「司法書士直前対策」民事訴訟法関連 予想問題と解説3 安部一郎

第3問
 証人尋問に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。

ア 裁判所は,弁論準備手続において,その尋問をすることができる。

イ 簡易裁判所の事件においては,裁判所は,相当と認めるときは,その尋問に代え,書面の提出をさせることができる。

ウ 証人が正当な理由なく出頭しない場合には,裁判所はその勾引を命ずることができる。

エ 裁判所は,当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において,その前にその尋問をした者について,尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは,その尋問をしなければならない。

オ 裁判所は,職権により,その尋問をすることができる。

1 アオ  2 アエ  3 イエ
4 イオ  5 ウオ

解答・解説
 証拠に関する分野は,毎年といっていいほど出題されている。証拠調べの中でも出題実績が高いのは書証と本問の証人尋問である。

ア 誤り。証人尋問は一般公開法廷での取調べが要求されるものであるが,弁論準備手続は一般公開の保証のない手続である。そのため,弁論準備手続においては,証人尋問をすることはできない。

イ 正しい。簡易裁判所の事件においては,裁判所は,相当と認めるときは,証人および当事者尋問に代え,書面の提出をさせることができる(民事訴訟法278条)。尋問事項等の内容からみて尋問に代わる書面の提出によって信用するに足りる正確な陳述を得られると判断できるのであれば,少額軽微な事件の審理のためにも,時間も費用もかかる出頭をして尋問する必要はないからである。

ウ 正しい。証人は不代替的な存在であるから,正当な理由なくして出頭しないときは,裁判所は,実力で証人を出頭すべき場所に引致するため,勾引を命ずることができる(194条1項)。

エ 正しい。裁判所は,当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において,その前に尋問をした証人について,尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは,その尋問をしなければならない(152条2項)。証人尋問に立ち会う機会のなかった者に機会を与えるためである。

オ 誤り。弁論主義のもとでは,判決の基礎となる事実の確定に必要な証拠の提出は当事者の権能かつ責任とされている。したがって,証人尋問は,当事者の申出に基づいて開始される(民訴規106条)。

 以上により,誤っているものはアとオであるから,1が正解。