司法書士・調査士記述式対策 不動産登記記述式入門7 田中利和

4 共同申請とは
司法「そうすると,建物の登記記録の甲区2番所有権移転登記は甲野太郎と乙野次郎,乙野三郎が共同して申請したということですね」


教授「不動産登記法は,登記官が実体関係の存否等について実質的な審査をするよりも,権利変動の当事者である登記権利者と登記義務者が共同申請によって, 登記の真正を保持し,虚偽の登記の防止を図ることができることから,当事者の共同申請主義を採用し,他の制度(たとえば,添付書類の法定等)と併せて登記 の真正と迅速な処理を保持しようとしているんだ(民事法情報センター『全訂不動産登記入門』110頁一部引用)」

司法「なるほど。要は,共同申請とは,登記権利者と登記義務者が共同して登記を申請することをいうのですね」

教授「簡単にいうとそういうことだね。ただし,厳密にはそうではない。たとえば,不動産の所有者がAとする。AがBに不動産を売却し,さらに,BがCに売却したとしよう。この場合,実体法上,BはAに対し,CはAおよびBに対して,登記請求権を有している。

しかし,Cが実体法上,登記請求権を有しているからといって,登記手続上,A名義の不動産について,AからBへの所有権移転の登記が未了である場合においては,Cを登記権利者として申請することはできないんだ。

つまり,不動産登記法上,現実に登記を申請することができる申請適格者としての登記権利者であるためには,その登記について,登記記録上,登記権利者として形式的に表示される必要がある(民事法情報センター『全訂不動産登記入門』112頁一部引用)。

つまり,この場合,まず,登記義務者をA,登記権利者をBとして,最初の売買による所有権移転登記を申請しなければならないということなんだ」

司法「登記義務者についても解説をお願いします」

教授「今の例を使って説明しよう。実体法上,AはBに対し,BはCに対して,登記義務がある。しかし,AからBへの所有権移転登記が未了の場合,登記手続上,Bは登記義務者となりえないんだ。

 この場合,登記義務者になるのはAだ。つまり,登記申請手続において,その者が登記義務者として現実の登記申請の適格者になるためには,申請する登記の基礎となる登記の名義人であることを要するんだ(民事法情報センター『全訂不動産登記入門』112頁一部引用)」