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はじめて建物区分所有法入門17  植杉 伸介

第7章 決議事項と議決権

1 決議事項の制限

(1)決議できる事項
 
 集会においては、原則として、招集通知にあらかじめ議題として掲げた事項しか、決議することができません。

 招集通知に掲げていない事項は、その議案について事前に熟慮検討することもできず、十分な討議が行われずに決議されてしまうことになるからです。

 また、集会を欠席した区分所有者からすると、予想外の事項が決議されて不利益を受けるおそれもあります。

 ただし、特別決議事項以外の事項については、規約で別段の定めをすることができます。

 つまり、あらかじめ通知した事項でなくても、集会の場で動議して、そのまま決議できるとする定めが可能なのです。
 
 なお、通知なしに決議できるのは、いわゆる普通決議事項に限られ、特別決議事項は除かれている点に注意してください。

 特別決議事項は、いずれも重大な問題なので、通知なしに決議してしまうのは適当でないからです。

(2)招集手続が省略された集会の場合
 
 上記の決議事項の制限に関する規定は、区分所有者全員の合意によって招集手続が省略された集会には、適用されません。

 したがって、招集手続が省略された集会では、あらかじめ通知された事項でなくても、その場で決議できることになります。

 これは、区分所有者全員の合意により招集手続が省略された場合は、そもそも招集通知が行われないので、招集通知を前提にした規定を適用することは不可能だからです。

2 議決権

(1)議決権の割合の基本原則
 
 区分所有法上の決議が成立するためには、区分所有者および議決権の両方について一定数以上の賛成が必要です。
 
 このうち区分所有者の数は、1人の区分所有者が複数の区分所有権を有する場合や、1つの専有部分を複数の者が共有する場合でも1人として数えます。
 
 これに対して議決権は、原則として、共用部分の持分の割合によります。

 すなわち、通常は専有部分の床面積の割合によるわけです。

 したがって、1人で複数の専有部分を所有する場合は、議決権もそれだけ多いことになります。

 仮にすべての専有部分の床面積が同一だとすると、1戸しか所有しない区分所有者と比べて、2戸所有する場合は2倍、3戸所有する場合は3倍の議決権を持つわけです。

 これは、1人で2戸所有している区分所有者は2票、3戸所有している区分所有者は3票の投票権を持っていると考えることもできます。

(2)規約の定めによる議決権の割合の例外
 
 議決権の割合については、規約で別段の定めをすることもできます。

 たとえば、共用部分の持分の割合は、専有部分の床面積の割合によるが、議決権については、床面積の違いを無視して、専有部分1戸につき1つの議決権とすることなどもできるのです。