2009年12月アーカイブ

2.記述式試験
 21年度は,以下の事項に関する知識および能力を試すための出題がされました。

第36問
1 第1欄について
 売主である所有者が有限会社から株式会社へ移行したため商号変更がされたことを資料から読み取った上,所有権の移転の登記の申請の前提として所有者の名称変更の登記の申請をするときの登記申請書を正確に記載し,添付書面を特定することを求めるもの

2 第2欄について
 所有権の移転の登記を申請する前に建物のみにされた抵当権の登記の抹消を申請すべきことを資料から読み取った上,抵当権の登記の抹消をする際,抵当権の登記名義人の住所が変更されていても,変更証明書を添付すれば,その変更の登記を申請する必要がないことを前提に,抵当権の登記の抹消を申請するときの登記申請書を正確に記載し,添付書面を特定することを求めるもの

3 第3欄について
 売買による所有権の移転の登記を申請するに当たり,当該売買が登記名義人にとって利益相反取引に該当するため添付書面として登記名義人の株主総会議事録が必要であること及び敷地の賃貸人の承諾書が必要であることを資料から読み取った上,当該登記を申請するときの登記申請書を正確に記載し,添付書面を特定することを求めるもの

4 第4欄について
 抵当権の設定の登記の登記原因を資料から読み取った上,敷地権に抵当権の設定をすることができないことを前提に,当該登記を申請するときの登記申請書を正確に記載し,添付書面を特定することを求めるもの

5 第5欄について
 具体的事例に即して,更正の登記の意義及び要件についての理解を問うもの

1.多肢択一式試験
1 民事訴訟法・民事執行法・民事保全法
 民事訴訟法については,基本的論点が取り上げられていましたので,過去問の知識があれば十分対応可能であったかと思います。民事執行法および民事保全法についても,条文を押さえていれば解答することができる問題でした。


2 司法書士法
 司法書士の業務範囲に関する問題でした。特に簡裁訴訟代理等業務や裁判書類作成関係業務については,実務的にも気にしなければならない点が問われたと思います。ただ,問題としては過去問の知識で十分対応可能な問題であったと思います。


3 供託法
 供託手続,弁済供託,執行供託に関する問題でした。先例と条文を基本とした内容であり,過去問を理解している受験生ならば,十分対応可能な問題であったと思います。

1:21年度試験の総括
 21年度の試験は,筆記試験が7月5日(日曜日),口述試験が10月13日に行われ,11月2日に,最終合格者の発表がありました。見事合格をされた皆さま,おめでとうございます。

 司法書士試験の出願者数は過去最高の出願者数であった昨年度に比して,449人減,増減率で1.4%減の3万2,558人となりました。受験者数(午前の部および午後の部の双方を受験した者の数)は,2万6,774人(328人減)であり,最終の合格者数は921人(男714人・77.5%,女207人・22.4%)でした。

(過去3年間の推移)

           19年度      20年度     21年度 
出願者数    32,469人 :  33,007人      32,558人

受験者数    26,860人   27,102人      26,774人

合格者数       919人      :931人         921人

合格率        3.4%      3.4%          3.4%

 

筆記試験について
 法務省の発表によると,21年度の筆記試験合格点は,満点280点中221.0点以上でした。
 なお,21年度は記述式試験の配点が20年度の52点から70点に変更され3割程度増加しました。
 筆記試験には,午前の部(9:30~11:30)と午後の部(13:00~16:00)がありますが,午前の部の試験(多肢択一式問題)については満点105点中87点に,午後の部の試験のうち,多肢択一式問題については満点105点中75点に,記述式試験については満点70点中41.0点に,それぞれ達しない場合は,それだけで不合格とされました。

(過去3年間の筆記試験の基準点)
            19年度:      20年度      :21年度;

合格点(総合点)    211.5点     189.5点     221.0点    
  択一式:午前       84点       78点          87点
      午後        84点       84点         75点
     記述式       30点1      9.5点       41.0点

風のたより

中村屋(新宿)が初めてインド式カリーを発売したのが昭和2年。それまで日本で食べられていたのは英国式カレー。
大正4年に日本へ亡命したインドの独立運動の志士ラス・ビハリ・ボースは,日英同盟を結んでいた日本政府に国外退去を命じられたが,中村屋創業者の相馬夫妻によって匿われた。
夫妻の娘俊子(20歳)はイギリスからの追及が厳しくなり中村屋を出なければならなくなったボース(32歳)に嫁ぎ,ボースの相馬家への強い愛情と感謝のかたちになったのがインドカリーなのだ。
しかし,俊子は28歳の若さで永眠。暑い日こそ,熱い想いが込められたインドカリーを食べたい。(冨士田)

 

人と人とが接触する点の存在を忘れるとよい。たとえば腕をつかまれたとする。つかまれた
ところに意識は集中しがちである。振りほどこうとして力をいれる。運よくほどければいいが,相手の力が強いとなかなかほどけない。
このときどうしたらいいか。つかまれたところを意識から外す。そこが右肘なら,その存在を忘れてしまう。そしてお腹の中心から腕をあげていくと相手がどんな力持ちでも自分の腕をあげることができる。
意識は手を上にあげようという方向性だけはもっている。あとは潜在意識にまかせる。存在を忘れるのは腕から力を抜くためだ。力の抜けた腕を力で抑えこむことはできない。これは肉体と肉体との接触だが,人と人との意識の接点についてもいえる。
緊張するような出会いの場面で,何か話さなくてはならないと焦るときがある。話すという方向性だけは持つが,話さなくてはならないと焦る意識の存在を忘れる。すると潜在意識が働いてスムーズに言葉が出る。

8 解答の手順
教授「登記記録から申請情報の内容を説明してきたので,ここからは,実際の問題に沿って解答の手順を説明していこう」

司法「分かりした。先ほどは,登記記録を読み取って申請情報を作成しました。今度は,実際の問題にあたって申請情報を作成するということですね」
教授「実際の問題の一部を見てみよう。以下は,解答例の所有権移転と抵当権設定および所有権登記名義人住所変更に関する事実関係の一部とそれらに関する添付情報の一部だ。出題形式は,事実関係のみの場合と事実関係と添付情報を示す場合がある」

事実関係
1  平成20年3月24日,甲野太郎は,東京都 渋谷区柳野町15番5号から東京都渋谷区本 田新町100番地に住所移転した。

2  乙野次郎と乙野三郎は,本件建物を購入 することを検討している。そこで,購入資 金として株式会社新宿銀行から融資を受け ることとなった。

3  平成21年7月7日,甲野太郎と乙野次郎, 乙野三郎は,本件建物について,売買契約 を締結した。ただし,所有権の移転の時期 については,売買代金全額を支払った時に 移転する旨の特約が付されている。

4  平成21年9月1日,株式会社新宿銀行の 融資が実行され,乙野次郎と乙野三郎はそ の金銭を甲野太郎に売買代金として交付し た。

5  同日,株式会社新宿銀行の保証人である株式会社新宿保証は,乙野次郎と乙野三郎に対する将来発生の可能性のある求償権を担保させるため,株式会社新宿保証と乙野次郎と乙野三郎との間において,『平成21年8月1日保証委託契約に基づく求償債権』を被担保債権として,債権額5,000万円,損害金年14%(年365日日割計算),乙野次郎,乙野三郎を連帯債務者として,本件建物に抵当権を設定する旨の契約を締結した。

6  平成21年9月1日,甲野太郎は乙野次郎, 乙野三郎から交付を受けた売買代金の一部 をもって,本件建物の1番抵当権者株式会 社中央銀行に対し,当該1番抵当権の被担 保債務の残債務全額を支払った。

※ 上記の事実関係は,事実関係の一部であり,あくまでも,出題事例の見本として作成したものです。 

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