 募集株式発行,役員変更は毎年といっていいほど問題の中に絡めてきます。そのうえで,択一で聞かれそうな論点について申請書の記載を要求します。
 問題の形式は,登記の申請書を書かせるパートと,登記できない事項についての理由を書かせるパートに分かれ,この形式はあまり変動がありません。


(2)学習法
 登記の可否の判断に必要な知識は,ほぼ択一の学習で対応することができますが,申請書の作成という面での記述式問題固有の課題への備えは欠かせません。

 具体的には申請書に記載する定型的な文言などの習得ですが,これらはすべて自分の手で解答欄に記入することになるため,普段の学習から申請書を自分の手で書くといった練習が必要になります。そのうえで,数多くの問題にチャレンジしましょう。1つの問題をじっくり解くより,数多くの問題を解いたほうが面白いですし,学習の効率もいいです。


12.最後に
 簡単ではありますが,以上が司法書士試験の傾向と学習法です。この試験の特徴を簡単にいえば,①過去問の知識が絶対不可欠,②正確な暗記が必要,この2点に絞られます。
 地道な勉強となりますが,最後まで頑張りぬいてください。