1.20年度試験の総括
筆記試験が平成20年8月24日,口述試験が11月10日に行われ,12月2日に最終合格者の発表がありました。択一式は50点満点中35点,記述式は50点満点中31点にそれぞれ達しない場合には,それだけで不合格でした。
ただし,合格するには,合計点で73点に達していなければなりません。いわゆる択一,記述式の足切りをクリア(66点)するだけでは合格とならないのです。
合格するには,75%の解答をすることができるだけの能力が必要でした。19年度の試験と比べると,合格点が約5点下がっていますが,これは,記述式問題で区分建物が出題されたためであると思われます。
合格者の人数も19年度より15人少ない488名でした。これは受験者数の減少に伴い,合格者数を減らしたためであると思われます。
近年,土地家屋調査士の受験人数が減少し続けているので,21年度も受験者数が減少し,合格者数も減少する可能性があります。
(1)択一式問題
例年と同様,民法が3問,不動産登記法が16問,土地家屋調査士法が1問出題されました。
出題形式として,正誤形式(正しいもの,または誤っているものを1つだけ選ぶ形式)が1問,個数形式(正しいもの,または誤っているものの個数を選ぶ形式)が1問,組合せ形式(正しいもの,または誤っているものの組合せを選ぶ形式)が18問出題されました。
組合せ形式の問題が多く出題されていたため,比較的答えを見つけることが容易であったと思われますが,今年の特徴として,5つの肢の中で1つだけ答えを見つけても,組合せの答えとして見つけるためには,その他の肢の答えも導けなければ,組合せの答えが出なかったように思われます。
ですから,一見,択一式に関しては簡単そうに思えるのですが,上記のことがありましたので,合格者の方でも18問以上の正解者は少なかったと思われ,15問から17問の正解者が多かったと思われます。
20年度に関してですが,第19問が法務省の出題ミスとして,全員正解となりました。このことにより,解答速報では誤りとして1問少なく見積もっていた人は,1問多く正解したことによって,合格した人もいたようです。
①民法
出題されたのは,総則,物権(担保物権を含む)から3問で,予想どおりの結果であったと思われます。相続からは択一ではなく,記述式に組み込まれて出題されていました。
近年の傾向では,総則,物権(担保物権を含む),相続からの出題が多く,20年度も同じ傾向でした。
また,出題された3問ともが,組合せ形式の出題であったため,5つの肢全部が分からなくても答えを導くことができたようです。よって合格者の多数は3問中,2問は正解できた人が多かったようです。
20年度も19年度と同様,土地家屋調査士に必要な民法だけを勉強している人には,少し厳しいレベルの問題であったと思われます。
②不動産登記法
例年どおり,16問が出題されました。基本事項を問うている問題が大半でしたが,問い方を変えているため,基本事項を明確に理解していないと騙される問題がいくつかありました。
新たに,「一部地目変更,分合筆の登記が一の申請情報で申請ができる」という問題が出題されました。
規則35条7号で変更,更正の登記と分筆,合筆の登記がどの程度までできるかが受験生の間の疑問でしたが,20年度の本試験で出題されて「一部地目変更,分合筆の登記が一の申請情報で申請ができる」ことがはっきりしました。これは次年度以降に受験される方には,よい出題であったと思われます。
20年度受験生にとっては,この問題はどうかと受験した方に問いかけたところ,上記はクエスチョンとしたが,組合せ形式の問題だったので,その他の選択肢より答えが導けたので,特に難しくはなかったようでした。
次に電子申請に関する問題,書面申請に関する問題が各1問出題されました。電子申請の場合,図面をどのような方法で送信するかが問題ですが,スキャナーで読み込み送信するのではなく,図面自体をデータで送信する方法となっています。
実務をしている方ならご存じなのですが,土地家屋調査士の受験のための本にはあまり記載されていないので,実務をされていない方には難しい問題であったかもしれません。
筆界特定制度の問題が1問出題されていましたが,この問題も基本的なことを問うているだけですので,基本事項をしっかりと勉強した受験生にとっては,難しい問題ではなかったと思われます
例年,地目認定か建物認定の問題が出題されますが,今年度は,建物認定から1問出題されました。
③土地家屋調査士法
20年度も1問出題されました。近年の土地家屋調査士法の問題は,容易な問題とはいえない問題が出題されています。今年も,容易な問題ではありませんでした。
しかし,この問題も組合せ形式の出題でしたので,自分の持っている知識をフルに活用して,何とか正解してほしいところです。

