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はじめて建物区分所有法入門 5 植杉 伸介

(1)持分割合の基本原則

 民法では、契約などで持分割合が決まっていればそれによりますが、持分割合が不明な場合は、各共有者が同一であるものとして扱われます。3人いれば、3分の1ずつの持分になるわけです。


 しかし、専有部分の面積や価格には差があります。4LDKの部屋の所有者と2DKの部屋の所有者の持分が同じというのは不公平な感じがします。


 そこで、共用部分の持分は、原則として、各区分所有者が所有する専有部分の床面積の割合によることとされています。専有部分の床面積が広い場合は、それだけ共用部分の共有持分も大きいのです。

 たとえば、建物全体の専有部分の床面積の合計が3,000㎡ある場合、100㎡の専有部分を購入した者の持分は3,000分の100であり、70㎡の専有部分を購入した者の持分は3,000分の70となるわけです。


 ただし、持分の割合について、規約で別段の定めをすることもできます。たとえば、小数点以下の端数を無視したり、全戸の床面積があまり変わらない場合はすべて均等にするなどの規約を定めることができます。


(2)内法計算

 共用部分の持分を決定するために専有部分の床面積を測定しなければなりませんが、測定方法には、壁心計算と内法計算の2種類があります。


 壁心計算は、壁の中心線から面積を計測する方法で、壁の厚みの半分までは床面積に含まれます。

 これに対して、内法計算とは、床面積を壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積によって計算する方法です。壁の内側から面積を計測するので、壁の厚みは床面積に含まれません。


※楽学マンション管理士p.142と同様の図


 区分所有法では、この2つの計算方法のうち、内法計算を採用することにしました。これは、不動産登記簿では専有部分の床面積を内法計算で記載してあるので、これと合わせた方が都合がよいという考えからです。


 なお、床面積の測定方法についても、規約で別段の定めをすることもできます。規約によって、壁心計算を採用することもできるわけです。


(3)専有部分との分離処分の禁止

 共有物全体は、共有者全員の所有物ですから、1人の共有者が勝手に売却等の処分をすることはできません。

 しかし、持分は一人ひとりの共有者が単独で有する権利なので、民法においては、共有者はその持分を自由に処分できるとされています。


 しかし、共用部分の持分について自由な処分を認めると、不都合が生じます。たとえば、区分所有者のAが、共用部分の持分だけをBに売却したらどうなるでしょうか。

 Aは専有部分の区分所有権、Bは共用部分の持分をそれぞれ有することになり、区分所有権と共用部分の持分が分離してしまいます。

 共用部分の持分は、専有部分を利用するために必要な権利です。このように区分所有権と共用部分の持分が分離する状態は、明らかに不適切でしょう。

 Aは、専有部分は所有しているけど、階段、廊下、エレベーターはまったく利用できないということになりかねません。


 そこで、共用部分の持分は、専有部分と一緒に処分することしかできず、両者を分離して処分することは、できないことになっています。前述のように、共用部分の持分だけをAがBに売却することはできないのです。

 楽学マンション管理士p.143と同様の図

 ただし、区分所有法が特別に定める2つの場合は、専有部分と分離して共用部分の持分を処分することが認められます。


 1つは、管理所有という制度を採用した場合です。管理所有とは、管理の便宜のために、共用部分を特定の者(管理者等)の単独所有とする制度をいいます。

 この場合、形式的には管理者等が共用部分を単独所有することになるので、理論的には各区分所有者の有する共有持分を、専有部分から分離して管理者等にすべて移転する必要があります。


 もう1つは、共用部分の持分を規約で変更する場合です。たとえば、区分所有者がABCの3名で、各自の専有部分の床面積がA79㎡、B80㎡、C81㎡である場合に、持分を全員均等にする規約を定めたとします。

 この場合、理論的には、Cの有する240分の81の持分のうち、240分の1だけをAに移転したという理解が成り立ちます。


 以上の2つの場合以外に分離処分はできず、規約において「共用部分の持分を専有部分と分離して処分できる」という定めを置いても無効です。


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