司法書士・調査士記述式対策 不動産登記記述式入門10 田中利和

 申請情報の作成


1 申請情報の内容
教授「一般的な登記の申請に必要な申請情報の作成について勉強していこう。申請情報の作成に関する総論的なものになるね。解答用紙に記載された申請情報も参考にしながら説明していこう」


司法「はい,分かりました」

教授「登記の申請は,電子情報処理組織または申請情報を記載した書面を提供等する方法により,不動産を識別す るために必要な事項,申請人の氏名または名称,登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報を登記所に提供してしなければならないと いうことだったね(不登法18条)」

司法「はい,前述の書面主義のところで勉強しました」

教授「その具体的な内容は,不動産登記令第3条に定められているんだ」

司法「はい。1不動産登記令第3条の第1号から第12号までは一般的な登記に関する事項で,2その他,各種登記の申請の際に個別に必要な事項は不動産登記令第3条第13号に規定する別表に,3登録免許税や課税標準金額に関しては不動産登記規則に定められています」

教授「ざっと確認しておこう」


●申請人の氏名又は名称及び住所(不登令3条1号)
●申請人が法人であるときは,その代表者の氏名(3条2号)
●代理人によって登記を申請するときは,当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名(3条3号)
●債権者代位によって登記を申請するときは,申請人が代位者である旨,当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因(3条4号)
●登記の目的(3条5号)
●登記原因及びその日付(3条6号)
●土地又は建物の所在等(3条7号・8号)
●所有者又は登記名義人となる者が2人以上であるときは,当該表題部所有者又は登記名義人となる者ごとの持分(3条9号)
●権利に関する登記を申請するときは,不動産登記令第3条第11号イロハニホヘに掲げる事項(3条11号)
●申請人が不動産登記法第22条に規定する申請をする場合において,同条ただし書の規定により登記識別情報を提供することができないときは,当該登記識別情報を提供することができない理由(3条12号)
●別表の登記欄に掲げる登記を申請するときは,同表の申請情報欄に掲げる事項(3条13号)
●添付情報の表示(不登規則34条1項6号)
●申請年月日,登記所の表示(34条1項7号・8号)
●登録免許税額,課税標準の金額(189条1項)

教授「以上が,主な権利に関する登記申請情報に記載すべき事項だ。それでは,解答例の抵当権設定登記の申請情報に沿って説明をしていこう。最初に『目的』が記載されている。目的は,たとえば,所有権保存,所有権移転,抵当権設定等として申請情報の内容を明らかにするために記載するんだ。この登記申請は,抵当権設定だから『抵当権設定』と記載する(不登法59条1号,不登令3条5号)」

司法「次に『原因』が記載されています」

教授「ここには,法律行為やその他の法律事実と,その効果が発生した日を記載することになる。抵当権の場合は,その被担保債権の発生原因として債権契約の名称とその成立の日の年月日を掲げて(昭30・12・23民甲2747号通達),その被担保債権のための設定による旨を,その設定契約の日付とともに記載することになる(不登法59条3号,不登令3条6号)」

司法「その次は,『債権額』が記載されていますね。被担保債権の額は必ず記載しなければなりませんね(不登法83条1項1号,不登令3条13号,不登令別表55・イ)。次に,『利息』『損害金』が記載されています。利息や損害金の定めがある場合は記載しなければなりません(不登法88条1項1号・2号,不登令3条13号,不登令別表55・ロ)」

教授「そうだね。年利・月利の利息や損害金について端数が年または月に満たないときに備え,その特約として『利息 年何%(年365日日割計算)』『損害金 年何%(年365日日割計算)』と記載することもできるね」

司法「次は『債務者』とあります。債務者の氏名または名称および住所は必ず記載し(不登法83条1項2号,不登令3条13号,不登令別表55・イ),連帯債務者であれば『連帯債務者 何某 何某』と記載します」

教授「そうだね。債務者の次には『抵当権者』として,抵当権者の氏名または名称および住所を記載し(不登法59条4号,不登令3条1号),最後に,『抵当権設定者』の氏名または名称および住所を記載することになる(不登令3条1号)。以上が,添付情報までの抵当権設定の申請情報に記載すべき記載事項なんだ」

司法「なるほど。こうして見てみると,『抵当権者』までが,すべて登記記録に記録されていますね」

教授「根拠条文を見ると,登記記録に記録されるべき事項,すなわち登記事項が申請情報に記載すべき事項となっていることが分かる。だから,登記記録がどのようになるのかさえ理解しておけば,申請情報は作成することができるんだよ」