国家試験合格スケジュール「司法書士」3 鈴木宏美

3.合格スケジュール
 人それぞれ置かれた環境が違います。自分自身の現状をしっかり把握して,学習計画を検討するようにしましょう。

(1)1年合格スケジュール
 1年合格スケジュールとは,文字どおり,1年で司法書士試験に合格するために必要な学習計画として設計しています。短期間に消化しなければならない知識量が膨大ですから,法律に慣れていない初学者の方はもちろんのこと,法学部出身の方も,当初より計画的に勉強していく必要があります。1年で司法書士試験に合格するためには,多くの時間を受験に費やす覚悟と合格への強い信念がなければなりません。

(1年合格スケジュールの指針)
平成21年4月~22年3月
 ●主要4科目のインプット  (平成21年4月~22年1月)  ●マイナー科目のインプット  (平成21年6月~22年3月)  ●記述式の基本問題の演習  (平成22年1月~)
平成22年4月~6月
 ●模試・答練の活用(アウトプット)  ●記述式の基本問題の反復・応用問題の演習  ●知識の定着・最終確認
平成22年7月【平成22年度司法書士試験】

 ●スケジュールの立て方
 スケジュールを立てる際の注意点としては,予定を変更しないで済むように,ある程度余裕を持たせることです。

初期のスケジュールは,月ごとの大まかなもので構いません。もし,勉強が進まず予定を変更せざるを得なくなった場合には,当初予定していた学習内容を減らしてください。先送りは禁物です。

 また,試験の直前期(試験の約3か月前)からは,1~2週間という短期間に全科目を一通り復習できる,具体的なスケジュールを立てましょう。 

●基礎知識のインプット
 どの科目から学習を始めても構いませんが,通常は主要4科目である民法・不動産登記法・商法・商業登記法,続いてマイナー科目と手を広げていくとスムーズだと思います。

 インプットを行うにあたっては,まず短期間で見渡せる教材を選定し,そこに情報を集約することから始めましょう。情報を集約すれば,インプットを効率的に行うことができます。

基本書にまとめる人もいれば,条文・過去問にまとめる人,サブノートを作ってまとめる人もいます。何をメーンとして情報を集約化するかは人それぞれで自由ですから,自分に合ったものを選んでください。

 インプットの具体的な方法はシンプルです。情報を集約化した教材を何度も何度も繰り返し読むことです。しつこいようですが,その際には条文を丹念に読み込むことも忘れないでください。何度も何度も繰り返しているうちに,だんだん読む速度が速くなり,インプットにあてる時間が短縮されてくるはずです。

同じことを繰り返すことは面白いことではありません。しかし,自分の記憶の限界を把握して,忘れてしまう前に繰り返すことによってのみ知識は定着していきます。何度読んでいても,ふと忘れている事項がある以上,その都度きちんと確認して知識の定着を徹底することが大切です。

 ●過去問を解く時期
 基礎知識のインプットと並行して司法書士試験の過去問にも手をつけ始めてください。教材を読むだけでは,どれが試験に重要なのか,そうでないのかを判断することが困難です。

そのため,早めに過去問に手をつけることが大切なのです。過去問には年度別のものと分野別のものがありますが,試験の直前期までは分野別のものを選んで活用しましょう。

 初めて解く問題には長い時間をかけて構いません。関連する条文をすべて調べて読むようにしましょう。勉強を進めるにつれ,条文の素読がいかに重要かよく分かります。面倒くさがらずに条文を調べてください。そして,過去問についても繰り返し解くことを心がけてください。

 ●マイナー科目とのつき合い方
 マイナー科目の学習に入る頃は,主要4科目の学習で目いっぱいの状態になっていると思います。しかし,マイナー科目で失点しすぎては合格できません。短時間で構いませんから,主要4科目の学習に織り交ぜて,毎日欠かさず触れるようにしましょう。

 ●記述式の対策
 記述式については,試験の約6か月前から,不動産登記法と商業登記法の基本的な問題を毎日,各1問ずつ解くように心がけましょう。

 最近の司法書士試験の記述式は,不動産登記法・商業登記法ともに問題文・解答の分量が多く,実務を意識した論点からの出題が目立ちます。試験当日の緊張と時間的制約から完璧に解くことは至難の業です。完璧は目指さないように注意しましょう。

 記述式の問題は,実際に書いて練習することがとても大切です。午後の部の択一式試験とのバランスも考え,本誌のような受験情報誌や予備校などを上手に活用して良問を解き,ペース配分を訓練していただきたいと思います。

 なお,記述式の過去問については,択一式の過去問ほどの重要性はありませんので,十分な力が身につくまでチャレンジしなくても構いません。

 ●直前期
 司法書士試験の約3か月前,いわゆる直前期と呼ばれる頃には,全科目のインプットを一通り終わらせ,アウトプットと知識の定着・最終確認を行う段階となります。

 アウトプットの具体的な方法は,過去問を解くほか,司法書士試験と同じ形式で問題演習ができる模試などを受けて,実戦感覚を養うことです。知識の習得を完璧にしても,問題を解く力がなければ合格することはできません。

問題演習を通して,試験本番で今までと異なる出題形式が出ても対応できる応用力を身につけましょう。模試などを受けた際には,成績結果はあまり気にしないでください。模試は,時間配分や問題を解く順番を検討できる,有効な方法の1つであるととらえてください。

 直前期にアウトプットを十分にこなせれば,いくらでも遅れを取り戻せます。合格するか否かは,この直前期の過ごし方で決まります。司法書士試験の当日の決まった時間に実力をすべて発揮できるように調整するのが直前期です。

 なお,直前期は,皆さんにとっての追い込みの時期ではありますが,あまり勉強時間を増やしすぎて自分のペースを乱さないように注意しましょう。そして,今まで以上に体調管理に気を配るようにしてください。


(2)2年合格スケジュール
 1年合格スケジュールと比較して,ゆったりとしたペースですから,社会人に限らず,忙しい方にも無理なく受験準備ができるのではないでしょうか。ただし,2年合格スケジュールとはいっても,その礎は1年目の学習によって築かれていくものですので,学習方法は1年合格スケジュールのそれと変わりはありません。

(2年合格スケジュールの指針)
平成21年4月~22年12月
 ●主要4科目のインプット  (平成21年4月~22年4月)  ●マイナー科目のインプット  (平成22年5月~12月)
平成23年1月~6月
 ●模試・答練の活用(アウトプット)  ●記述式の基本問題の反復・応用問題の演習  ●知識の定着・最終確認
平成23年7月【平成23年度司法書士試験】

 補足しておきますと,2年合格スケジュールにおいては,平成22年内には,全科目のインプットを一通り終わらせておくとよいでしょう。

 平成23年の年明けからは,インプットを反復継続して行うほか,予備校などの答練や模試などを利用して解答力を養成していきましょう。

司法書士試験においては,知識をさまざまな角度から問う問題が多く出題されています。応用力・思考力を問われる問題は,知識をインプットしただけの勉強では対応できませんので,アウトプットすることは非常に大切です。

4.最後に
 学習方法は,やはり人それぞれです。常々この方法でいいのか,その都度修正して自分にいちばん合った方法を確立していってください。

 合格者は,相当のエネルギーを司法書士試験の合格のために費やしています。合格への強い信念を持ち,勉強を始めた当初の目的を見失わないでください。そして,1日1日を大切に,悔いだけは残さないように頑張ってください。皆さまの合格を心からお祈りしております。