宅建・行政書士合格スケジュール 十影 響
宅建・行政書士:合格スケジュール
(住宅新報社講師) 十影 響
今回は,はじめて宅建試験を受験する人のために試験対策を述べていきますが,この試験を受ける人は多岐にわたり,学習経歴,実務経験,学習期間も人によって異なるため,必要に応じて,適宜,調整してください。
1 どんな人が受けているのか
宅建試験とは,どんな試験か
宅建試験は,このところ20万人以上が受験する不動産系の試験としては最大規模の試験であり,宅建業を営む業種を中心に,以下のような人たちが受験しています。
宅建業従事者のほかの受験者は,就職・転職の準備をする,勤務する会社で宅建業をはじめる,自己啓発などの理由で受験する人が代表的ですが,近年は,ほかの資格の取得者や受験者(マンション管理士,管理業務主任者,行政書士,不動産鑑定士,司法書士,税理士,会計士など)の中にも受験する人がいます。
それらの資格の業務上,不動産の取引について一通り知っておく必要があるためと考えられます。
2 目標点の設定--合格点
宅建試験は,昭和56年以降,全50問,マークシート方式で,4肢択一の試験形式で行われています。
平成9年以降では,合格基準(合格点)の平均は33点になっていますが,実施年により合格率・合格基準点とも変動し,合格基準の最高は平成14年の36点で,近年の一般受験者の合格率は平成14年を除けば15%台が続いています。
このため,合格するには最低でも確実に35~36点を取れるようにしておく必要があります。
年度 合格率※ 合格基準
平成 9年 14.1%(13.9%) 34点
平成10年 13.9%(13.6%) 30点
平成11年 15.9%(15.0%) 30点
平成12年 15.4%(15.1%) 30点
平成13年 15.3%(15.0%) 34点
平成14年 17.3%(17.2%) 36点
平成15年 15.3%(15.0%) 35点
平成16年 15.9%(15.8%) 32点
平成17年 17.3%(15.9%) 33点
平成18年 17.1%(15.8%) 34点
平成19年 17.3%(15.2%) 35点
※( )内は一般受験者の合格率。平成13年以前の合格基準点は推定。
平成17年以降は登録講習の民間開放により,登録講習修了者(5問免除者)の合格者数が増加しているが,一般受験者の合格率に大きな変動はない。
登録講習修了者の動向については,『不動産受験新報』1月号p.35参照。
3 試験の出題内容
出題内容は,宅地建物取引業法施行規則8条で7科目が定められており,平成17~19年の試験では,以下のように出題されています。
分 野 問題番号 施行規則で定められた科目
権利関係(16問) 問1~問16 ●土地および建物についての権利および権利の変動
に関する法令に関すること
法令上の制限(9問) 問17~問25 ●土地及び建物について法令上の制限に関すること
税法・鑑定(4問) 問26~問29 ●宅地及び建物についての税に関する法令関連
●宅地および建物の価格の評定に関すること
宅建業法(16問) 問30~問45 ●宅地建物取引業法および同法の関係法令関連
その他(5問) 問46~問50 ●宅地および建物の需給に関する法令および実務
に関すること (問46~問48)
●土地の形質,地積,地目および種別並びに建物の
形質,構造および種別に関すること(問49~問50)
※税法・鑑定とその他を,ここでは「税法その他」という。
4 試験日程
試験日程は,例年6月上旬に,各都道府県の公報,試験実施機関,各都道府県の実施協力機関のホームページなどで公表されます。
平成19年の日程は以下のとおりです。
平成20年も同様の日程と思われますが,試験実施機関のホームページなどで必ず確認してください。
実 施 公 告 平成19年6月1日(金)
試験案内配布 平成19年7月2日(月)~同年7月31日(火)〈受験申込期間〉
試 験 日 平成19年10月21日(日)〈例年10月の第3日曜日〉
合格発表 平成19年12月5日(水)~7日(金)
学習スケジュール:1回で合格するために
1 学習スケジュールの全体像
学習時間は平均して300時間といわれていますが,漠然と過ごしていたのでは合格できるものも合格できなくなります。
誰しも学習できる時間は限られていますから,効果的に,かつ見通しよく学習を進め,学習上の障害やリスクを前もって回避するためには,それなりの学習理論と学習戦略を知っておく必要があります。
効果的な学習スケジュールとしては,学習期間の長短にかかわらず,インプット&ドリル学習⇒アウトプットに専念⇒模擬試験⇒直前学習の4段階で組むのがベストです。
ここでは,学習期間7カ月~8カ月を想定して,説明します。
※インプット(知識を習得すること)
※アウトプット(学んだ知識を問題演習する)
第1段階:インプット&ドリル学習
3月~7月 基礎知識の徹底
〔学習の指針〕
学習の骨格となるものを効率よくマスターすることに専念する。
全体を見る視点を常に意識する。
一問一答・ドリルで,理解度・習得度をチェックしながら進める。
1つの項目でインプット+ドリルが終わったら,過去問を4肢択一でチェックする。
基本書,ドリルは,7月末までに終わらせるようにスケジュールを組むのがベスト。
週単位で学習計画を立てる。
(1) インプットの注意点--完璧主義は禁物
学習するには,(ア)全体像をまず押さえ,学習の骨格となるものを習得して,(イ)それから細かいことを見ていく方法が無理なく効果的です。
第1段階の「インプット&ドリル学習」では,この(ア)に専念します。(イ)は幹と枝葉の区別が分かってくる第2段階の「アウトプットに専念」でやればよいのです。
一番大切なのは,テキストの選定です。この時期には,出題頻度が高く,優先的に学習すべきものをテンポよくスピーディーに,集約的に提示してくれる基本書がよいでしょう。
たとえば,住宅新報社の『氷見敏明の楽学宅建』のように,その項目の全体像や学習のコア(核)となるものを整理してくれる基本書です。
また,学習の初期段階では,転ばぬ先の杖となる案内が必要なので,このへんも配慮している基本書を選ぶべきでしょう。
知識がゼロの状態から学ぶときには勘違いしたり,類似の制度と混同しがちです。
『氷見敏明の楽学宅建』では,勘違いや誤解を防止する工夫が随所にされています。
〔無理なくスムーズに学習できる教材例〕
最近では,マンガの基本書を導入部として読んでから,通常の基本書を読むという学習スタイルも定着しつつあります。
難解な学習項目もマンガで読めば,内容をイメージしやすいので,学習しにくいところをマンガの基本書で読むというのも1つの方法です。
基本書を読むのが億劫な場合には,視聴覚教材を聴いてから基本書を読むという方法もあります。
視聴覚教材で聴いた説明のほうが頭に入りやすく,より印象に残るからです。
指導機関での生講義を聴きたくても,仕事の帰りが遅くて受講できない方にもピッタリです。
(2) 基本書で学んだ知識はすぐチェックする
〈基本書を読む ⇒ 一問一答・ドリルを解く⇒ 過去問を解く〉
項目ごとに,このサイクルを繰り返すことは知識習得の時間を短縮します。
一般に,過去問を解くことは実力養成には不可欠だとよくいわれますが,基本書を読んだ直後に,すぐ4肢択一の過去問を解くことは以下のように難しい場合があります。
1)その学習項目以外の知識を問う選択肢があって,正誤の判定をすること自体ができないものが4肢の中に出てくる場合がある。
小問集合の問題ではよくこのパターンがあり,学習途上の初学者には対応が難しい。
2)いきなり深い知識を問う選択肢がある場合がある。
学習のコアとなる知識を固める段階では,初学者は混乱してしまう。
3)過去問では,条文のいい回しが多く,基本書を読み終えた段階では,問題文を読み取るのに初学者は苦労する。
問題を解く以前に,問題文が何をいっているのか見当もつかない場合がある。
以上のような場合,学習意欲そのものを失いかねないので,4肢択一の過去問を解く前に,一問一答のドリルで,まず基本書で学んだ知識を習得しているか,紛らわしいものと区別できるか,出題頻度の高い学習項目をマスターしているか,チェックしておくと,その後,スムーズに,4肢択一の過去問を解くことができます。
宅建を受験するのが初めてではない方は学習項目全部で,過去問を解く前に一問一答をする必要はなく,弱点項目や気になる項目だけでよいと思いますが,初学者の場合は,一通りその学習項目の一問一答をチェックした後で,4肢択一の過去問を解くようにすれば,見通しよく学習することができます。
(3) 週単位で学習計画を立てる
週単位であれば,1週間の間に学習の進行状況によって調整することができます。
また,1週間のうちで1日は予備の調整日や休みを置くことが必要で,リフレッシュする日がないと疲労が重なり,そのうち学習が思うように進まなくなります。
1週間単位で,リズムとメリハリをつけることができれば,その1週間を展望することができ,調整もしやすくなります。
1週間の最終日には,その週で学習したことを総ざらいして,その分野の全体の配置も確かめておきましょう。
人間の記憶は何度も繰り返し思い出すことで定着の度合いを深めていくからです。
標準的なスケジュール
〈権利関係〉
3/17~制限行為能力者,意思表示,代理
3/24~時効,物権変動,共有,地上権,地役権
3/31~抵当権などの担保物権,債務不履行,解除,弁済
4/7~連帯債務,保証,債権譲渡,相殺
4/14~4/21~危険負担,売買契約(担保責任)
4/28~5/2~賃貸借,請負,委任,不法行為
5/3~5/6~ゴールデンウイークでお休み
5/7~相続,借地借家法
5/12~区分所有法,不動産登記法
〈宅建業法〉
5/19~用語の定義(宅建業,宅地,建物),免許,免許の基準,取引主任者,業者と取引主任者の届出
5/26~営業保証金,保証協会,広告規制,媒介規制
6/2~重要事項の説明,37条書面
6/9~自ら売主の8種制限
6/16~報酬,業務上の規制,監督処分・罰則
〈法令上の制限〉
6/23~都市計画法
6/30~建築基準法
7/7~国土利用計画法,農地法,宅地造成等規制法,土地区画整理法,諸法令
〈税法その他〉
7/14~所得税・贈与税,不動産取得税,固定資産税
7/21~印紙税,登録免許税,地価公示法,鑑定評価
7/28~住宅金融支援機構法,不当景品類及び不当表示防止法,土地,建物
第2段階:アウトプットに専念
7月~8月 過去問の反復による知識の定着
〔学習の指針〕
項目ごとに,過去問を解くことを反復する。
知識の定着とともに,理解の幅を拡げるようにする。過去問のルーティンワークでは固定観念を生むだけ。
知識の横断的な整理もしておく。
法改正に注意して,漏れのないように。
単元別の予想問題の活用も有益。
(1) 頻出項目を万全に――反復で理解を深める
第1段階の「インプット&ドリル学習」を終えたら,過去問をシャワーのように,ふんだんに浴びる時期が必要です。
過去問を解き続けることで知識を定着させる熟成期間がないと,どうしても試験の本番でなかなか実力を発揮できません。
ただ,過去問を演習するときに,注意することがあります。
それは,決して,過去問のルーティンワーク(単調な作業の繰り返し)になってはいけないということです。
野球でいえば,直球だけでなく,変化球も確実に打てるバッターにならなければいけません。
文言を変えたり,視点を変えて出題されたら,もうお手上げというのでは本番の試験では心もとないからです。
そのためには,どの学習項目でも頻出論点を過去問で徹底的に反復するとともに,その問題のバックボーンも横断整理して,どれが幹で,どれが枝葉に当たるのかを理解できるようにしなければなりません。
確かに,宅建試験では,通常の基本書には書かれていないようなものも時には出題されることがあります。
しかし,合否の死命を決するのは決してそのような誰も知らないような知識ではなく,誰もが知っている知識でミスをしないということが合格の近道です。
また,頻出の重要論点を知っていれば,ほかの肢との関連から,おのずと正誤の判断もできるはずです。
(2) 4肢択一で正解肢を選ぶ訓練の必要性
第1段階の「インプット&ドリル学習」でのドリルは単に知識のチェックが目的でしたが,この第2段階の「アウトプットに専念」では,4つの選択肢の中から正解肢を正確に選べるようにするのが目的です。
近年の宅建試験では,従来のように正誤判定をさせたり,該当するものを選べという問題だけではなく,組合せ問題や個数問題が出題されることがあります。
出題形式に慣れておかないと意外なところで失点しますから,4つの選択肢の中から正解肢を選ぶ訓練を十分しておく必要があるのです。
第3段階:模擬試験
8月~9月 模擬試験による実戦訓練
〔学習の指針〕
直前予想問題集を解くか,指導機関の模擬試験を受ける。
時間を計って2時間で解く。
時間配分,解く順番,見直しの方法を確認しておく。
(1) 模擬試験を受ける意味
同程度の学力の持ち主でも,2時間で50問を解く実戦的な訓練をしているのとしていないのでは得点力は大違いです。
過去問の反復学習では単にその問題を解くことができるかどうかがポイントでしたが,模擬試験では,全体で何点取れるかということよりも,時間配分・問題を解く順番など本番の試験のリハーサルができるという面に着目する必要があります。
また,学校を卒業してから長年経過していると,試験を受ける体(態勢)になっていないということもあります。模擬試験は,試験を受ける体に回復させるという効果もあるのです。
(2) 正解を導く方法の発見
4肢択一の問題では,単に知っているかどうかチェックする一問一答と違って,どれが正解なのか迷うことがあります。
正確に問題文を読み取り,問題文の中にあるノイズを外して,いかに正解に導いていくか,その道筋を自力で見つけ出すことが,この第3段階「模擬試験」のポイントです。
これは,実際に経験してみないことには分かりません。
たとえば,宅建試験では法改正点以外で,初出題のものが部分的に出題されることがあります。
このような問題が出題されても,模擬試験でいわば免疫をつけておけば,不安なく対処できるうえに,未知の問題の出題(実際は,過去問で既出の学習項目に関連するものが多い)にショックを受けて,それ以降の問題で普段しないようなミスをするなどを防ぐことができるのです。
また,模擬試験は,頻出出題項目であっても,従来とは異なった視点や切り口の問題も提示してくれます。そのような問題に驚かないようにしてくれるのも模擬試験の効用です。
(3) 法改正対策
法改正があった場合,当然それは過去問には出題されていません。
改正点のうち,どのような問題に出題可能性があるのか提示することも模擬試験の見過ごせない役割です。
以上のような理由で,直前予想問題集を自分で時間を計って解くか,模擬試験(2回程度)を受けるよう,お勧めします。
第4段階:直前学習(学習の仕上げ)
10月 最後の微調整
〔学習の指針〕
基本書をもう一度読み直し,幹と枝の区別を明確化するとともに,弱点を補強する。
宅地建物の統計の出題予想データを調べておく。
毎日,問題を『解く』こと(問題を解く勘を鈍らせない)。
直前期は,いつでも,必要な知識を呼び起こせるように,これまで学習してきた知識の幹と枝葉の区別をして系統的に整理しておく必要があります。
この時期には,幹と枝葉の区別があいまいになっていることが多いからです。そのためには,基本書を一通り読んでおくといいと思います。
もう1つは,半月程度で,出題範囲すべてについて,過去問や模擬試験で間違えた問題を見ておくことです。
毎日,問題を少しでも解いて,問題を解くうえでのポイントを忘れないようにしておくのです。
試験本番のときに,直前期に過去問をもっとよく見ておけばよかった,と後悔しないようにしましょう。
3 各分野別の目標得点とアウトライン,出題状況
権利関係
この分野は,不動産の取引(売買,貸借)を行ううえで知っておくべき契約と権利についての法律を扱い,民法,民法の賃貸借の特則である借地借家法,民法の共有の特則である区分所有法,権利の変動に伴う登記手続を扱う不動産登記法からなります。
この分野では,事例問題として判例がよく出題されています。
権利関係の問題は,問題文も長く,問題文を理解するにも苦労することが多いので,覚えようとするよりも法律の制度趣旨をよく理解することがマスターする近道です。
目標得点 全16問中10問
出題構成
民法12問,借地借家法2問(借地権1問,借家権1問),区分所有法1問,不動産登記法1問
□民 法
宅建試験での民法は,不動産の取引に係るトラブルを処理したり,未然に防ぐ基礎知識を学ぶものであり,契約の効力(民法総則),不動産に関する権利(所有権,占有権,賃借権,地上権,地役権,物権変動),不動産の管理(物権の共有,相隣関係),契約の種類(委任,請負),売買契約に伴う責任(担保責任),不法行為,相続がその範囲です。
具体的には以下のように出題されています。
【民法総則】例年2~3問
契約の無効や取消し,意思表示,制限行為能力,代理,時効,条件と期限
【物権】例年1~2問
共有,占有権,相隣関係,所有権に基づく物権的請求権,物権変動の対抗要件
【担保物権】例年1~2問
抵当権,質権,留置権,先取特権
【債権】例年4~6問
債務不履行,弁済,契約の解除(手付による解除も含む),相殺,多数当事者の債権債務関係(連帯債務,保証契約,連帯保証),売買契約での担保責任,危険負担,賃貸借,不法行為,委任,請負
□借地借家法
借地1問,借家1問,合計2問。
民法の賃貸借の規定や判例も出題。
宅建業者が貸借の媒介・代理を扱うのに,借地借家法は知っておかなければならない法律です。
出題内容は頻出論点が多いので,理解しておけば確実に得点できるところです。
□不動産登記法
以前は2問出題(権利の登記と表示の登記)されていましたが,最近では登記申請手続の基本的な問題が1問出題されています。
2問出題のときよりもやさしくなってきています。
□区分所有法
平成14年度から16年度は出題されていなかったのですが,17年度(5問免除者が増加した年度)から復活しました。
宅建業者はマンションを分譲したり,売買や貸借の媒介をすることが多いので,区分所有法を知っておく必要があります。
これまでのところ,権利関係では珍しく,長文化した問題は出題されていません。
難易度も高くなく,比較的得点しやすいところです。
宅建業法
宅建業法は,満点が狙える分野です。
目標得点 全16問中14問
出題構成(代表的な出題例)
免許(2問),取引主任者(2問),媒介契約(1問),広告規制(1問),事務所・案内所等の規制(1問),
業務上の規制(1問),35条の重要事項説明と37条書面(2問),報酬規制(1問),
営業保証金と保証協会(2問),自ら売主の制限(2問),監督処分・罰則(1問)
宅建業法では,一般消費者の保護や取引の公正を図るために,「宅地建物の売買・交換(その媒介・代理)と貸借の媒介・代理」(宅建業)をするのに免許を必要としています。
免許権者は,事務所が一の都道府県内にある場合は都道府県知事,複数の都道府県にある場合は国土交通大臣です。
免許の欠格要件に該当する場合は免許してはならないという厳しいものになっています。
※事務所とは,契約締結権限のある者が常駐している場所をいう。
宅建業法の中身を分類すると,
①免許申請の手続・欠格要件・届出・宅建業者名簿,
②取引主任者(登録,取引主任者証,登録の移転,届出,資格登録簿,専任の取引主任者),
③宅建業者が宅建業を営むのに必要な規制(営業保証金の供託〈または,保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を負担〉,事務所・案内所等の規制〈標識の掲示,帳簿・従業者名簿,取引主任者の設置義務〉)
④取引を行ううえでの規制(守秘義務などの業務上の規制,広告規制,媒介契約〈売買・交換の媒介のみ〉,報酬制限,重要事項説明,37条書面,自ら売主の制限),
⑤監督処分・罰則(宅建業者,取引主任者)の5つのグループに分けられます。
宅建業法では,宅建業者にかかる規制とともに,
②の取引主任者に関する問題も出題されます。取引主任者の試験ですから当然ですが,取引主任者にはそれだけ重い役割が与えられているからです。
取引主任者しかできないこととして,買主・借主に対して重要事項説明をし,そのときに交付する書面への記名押印,契約成立後に当事者双方に交付する37条書面(説明は義務付けられていない)への記名押印がありますが,これらは宅建業者の取引の相手方を保護し,取引の公正を図るものです。
宅建業法の問題は,条文数が少ない(問題になる論点が少ない)こともあって,過去に出題されたものが繰り返し出題される分野であり,学習した成果がそのまま得点に表れる分野です。その意味で取り組みやすい分野なので,できれば満点を目指したいところです。
法令上の制限
この分野は,主に土地の取引規制と土地・建物に関する行為規制の法令が出題されています。宅建業者は,売買・貸借の対象に係る法的規制を把握しておく必要があるからです。
目標得点 全9問中6問
出題構成
★都市計画法3問,建築基準法2問,★国土利用計画法1問,宅地造成等規制法1問,☆土地区画整理法1問,★農地法1問,(諸法令1問)
★=出題が定型化しているため得点しやすい,☆=やや得点しにくい。(以下,同じ)
□国土利用計画法(取引規制)
土地の売買・対価のある貸借の取引をする場合,その区域や規模により土地の利用目的・取引価格について許可を受けたり,届出をしなければならないことがあります。
それを扱うのが国土利用計画法です。
国土利用計画法では,取引価格を規制する度合いにより,規制区域,監視区域,注視区域に指定され,規制区域では土地の取引には都道府県知事(以下,知事)の許可を必要とし,監視区域・注視区域では,土地売買契約をしようとするときに,取引規模により知事への事前届出を義務付け,取引価格をチェックして,必要ならば知事が勧告します。
規制区域,監視区域,注視区域のいずれにも指定されていない区域の場合でも,区域・取引規模により事後届出が義務付けられ,土地の利用目的についてチェックされます。
宅建試験では,区域や取引規模による事前届出・事後届出,勧告などの手続の内容について出題されます。
□農地法(取引規制)
農地の売買・貸借(対価の有無は関係ない)は,農地法3~5条による許可を受けなければ契約を締結することができません。
農地法は,農地の耕作者の変化や農地の減少を監視している法律です。
宅建試験では,主に,農地法での農地の定義(農地法では,登記簿の地目に関係なく,現況が農地であれば,農地として扱う),農地法の許可の要否,許可権者を問う問題が多く出題されています。
□都市計画法
都市計画法では,
①都市計画区域の指定,
②都市計画の決定,地域地区,都市計画事業,
③開発許可を学びます。
知事による都市計画区域の指定があって初めて都市計画による規制・誘導や都市施設の整備が行われます。
また,近年では,都市計画区域外の区域で,土地の利用規制や環境の保全をするために準都市計画区域が指定されることがあります。
都市計画にはどのようなものがあり,どのように決定し施行されるのかを学ぶのが,「都市計画の決定,地域地区,都市計画事業」です。
開発許可は,無秩序な市街化や土地の乱開発を防ぎ,良好な環境を備えた市街地を整備するために作られた制度です。
区域・規模により,開発許可を受けなければ,土地の開発行為(建築物の建築や特定工作物の建設のために,土地の区画形質を変更すること)ができません。
宅建試験では,これらのうち,都市計画区域の指定手続,都市計画の決定手続,地域地区(用途地域や補助的な地域地区の内容・制限),都市計画事業(事業内容,事業の施行による行為制限)から1問,開発許可関係(開発許可の要否,開発許可手続,開発区域外の区域の建築制限)から2問が出題されています。
□建築基準法(行為規制)
建築基準法は,建築物の敷地・構造・設備・用途に関する最低の基準を定めて,国民の生命・健康・財産の保護を図るための法律です。
宅建試験で出題されるのは,主に建築確認,単体規定(全国どこにある建築物・敷地でも適用される),集団規定(原則として,都市計画区域・準都市計画区域内にある建築物・敷地に適用される)です。
単体規定では,建築物の構造耐力,避雷設備,エレベーター,防火区画,居室の採光・換気,石綿・ホルムアルデヒド等の使用制限,災害危険区域などが出題されています。
集団規定では,道路による制限,建築物の用途規制(用途地域),容積率・建ぺい率,建築物の高さの制限,防火地域・準防火地域,建築協定が出題されています。
近年,建築基準法は2問の出題で,各項目からの小問集合的な色彩が強くなっています。
□宅地造成等規制法(行為規制)
宅地造成等規制法は,宅地造成に伴う崖崩れまたは土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことによって,国民の生命および財産の保護を図るのが目的で,「宅地造成工事規制区域」と「造成宅地防災区域」の2本立てで規制しています。
どちらも都市計画区域の内外を問わず,知事により必要があると認められる区域に指定されます。
宅建試験では,この法律での宅地の定義,宅地造成工事規制区域での土地の形質の変更の許可の要否,宅地造成工事規制区域・造成宅地防災区域での所有者などの宅地の保全が出題されています。
□土地区画整理法
土地区画整理法は,都市計画区域内で土地区画整理をするための手続を定めたものです。
宅建試験では,土地区画整理の施行者やその手続(認可,換地計画,仮換地の指定,換地処分,保留地),施行地区での建築行為などの制限が主に出題されていますが,施行者による違いや細かな規定が出題されることがあります。
比較的得点しにくいところなので,基本的な骨格だけに絞ってもよいのかもしれません。
□諸法令
平成16年までは,地すべり等防止法,都市再開発法,河川法,道路法,都市緑地法,文化財保護法,自然公園法などの行為制限で,主に許可権者が誰かを問う問題が出題されていました。
平成17年以降では出題がありませんが,都市計画法や建築基準法との混合問題で今後出題される可能性もあり,それほど手間のかかるところでもないことから,頻出論点については基本書などで整理しておくとよいでしょう。
税法その他
目標得点 全9問中6問
出題構成
【税法・鑑定評価】所得税・贈与税1問,★不動産取得税または固定資産税1問,★印紙税または登録免許税1問,★地価公示法または☆不動産鑑定評価基準1問(計4問)【その他】★住宅金融支援機構法1問,★不当景品類及び不当表示防止法1問,★宅地建物の統計1問,★土地1問,☆建物1問(計5問)
□税法(3問出題)
出題される項目は意外に少なく,その税の課税システム(課税主体,課税客体,税率,免税点,課税方法)と特例を押さえておけば十分です。
不動産の取引 印紙税(契約書に課税される),登録免許税(不動産の所有権保存・移転登記,
抵当権の設定登記)
不動産の取得 不動産取得税(都道府県が課税主体)
不動産の譲渡 所得税(居住用財産の譲渡に関する特例が主に出題される。
3,000万円特別控除,買換え特例,所有期間10年超の軽減税率,
譲渡損失の繰越控除)
住宅の取得資金 贈与税(相続時精算課税の特例)
不動産の保有 固定資産税(市町村が課税主体)
住宅の取得後 所得税(住宅ローン控除)
□地価公示法または不動産鑑定評価基準
地価公示は例年,国土交通省が3月末に,標準地の1㎡当たりの価格を発表するものです。
地価公示法はその手続を定めたもので,不動産鑑定評価基準と交互に出題されています。
地価公示法では,公示区域(標準地が選定される区域),公示手続を理解しているか問う問題が出題され,不動産鑑定評価基準では,原価法・取引事例比較法・収益還元法の基本的な用語の定義が出題されています。
□住宅金融支援機構法
住宅金融支援機構は,平成19年4月に発足し,
①一般の金融機関による住宅建設・購入資金の融通を支援する業務(証券化支援事業(買取型・保証型),保険業務,
②一般の金融機関による融通を補完するための貸付け業務(災害関連,都市再生居住関連,高齢者・子育て世帯向け賃貸住宅関連),
③良質な住宅の建設等に必要な資金の調達等に関する情報の提供,相談その他の援助の業務,④住宅金融公庫の貸付け業務の引継ぎを行います。
出題されるのは,業務内容の概括にとどまると思われます。
□不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
景品表示法は,広告の表示内容や景品類の提供を制限している法律ですが,実際に出題されているのはこの景品表示法よりも,不動産業界が自主的に定めた広告表示や景品類についての公正競争規約(公正取引委員会認定)のほうが多くなっています。
公正競争規約で出題された条文を見ていくだけでも十分得点可能です。
□宅地建物の統計
これまで出題されたのは地価公示,新設住宅着工統計,土地取引の動向,宅建業者数,不動産業の売上高などです。
不動産受験新報や直前予想問題集に掲載される出題予想データを見ておけば確実に得点できます。
□土地・建物
土地は宅地としての適否(地形),宅地造成,災害防止関連知識,建物は建物の構造・基礎(耐震関係を含む),建築材料などからの小問集合で出題されています。
土地は過去問出題項目を押さえておけば常識でも解ける場合がありますが,建物では近年建築基準法施行令などの細かな規定からの出題が多いので,過去問頻出項目を見ておくだけで十分でしょう。
4ブログ,メルマガの活用――モチベーションの維持と試験情報
モチベーションの維持も試験対策上重要です。基本書や過去問集と向き合うだけでは限界があるので,以下のようなメールマガジンやブログを活用してはいかがでしょうか。
宅建試験情報(実施公告,受験手続,受験状況の速報,合格発表)や学習記事も提供されているので,情報収集のうえでも役に立ちます。
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試験の合格も自己実現の1つですから,目的意識の明確化も長期間にわたる受験勉強には必要です。ぜひ,上記のメールマガジンやブログを活用して,受験意識を高めていってください。
■平成18年の職業別受験状況の内訳
(試験実施機関である財団法人不動産適正取引推進機構調べ)
不動産業 金融関係 建設関係 他業種
申込者 75,802 19,064 43,150 47,334
受験者 63,881 14,466 33,069 37,100
合格者 10,140 2,453 3,824 6,882
合格率 15.9% 17.0% 11.6% 18.5%
学生 主婦 その他 全体
申込者 24,562 7,649 22,717 240,278
受験者 21,009 6,186 17,862 193,573
合格者 4,321 1,404 4,167 33,191
合格率 20.6% 22.7% 23.3% 17.1%
※男性の合格率16.5%,女性の合格率19.0%


