国家試験改正法講座 「宅建主任者」 十影 響
宅建業法・借地借家法・その他の分野の改正
(住宅新報社講師)
十影 響
はじめに
今回の講座では,平成18年から平成20年に施行された宅建業法,借地借家法,その他(不動産の表示に関する公正競争規約,独立行政法人住宅金融支援機構法,不動産鑑定評価基準)の主な改正点を集約的に整理していきます。
1 宅建業法
自己の所有に属しない宅地または建物の売買契約締結の制限
(施行:平成19年7月10日)
宅建業者は,自ら売主として,自己の所有に属しない宅地や建物について,宅建業者ではない者と売買契約を締結することは禁止されていますが(宅建業法33条の2),宅建業者が当該宅地または建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令(宅建業法施行規則)で定めるときは例外的に許されています。
この例外に,以下の要件を満たす取引が追加されました。
〈改正により追加された例外〉(施行規則15条の6第4号)
当該宅地又は建物について,当該宅建業者が買主となる売買契約その他の契約であって当該宅地又は建物の所有権を当該宅建業者が指定する者(当該宅建業者を含む場合に限る。)に移転することを約するものを締結しているとき。
これは,以下のようなケースです。
A(宅地または建物の所有者)
①AがBの指定する者に所有権を移転させる契約(第三者のためにする契約)を締結。
(Aは,Bの指定する者に所有権を直接移転する義務を負う。)
B(宅建業者)
②Bは,①の契約を締結していれば,自ら売主として,当該不動産をCに売却することができる。
C(宅建業者ではない)
つまり,宅建業者Bが,不動産の所有者であるAと,「Aは,Bの指定する者に所有権を直接移転する契約」(A,B以外の「第三者のためにする契約」。〈民法537条~539条〉)を締結していれば,宅建業者Bは,自ら売主として,その不動産の売買契約を,宅建業者ではないCと締結できる,ということです。
この場合,買主Cは宅建業者Bから不動産の所有権の移転先として指名を受けることで,Aから物件を取得することが確実になる※1ので,「自己の所有に属しない宅地または建物の売買契約締結の制限」の例外としてもよいだろうということで,改正されました。
なお,登記関係で見ると,宅建業者Bは,AからBへの所有権移転登記をする必要がなく,その不動産については,所有者Aから最終的な取得者Cに直接,所有権移転登記をすることになります(中間省略登記)。
A ――――――― B ―――――――C
(不動産の所有者) (宅建業者) (宅建業者ではない)
| ↑
└――――――――――――――――――┘
AからCへの移転登記が直接行われる
※1 Aは,BC間の売買契約(他人物売買)について,Bに代わり,「第三者の弁済」として履行する(不動産の所有権をCに移転する)ことになる。
2 宅建業法 35条,47条1号
平成18年から19年にかけて,35条の重要事項・37条書面に追加があったり,47条1号(事実の不告知や不実の告知の禁止)の規定の見直しがありました。
(1) 取引物件(宅地・建物)に関する35条の重要事項の追加(35条1項14号,19年出題)
①宅地または建物が造成宅地防災区域内にある旨(施行:平成18年9月30日)(施行規則16条の4の3第1号)
②建物について,石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは,その内容※2(施行:平成18年4月24日)(施行規則16条の4の3第3号)
③建物(昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したものを除く。)が一定の耐震診断※3を受けたものであるときは,その内容(施行:平成18年4月24日)(施行規則16条の4の3第4号)
※2 石綿の使用の有無の調査結果の内容は,「調査の実施機関,調査範囲,調査年月日,石綿の使用の有無,石綿の使用箇所」など(国土交通省・宅地建物取引業法の解釈と運用)
※3 建築物の耐震改修の促進に関する法律の規定に基づいて一定の者(指定確認検査機関,一級建築士・二級建築士・木造建築士,登録住宅性能評価機関,地方公共団体)が行う耐震診断を受けたもの
●造成宅地防災区域内にある旨
宅地または建物の売買・交換 説明が必要
宅地または建物の売買・交換の媒介・代理 説明が必要
宅地または建物の貸借の媒介・代理 説明が必要
●建物の石綿の使用の有無,耐震診断の内容
建物の売買・交換 説明が必要
建物の売買・交換の媒介・代理 説明が必要
建物の貸借の媒介・代理 説明が必要
この規定は,宅建業者に,石綿(アスベスト)の使用の有無の調査自体の実施義務や耐震診断の実施を課したものではなく,関係者に問い合わせても石綿の使用の有無が判明しなかったり,耐震診断の記録が存在しない場合は,その旨を説明すればよいとされています(国土交通省・宅地建物取引業法の解釈と運用)。
(2) 取引条件に関する35条の重要事項の追加(施行:平成18年12月20日)(19年出題)
当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令で定めるもの※4を講ずるかどうか,及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要(35条1項13号)
※4 保証保険契約その他の措置とは,「瑕疵担保責任の履行に関する保証保険・責任保険」,「瑕疵担保責任を負うことになった場合に銀行等が連帯して保証することを委託する契約」とされている(施行規則16条の4の2)。
●契約内容の別による説明義務 (国土交通省の見解による)
宅地・建物の売買・交換 説明義務
宅地・建物の売買・交換の媒介・代理 説明義務
宅地・建物の貸借の媒介・代理 説明義務はない
(3) 取引条件に関する37条書面の記載事項の追加(施行:平成18年12月20日)
当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは,その内容(37条1項11号)
●契約内容の別による記載義務の違い
建物の売買・交換 記載義務
建物の売買・交換の媒介・代理 記載義務
建物の貸借の媒介・代理 記載は義務付けられていない
(4) 信託受益権販売での重要事項説明 (施行:平成19年9月30日)
信託法,金融商品取引法(旧・証券取引法)の改正(詳しくは,本誌4月号p.133~p.136)に伴い,
宅建業者が,宅地建物に係る信託(当該宅建業者を委託者とするものに限る)の受益権の売主となる場合にも,売買の相手方に対して,その者が取得しようとしている信託受益権※5に係る信託財産※6である宅地または建物に関し,その売買の契約が成立するまでの間に,取引主任者をして,35条の重要事項説明をさせることが,義務付けられました(宅建業法35条3項)。
※5 信託受益権とは,受益者が信託財産から生じる権利や元本である信託財産を受け取る権利のことをいう。
※6 信託財産とは,受託者に属する財産であって,信託により管理または処分をすべき一切の財産をいう(信託法2条3号)。
〈不動産信託の代表的なパターン〉

この規定は,不動産の信託受益権の買主になろうとする人が,信託財産である不動産の価値や,その不動産にかかる法令上の制限については知らないことがあるので,購入するかどうかの判断材料を委託者である宅建業者に提供させることにより,取引の公正を期するためです。
35条3項で,説明するものとして定められているのは,宅地建物の売買・交換での重要事項説明とほぼ同じものです。
ただし,その売買の相手方の保護のため支障を生ずることがない場合として国土交通省令(施行規則16条の4の4)で定める以下の相手方に対しては,この重要事項説明は免ぜられています。要するに,相手方が,専門知識を有している特定投資家や,すでに重要事項説明と同等の説明を受けている者の場合は説明しなくてよいということです。
<35条3項の重要事項説明が免じられている相手方>
一 金融商品取引法に規定する特定投資家(適格機関投資家,国,日本銀行,投資者保護基金その他の内閣府令で定める法人)及び特定投資家とみなされる者を信託の受益権の売買の相手方とする場合
二 信託の受益権の売買契約の締結前1年以内に売買の相手方に対し当該契約と同一の内容の契約について書面を交付して説明をしている場合
三 売買の相手方に対し金融商品取引法に規定する目論見書(書面を交付して説明すべき事項のすべてが記載されているものに限る。)を交付している場合
信託受益権販売についての重要事項説明については,上記をザっと見ておく程度でよいでしょう。
(5) 事実の不告知,事実と異なる告知の禁止(施行:平成18年12月20日)
宅建業者は,相手方等に対し,契約の締結について勧誘をしたり,その契約の申込みの撤回,解除,宅建業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるために,以下の事項について,故意に事実を告げず,または不実のことを告げる行為をすることは禁止されています(宅建業法47条1号)。
35条の重要事項,供託所などに関する説明,37条書面の記載事項,相手方等の判断に重要な影響を及ぼすもの(宅地・建物の所在,規模,形質,現在もしくは将来の利用の制限,環境,交通等の利便,代金,借賃等の対価の額・支払方法その他の取引条件,当該宅建業者・取引の関係者の資力・信用に関する事項)
改正前の47条1号は,「重要な事項について,故意に事実を告げず,または不実のことを告げる行為」を禁止していましたが,重要な事項を具体的には明文化していませんでした。
3 宅建業法 罰則
(施行:平成18年12月20日)
(1) 罰金の変更
50万円以下の罰金(83条。届出義務,守秘義務,37条書面の交付義務,報酬額・標識の掲示・従業者名簿・帳簿などの規定に違反)以外の罰則については,以下のとおりです。

3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または併科(79条)
●不正手段による免許取得
●無免許営業の禁止に違反
●免許の名義貸しの禁止に違反
●業務停止処分に違反
2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または併科(79条の2)
●一定の事項について故意に事実を告げず,不実の告知をした。
1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金または併科(80条)
●不当に高額の報酬を要求する行為
6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金または併科(81条)
●営業保証金を供託した旨の届出をしないで事業を開始(支店の営業を開始)
●誇大広告の禁止に違反
●不当な履行遅延の禁止に違反
●手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為
100万円以下の罰金(82条)
●免許申請書・添付書類に虚偽の記載
●免許を受けていないのに宅建業の表示をしたり,広告をする行為
●他人に自己の名義をもって,宅建業の表示をさせたり,広告をさせる行為
●専任の取引主任者が法定数に満たないとき
(2週間以内に欠員を補填する措置をとらないときも含む)
●国土交通大臣の定める報酬の額の制限を超えて報酬を受ける行為
(2) 両罰規定の強化
両罰規定とは,宅建業者の代表者・代理人・使用人などが罰則が規定されている違反行為(使用人等の守秘義務違反を除く)をした場合に,その行為者に懲役や罰金を科すだけでなく,宅建業者に対しても罰金を科すというものです(84条)。
改正により,以下のように,法人業者と個人業者の区分に応じて処罰されることになりました(改正前は,法人業者・個人業者の区分はなかった)。

個人業者 行為者の受けるべき罰則のうちの罰金刑
法人業者 ●不正手段による免許取得 1億円以下の罰金刑
●無免許営業の禁止に違反
●免許の名義貸しの禁止に違反
●業務停止処分に違反
●47条1号に違反
上記以外 行為者の受けるべき罰則のうちの罰金刑
試験対策としては,法人業者に1億円以下の罰金刑が科される場合を覚えておけば十分です。
また,改正前は,「宅建業者が従業者等の違反行為を防止するために,当該業務に対し相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があったときは,両罰規定が適用されない」という規定(旧84条ただし書)がありましたが,改正で削除されました。
4 不動産の表示に関する公正競争規約施行規則
(施行:平成19年12月18日公正取引委員会承認)
改正点としては,
①表示媒体の定義の新設(新聞記事下広告,住宅専門雑誌記事中広告,その他の新聞・雑誌広告,新聞折込チラシ等,2条1号・2号,別表),
②物件の種別(3条,別表)での用語・定義の見直し(例:改正前・新築賃貸用マンション→改正後:新築賃貸マンション),
③特定事項の明示義務(9条4号・10号)などがありますが,試験対策上重要なのは③です。
路地状敷地や傾斜地を含む土地は,土地利用に制限がある土地ですからその旨を告知しないと,事実の不告知として宅建業法47条1号に違反します。
●路地状部分のみで道路に接する土地(9条4号)
路地状部分のみで道路に接する土地であって,その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30%以上を占めるときは,
改正前 その旨およびその面積を
改正後 路地状部分を含む旨および路地状部分の割合または面積を
明示すること。
●傾斜地を含む土地(9条10号)
「傾斜地を含む土地であって,傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30%以上を占める場合(マンション及び別荘地等を除く。)」,または,「傾斜地の割合が30%以上を占めるか否かにかかわらず,傾斜地を含むことにより,当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く。)」は,
改正前 その旨およびその面積を
改正後 傾斜地を含む旨および傾斜地の割合または面積を
明示すること。
5 借地借家法 事業用定期借地権
(施行:平成20年1月1日)…こちらもご参照下さい
従来,事業用借地権(もっぱら事業の用に供する建物を所有する目的で設定。居住用の建物〈例:分譲マンション,アパート,居住用貸家〉を所有する目的では設定できない)の存続期間は10年以上20年以下でしたが,改正により,存続期間が10年以上50年未満で設定できることになりました(新23条)。
改正前 10年以上20年以下
改正後 10年以上50年未満※7
事業用借地権の存続期間は,正確には,「10年以上30年未満」(新23条2項)と「30年以上50年未満」(新23条1項)の2種類がありますが,従来どおり,
①契約の更新がなく,
②契約上の存続期間の満了によって確定的に終了し,
③借地権者は借地権設定者に対して建物の買取請求をすることができない,
④公正証書によってしなければならないことは同じです
(なお,この改正に伴い,建物譲渡特約付借地権の条文番号〈旧23条〉が24条に変更になっています)
※7 用途を事業用に限り存続期間を50年以上として,①~④の特約を定めても,事業用借地権ではなく,普通の借地権として扱われる。
改正された理由としては,
①事業用借地権を導入する際に予想されていた量販店・ファミリーレストランなどの店舗用地にするためのものに加えて,企業が倉庫や業務施設を建設する際に,土地の保有や取得をしないですむ借地権を設定する事例が増え(地価下落のリスクの回避),事業用借地権のニーズが高まってきたこと,
②10年以上20年以下では税法上の償却期間※8と一致しないため,事業用借地権の存続期間をもう少し長くしないと,借地権者が税法上不利になること,が挙げられます。
※8 所得税や法人税を計算する際に,固定資産の減価償却費を求める場合,法定耐用年数を基にして行う。たとえば,鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の場合,税法上の法定耐用年数は47年である。
●事業用建物所有目的と居住用建物所有目的の違い(一時的使用の借地権を除く)
事業用建物の所有目的
10年 30年
--●――――○
事業用借地権
10年以上30年未満
30年 50年
●――――○
事業用借地権
30年以上50年未満
30年
-------●
30年以上
●普通借地権(原則として30年。当事者間の契約により30年より長い期間を当初の契約存続期間とすることができるる)
●建物譲渡特約付借地権(30年以上)
●一般定期借地権(50年以上)
居住用建物の所有目的
30年
------●
30年以上
●普通借地権(原則として30年。当事者間の契約により30年より長い期間を当初の契約存続期間とすることができる)
●建物譲渡特約付借地権(30年以上)
●一般定期借地権(50年以上)
6 独立行政法人住宅金融支援機構法
(施行:平成19年4月1日)
(1) 住宅金融支援機構(以下,機構)の主な業務
〈機構設立の目的である業務〉
①一般の金融機関による住宅建設・購入資金の融通を支援するための業務
●証券化支援事業(買取型)――貸付債権(住宅ローン)の譲受け
●証券化支援事業(保証型)――貸付債権(住宅ローン)を担保とする債券等の債務の保証
●住宅融資保険法による保険業務――住宅ローンの債務者が返済不能になった場合に,機構が金融機関に保険金を支払うもので,機構と金融機関との間で契約する。
②一般の金融機関による融通を補完するための貸付業務
③良質な住宅の建設等に必要な資金の調達等に関する情報の提供,相談その他の援助の業務
④公庫から引き継いだ業務
●公庫から引き継いだ債権の管理・回収業務
●阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助および助成に関する法律による貸付け
●勤労者財産形成促進法による貸付け
(2) 証券化支援業務(買取型・保証型)の対象となる住宅ローン債権
●申込者本人または親族の居住する住宅を建設または購入する(付随する行為として土地または借地権の取得も含まれる)者に対する貸付けであること。
●貸付債権に係る住宅が,安全性,良好な居住性および耐久性を有するものとして機構の定める基準に適合していること。1戸当たりの床面積,建て方その他住宅の規模・規格に関して,機構が主務大臣と協議して定める要件を備えていなければならない。
●償還期間は原則として15年以上35年以下@ ●長期固定金利(借入時に全期間の毎回の返済額が確定,金利は金融機関により異なる)
●貸付債権に係る建築物または土地について,原則として,機構のために第一順位の抵当権を設定させる。
●原則として,貸付債権に係る建築物について,貸付金の償還が完了するまでの期間中火災保険を付されたものであること。
(3) 機構の貸付業務(法13条1項5号~9号)
1) 災害関連の貸付け――
①災害復興建築物の建設・購入,被災建築物の補修,災害予防代替建築物の建設・購入,災害予防移転建築物の移転に必要な資金(建設・購入に付随する土地または借地権の取得に必要な資金も含む)
②災害予防関連工事,地震に対する安全性の向上を主たる目的とする住宅の改良(耐震性向上目的の住宅の改良)に必要な資金
2) 都市居住再生関連の貸付け――
①合理的土地利用建築物の建設・購入など(マンションの建替え,土地の利用が細分化されているなど土地の利用状況が不健全な市街地の区域内の土地を一の敷地として新たに建設される耐火建築物など)に必要な資金またはマンションの共用部分の改良に必要な資金
②賃貸住宅の建設,改良など
子供を育成する家庭または高齢者の家庭(単身世帯を含む)に適した良好な居住性能・居住環境を有する賃貸住宅(または賃貸の用に供する住宅部分が大部分を占める建築物)の建設に必要な資金(建設に付随する土地または借地権の取得に必要な資金も含む),
賃貸住宅の改良(上記の賃貸住宅とするための改良を含む)に必要な資金,高齢者向け優良賃貸住宅とする目的で人の居住の用に供したことのある住宅を購入するのに必要な資金(購入に付随する土地または借地権の取得に必要な資金も含む)
③高齢者の住宅の改良
高齢者の家庭(単身世帯を含む)に適した良好な居住性能および居住環境を有することを主たる目的とする住宅の改良に必要な資金
(4) 業務の委託・みなし公務員規定
機構は,情報の提供・相談業務を除き,その業務を,主務省令で定める金融機関,一定の債権回収会社,地方公共団体その他政令で定める法人に委託することができます(法16条)。
なお,機構から業務委託を受けた団体・法人等で,その受託業務に従事する役職員は,機構の役職員と同様に,刑法その他の罰則の規定の適用については,公務に従事する職員とみなされます(法12条,16条4項,23条2項)。
(5) 宅建業法との関連
宅地または建物の取引を行うことは機構の法定業務ではないので,機構が宅建業を行おうとする場合は宅建業の免許を取らなければなりません。
7 不動産鑑定評価基準
(施行:平成19年7月1日)改正※9により,「各論第3章証券化対象不動産についての鑑定評価」が新設されました。
その概略としては,
(1)証券化対象不動産の範囲※10が定められ,
(2)エンジニアリング・レポートを主体的に活用する(原則として鑑定の依頼者にエンジニアリング・レポートの提出を求める),
(3)収益価格算定に当たっては,DCF法の適用が義務づけられ※11,最終還元利回り・割引率・収益費用予測等を説明するとともに,収益価格を求める過程およびその理由の記載が義務づけられました。
※9 平成19年4月2日の国土交通事務次官通知により改正。不動産鑑定評価基準は不動産鑑定士が準拠すべき不動産鑑定評価の統一的基準であり,「不動産の鑑定評価に関する法律」により,鑑定士などに対して懲戒処分を行う際の判断根拠となる。
※10 証券化対象不動産の範囲が,
①資産の流動化に関する法律に規定する資産の流動化並びに投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資信託に係る不動産取引並びに同法に規定する投資法人が行う不動産取引(Jリート),
②不動産特定共同事業に係る不動産取引,
③金融商品取引法の規定により有価証券とみなされる権利(信託受益権など)について収益または利益を生じる不動産取引等と明確化された。
※11 改正前は,「不動産の証券化に係る鑑定評価等で毎期の純収益の見通し等について詳細な説明が求められる場合には,DCF法の適用を原則とする」としていた(旧・総論第7章第1節3.(3)。今回の改正により削除)。
証券化対象不動産の鑑定評価における収益価格を求めるに当たっては,DCF法を適用しなければならない。
この場合において,併せて直接還元法を適用することより検証を行うことが適切である(各論第3章 証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価,第4節DCF法の適用等)。
予想問題
〔問題〕 次の記述について,正しいものには○,誤っているものには×をつけなさい。
1 宅建業者Aは,宅地・甲について,Aが買主となる売買契約その他の契約で,「甲地の所有権をAが指定する者(当該宅建業者Aを含む場合に限る)に移転することを甲地の所有者Bと約するもの」を締結しているときは,Aは,自ら売主として,甲地について,宅建業者ではないCと売買契約を締結することができる。
2 宅建業者が造成宅地防災区域内にある建物の貸借の媒介をする場合,造成宅地防災区域内にある旨を,35条の重要事項として説明する必要はない。
3 宅建業者が宅地の貸借の媒介をする場合,瑕疵担保責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めは,35条の重要事項には該当しないが,37条書面の記載事項である。
4 宅建業者が,宅地建物に係る信託受益権の売主となる場合に,売買の相手方が宅建業者のときは,当該信託受益権に係る信託財産である宅地又は建物に関する重要事項について,その売買の契約が成立するまでの間に,取引主任者をして,説明をさせる必要はない。
5 傾斜地の割合が30%以上を占めていないのであれば,傾斜地を含むことによって,当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合であっても,傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積について明示する必要はない。
6 事業用借地権の存続期間は,10年以上20年未満である。
7 証券化対象不動産の鑑定評価における収益価格を求めるに当たっては,原則として,DCF法を適用しなければならないが,必要に応じて,DCF法の代わりに直接還元法を適用しなければならない。
〔解答・解説〕
1 「現在の所有者Bが宅建業者Aの指定する者に,宅地または建物の所有権を移転する契約」を締結していれば,Aは,自ら売主として,宅建業者ではない者と売買契約を締結することができる。(宅建業法)〇
2 造成宅地防災区域内にある旨は,宅地建物の売買・交換(その媒介・代理),貸借の媒介・代理のすべてにおいて説明しなければならない。(宅建業法)×
3 瑕疵担保責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めは,貸借の媒介・代理では,35条の重要事項,37条書面の記載事項のどちらにも該当しない。(宅建業法)×
4 宅建業者が信託受益権の売買をする場合,一定事項について,重要事項説明をしなければならない。相手方が宅建業者であっても,これは同じである。(宅建業法)×
5 傾斜地を含むことにより,当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合は,傾斜地の割合が30%未満であっても,傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合または面積について明示しなければならない。(表示に関する公正競争規約)×
6 改正前の記述なので誤りである。(借地借家法)×
7 証券化対象不動産の鑑定評価における収益価格を求める場合は,DCF法を適用しなければならない。直接還元法は検証するために,併せて適用される。(不動産鑑定評価基準)×
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