2.21年度試験の傾向
近年と同じ,択一式問題20問。内訳として民法3問,不動産登記法16問,土地家屋調査士法1問。記述式問題2問。内訳として土地1問,建物(非区分建物か区分建物どちらか)1問が出題されるでしょう。
附属書類の保存期間が大きく変わっているので,このあたりは要注意でしょう。
(1)択一式問題
①民法
民法は,すべて勉強することが難しいところです。しかし,この分野を捨てるわけにはいかないのです。民法の出題傾向は,総則,物権(担保物権も含む),相続の中から出題されていますので,このあたりはしっかりと勉強して,3問中2問は正解したいものです。宅建や行政書士,司法書士の参考書や問題集を参考にするとか,受験予備校の答案練習会等の問題を参考にすればよいでしょう。
②不動産登記法
16問中13問は正解したいところです。近年,筆界特定の問題が出題されていますので,21年度も1問は出題されると思われます。この分野についても勉強しておかなければならないでしょう。あとは基本事項を確実に覚えることでしょう。
③土地家屋調査士法
ここも,1問は必ず出題されるところです。基本事項をしっかりと覚えましょう。
特に調査士法人はよく出題されています。個人の調査士と調査士法人では,扱いが違いますので注意をしてください。
たとえば,個人の調査士で,懲戒処分でいちばん重い処分は業務の禁止ですが,調査士法人では解散になります。また,調査士法人の社員についての扱いも決められています。調査士法の中では難しい分野ですが,しっかりと理解してほしいところです。
(2)記述式問題
土地は当然1問出題されるでしょう。建物が非区分建物か区分建物か,どちらが出題されるか? 難しいところです。過去に区分建物が2年連続で出題されたことがあります。
よく,受験生の方に「今年は非区分建物の問題ですか,区分建物の問題が本試験に出題されますか?」と聞かれることがありますが,どちらが出題されても,正解できるようにしておくべきだと思います。なぜなら,記述式問題はたった2問しか出題されず,2問中1問ができなければ,絶対に合格はあり得ないからです。
また,記述式問題で出題されなくても,択一式問題では必ず出題されます。記述式問題が正解できるくらいの力を身につけておけば,択一式問題は容易に正解できるからです。
①土地
皆さんがいちばん気にかかるところが,誤差の調整問題が21年度も出題されるかでしょう。出題されるなら,また「コンパス法」か,それとも違うやり方(均等法,トランシット法)なのかでしょう。おそらく,誤差の調整問題が出題されるならコンパス法が,もう一度出題されると思います。
21年度は,誤差の調整問題が出題されるでしょうか? 過去に誤差の調整問題が出題されたときは閉合調整,結合調整と2年続けて出題されました。このときは,誤差の調整の仕方は,2年とも「均等法」でした。このことを考慮すると,21年度も誤差の調整問題が出題されてもおかしくはないでしょう。
また,誤差の調整の仕方も「コンパス法」の出題の可能性が大でしょう。前述で私の予想で20年度か21年度に誤差の調整問題で「コンパス法」が出題される可能性があると記載した理由として,土地の問題は,近年,実務的な問題が出題されることが多く,実務でも,コンパス法を使用して基準点測量を行うようになったからです。
私の気になる点があります。それは,計算量がもっと増えるような問題が出ないかです。ここ2~3年,受験生の間では関数電卓の裏技的な機能(複素数)を使用して,計算のスピードが速くなってきているからです。
複素数機能を使用すると確かに,計算のスピードが上がり,計算ミスもかなり減ると思われます。複素数機能を使用する受験生の数が増加しているので,特に19年度の問題量では少ないように思われます。
それと,地積更正・分筆登記(地積更正と分筆登記を1つの申請情報で申請する方法)が,そろそろ出題されてもおかしくはないでしょう。これは,申請書の記載の仕方が,新たに追加されただけですので,申請書の記載の仕方を覚えてさえいれば,難しい問題ではないでしょう。
当然,基本的な解き方(距離と方向角,交点計算,内分など)は出題されるでしょうから,計算間違えなどをしないようにしてください。
20年度は,民法の相続を組み込ませたので,土地の問題では論述が出題されませんでしたが,土地か建物の問題で,例年出題される部分ですので,論述問題にも対応ができるようにしておくべきでしょう。
②建物
非区分建物か,区分建物のどちらが出題されるかが大きな関心を寄せるところです。前述しましたが,ここはヤマを張るべきところではないので,どちらが出題されても正解できるようにしておかなければなりません。
非区分建物の問題なら,かなり複雑な変更・更正登記の問題か,あまり本試験に出題されたことのない合体等の登記や分割,合併といった問題が出題されると思います。
また,区分建物の問題が出題されるなら,あまり複雑ではない,表題登記や変更登記が出題されると思います。
土地の問題は,解いたことのない問題や,ひらめきを要求する問題が出題されたときは,手も足もでないことがあります。このようなときは合格最低点も下がってくるので,多少できなくても合格する可能性は大です。
建物については,土地と異なり,しっかりと勉強していれば,時間がかかるか,かからないかだけで解くことが不可能ということはありません。ですから,建物は25点満点中,最低でも20点は取っておきたいところです。
20点を取ろうと思えば,少しのケアレスミスも許されないことになってしまいます。図面の書き間違えや床面積の計算ミス,これらのどちらかをしてしまえば,建物は点数がなくなってしまいます。ケアレスミスをできるだけ少なくし,図面の記載ミス,計算ミスには十分に注意をしなければなりません。
普段の勉強のときから,上記のミスのない勉強方法を見つけて(検算をするなど),トレーニングを積んでください。
3.全体の流れ
試験時間は,出題の難易度によって時間的に余裕がないときもあります。20年度は,記述式問題で計算量が多かったため,時間に余裕がなかったようでした。
21年度も択一式が難しくなり,時間がかかるか,記述式問題の計算量が増えるかなどで時間的に余裕のない問題が出題される可能性が大いにあると思われます。

