平成22年度 国家試験を展望する「司法書士試験」1加藤 章

1:21年度試験の総括
 21年度の試験は,筆記試験が7月5日(日曜日),口述試験が10月13日に行われ,11月2日に,最終合格者の発表がありました。見事合格をされた皆さま,おめでとうございます。

 司法書士試験の出願者数は過去最高の出願者数であった昨年度に比して,449人減,増減率で1.4%減の3万2,558人となりました。受験者数(午前の部および午後の部の双方を受験した者の数)は,2万6,774人(328人減)であり,最終の合格者数は921人(男714人・77.5%,女207人・22.4%)でした。

(過去3年間の推移)

           19年度      20年度     21年度 
出願者数    32,469人 :  33,007人      32,558人

受験者数    26,860人   27,102人      26,774人

合格者数       919人      :931人         921人

合格率        3.4%      3.4%          3.4%

 

筆記試験について
 法務省の発表によると,21年度の筆記試験合格点は,満点280点中221.0点以上でした。
 なお,21年度は記述式試験の配点が20年度の52点から70点に変更され3割程度増加しました。
 筆記試験には,午前の部(9:30~11:30)と午後の部(13:00~16:00)がありますが,午前の部の試験(多肢択一式問題)については満点105点中87点に,午後の部の試験のうち,多肢択一式問題については満点105点中75点に,記述式試験については満点70点中41.0点に,それぞれ達しない場合は,それだけで不合格とされました。

(過去3年間の筆記試験の基準点)
            19年度:      20年度      :21年度;

合格点(総合点)    211.5点     189.5点     221.0点    
  択一式:午前       84点       78点          87点
      午後        84点       84点         75点
     記述式       30点1      9.5点       41.0点

(1)午前の部
 午前の部は,試験時間2時間で,5肢択一式により35問の出題がありました。
 21年度の内訳は,憲法3問,民法20問,刑法3問,商法・会社法9問でした。20年度に比べて民法が1問減,商法・会社法が1問増となりました。

1憲法
 21年度は,3問中1問が対話式問題,1問が推論問題,1問が条文問題でした。いずれの問題もしっかりとした法的思考ができていれば,比較的簡易に解答することができる問題であったと思います。

2民法
 21年度は,対話式問題と推論問題との合計数と条文問題の問題数がほぼ半々の割合でした。単純な条文や判例のインプットだけでは対応できない,より,法的思考に重きを置いた問題構成であったと思います。
 対話式問題と条文問題については,条文や基本的な判例の知識があれば十分に対応可能なものであり,また,推論問題についてもきちんとした法的思考が養われていれば,対応することができるレベルの問題であったと思います。

3刑法
 21年度は総論から2問,各論から1問という問題構成でした。いずれも,条文の知識のみでは対応できない判例からの出題ではありましたが,基本的論点からの出題であり,比較的取り組みやすいものであったと思います。

4商法・会社法
 前述のとおり21年度は20年度より1問増えました。それだけこの分野の知識の重要性が増えていることの証だと思います。また,21年度は商法からも1問出題がありました。
 対話式問題が1問あった以外は条文問題であり,細かな部分を問う問題もあったものの基本的には会社法の条文で対応できる問題が多かったと思います。

(2)午後の部
 午後の部は,試験時間3時間で,5肢択一式により35問,記述式により2問の出題がありました。
 本年度の択一式の内訳は,民事訴訟法5問,民事執行法1問,民事保全法1問,司法書士法1問,供託法3問,不動産登記法16問,商業登記法8問であり,記述式の内訳は,不動産登記法1問,商業登記法1問でした。

 なお,前述のとおり,記述式試験の配点が昨年よりも増加しました。今後は,記述式の重要性がより増してくるものと考えられます。